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大田殿許御書(おおたどの もと ごしょ).
日蓮大 聖人 54歳 御作.

 

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おおたどの もと ごしょ.
大田殿 許 御書.

ぶんえい 12ねん しょうがつ 54さい おんさく.
文永 十二年 正月 五十四歳 御作.

しんしゅんの ごけいが じた こうじんこうじん.
新春の 御慶賀 自他 幸甚幸甚。.

そもそも ぞくたい しんたいの なかには しょうぶを もって せんと なし.
抑 俗諦・ 真諦の 中には 勝負を 以て 詮と 為し.

せけん しゅっせとも こうおつを もって さきと なすか.
世間・ 出世とも 甲乙を 以て 先と 為すか、.

しかるに しょきょう しょしゅうの しょうれつは さんごくの しょうにん これを そんし.
而るに 諸経・ 諸宗の 勝劣は 三国の 聖人 共に 之を 存し.

りょうちょうの ぐんけん おなじく これを しるか.
両朝の 群賢 同じく 之を 知るか、.

ほけきょうと だいにちきょうと てんだいしゅうと しんごんしゅうとの しょうれつは.
法華経と 大日経と 天台宗と 真言宗との 勝劣は.

がっし にほん いまだ これを べんぜず.
月支・ 日本 未だ 之を 弁ぜず.

せいてん とうどにも あきらめざる ものか.
西天・ 東土にも 明らめざる 物か、.

しょせん てんだい でんぎょうの ごとき しょうにん こうじょうに おいて ぜひを けっせず.
所詮・ 天台 伝教の 如き 聖人・公場に 於て 是非を 決せず.

めいてい かんむの ごとき こくしゅ これを きかざる ゆえか.
明帝 桓武の 如き 国主 之を 聞かざる 故か、.

いわゆる ぜんむいさんぞうらは ほけきょうと だいにちきょうとは りどうじしょう とうと.
所謂 善無畏三蔵等は 法華経と 大日経とは 理同事勝 等と.

じかく ちしょうらも このぎを そんするか.
慈覚・ 智証等も 此の 義を 存するか、.

こうぼうだいしは ほけきょうを けごんきょう より くだす とう.
弘法大師は 法華経を 華厳経 より 下す 等.

これらの 2ぎ ともに きょうもんに あらず.
此等の 二義 共に 経文に 非ず.

おなじく じぎを そんするか.
同じく 自義を 存するか.

はたまた じかく ちしょうら.
将た又 慈覚・ 智証等・.

ひょうを つくって これを そうす もうすに したがって ちょくせん あり.
表を 作つて 之を 奏す 申すに 随つて 勅宣 有り、.

きくが ごとくんば しんごん しかんりょうきょうの しゅうをば.
聞くが 如くんば 真言・ 止観両教の 宗をば.

おなじく だいごと ごうし ともに じんみつと しょうす.
同じく 醍醐と 号し 倶に 深秘と 称す.

ないし たとえば なお ひとの りょうもく とりの そうよくの ごとき ものなり とう うんぬん.
乃至 譬えば 猶 人の 両目・ 鳥の 雙翼の 如き 者なり 等 云云、.

また じゅうかいの ちょくせん あり.
又 重誡の 勅宣 有り・.

きくが ごとくんば さんじょうの そうら.
聞くが 如くんば 山上の 僧等.

もっぱら せんしの ぎに いして へんしゅうの こころを じょうず.
専ら 先師の 義に 違して 偏執の 心を 成ず.

ほとんど もって よふうを せんようし.
殆んど 以つて 余風を 扇揚し.

きゅうぎょうを こうりゅう することを かえりみず とう うんぬん.
旧業を 興隆 することを 顧みず 等 云云、.

よ うまれて まつの はじめに こし.
余 生れて 末の 初に 居し.

がく しょけんの おわりを うく じかく ちしょうの せいぎの うえに ちょくせん かたがた これあり.
学 諸賢の 終りを 禀く 慈覚・ 智証の 正義の 上に 勅宣 方方 之れ有り.

うたがい ある べからず いちげんをも いだす べからず.
疑い 有る べからず 一言をも 出す べからず.

しかりと いえども えんにん えんちんの りょうだいし.
然りと 雖も 円仁・ 円珍の 両大師・.

せんし でんぎょうだいしの せいぎを こうりゃくして.
先師 伝教大師の 正義を 劫略して.

ちょくせんを もうし くだすの うたがい これ ある うえ ぶっかい のがれがたし.
勅宣を 申し 下すの 疑い 之れ 有る 上・ 仏誡 遁れ難し、.

したがって「また ぼうこくの いんねん ほうぼうの げんしょ これに はじまるか.
随つて 又 亡国の 因縁・ 謗法の 源初 之れに 始まるか、.

ゆえに よの そしりを はばからず よう ふようを しらず.
故に 世の 謗を 憚からず 用・ 不用を 知らず.

しんみょうを すてて これを もうすなり.
身命を 捨てて 之を 申すなり。.

うたがって いわく.
疑つて 云く.

ぜんむい こんごうち ふくうの 3さんぞう こうぼう じかく ちしょうの 3だいし.
善無畏・ 金剛智・ 不空の 三三蔵・ 弘法・ 慈覚・ 智証の 三大師.

2きょうに そうたいして しょうれつを はんずるの とき.
二経に 相対して 勝劣を 判ずるの 時.

あるいは りどうじしょう あるいは けごんきょうより くだる とう うんぬん.
或は 理同事勝 或は 華厳経より 下る 等 云云、.

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したがって また しょうけんの ほうぶん これ あり.
随つて 又 聖賢の 鳳文 之れ 有り、.

しょとく これを もちいて とし ひさし.
諸徳 之を 用いて 年 久し.

この ほかに なんじ いちぎを そんして しょにんを めいわくし.
此の 外に 汝 一義を 存して 諸人を 迷惑し.

あまつさえ てんかの じもくを おどろかす.
剰さえ 天下の 耳目を 驚かす.

あに ぞうじょうまんの ものに あらずや いかん.
豈 増上慢の 者に 非ずや 如何、.

こたえて いわく なんじらが ふしん もっともなり.
答えて 曰く 汝等が 不審 尤最もなり.

にょいろんしの せしんぼさつを へいかいせる ことばは これなり.
如意論師の 世親菩薩を 炳誡せる 言は 是なり、.

かの じょうに いわく.
彼の 状に 云く.

「とうえんの しゅうと たいぎを きそうこと なく.
「党援の 衆と 大義を 競うこと 無く.

ぐんめいの なかに せいろんを べんずる ことなかれと いいおわって しす」うんぬん.
群迷の 中に 正論を 弁ずる こと無かれと 言い 畢つて 死す」云云、.

ごふしん これに あたるか.
御不審 之れに 当るか、.

しかりと いえども ほとけ せそんは ほけきょうを えんぜつ するに.
然りと 雖も 仏 世尊は 法華経を 演説 するに.

いっきょうの うちに 2どの るつう これ あり.
一経の 内に 二度の 流通 之れ 有り.

かさねて いっきょうを といて ほけきょうを るつうす.
重ねて 一経を 説いて 法華経を 流通す、.

ねはんきょうに いわく.
涅槃経に 云く.

もし ぜんびく あって ほうを やぶる ものを みて おいて.
「若し 善比丘 あつて 法を 壊る 者を 見て 置いて.

かしゃくし くけんし こしょ せずんば まさに しるべし.
呵責し 駈遣し 挙処 せずんば 当に 知るべし.

その ひとは ぶっぽうの なかの あだ なり」とう うんぬん.
是の 人は 仏法の 中の 怨 なり」等 云云、.

ぜんむい こんごうちの りょうさんぞう じかく ちしょうの 2だいし.
善無畏・ 金剛智の 両三蔵・ 慈覚・ 智証の 二大師.

だいにちの ごんきょうを もって ほっけの じっきょうを はかい せり.
大日の 権経を 以つて 法華の 実経を 破壊 せり。.

しかるに にちれん よを おそれて これを いわずんば ぶってきと ならんか.
而るに 日蓮・ 世を 恐て 之を 言わずんば 仏敵と 為らんか、.

したがって しょうあんだいし まつだいの がくしゃを かんぎょうして いわく.
随つて 章安大師 末代の 学者を 諌暁して 云く.

「ぶっぽうを えらん するは ぶっぽうの なかの あだなり.
「仏法を 壊乱 するは 仏法の 中の 怨なり.

じ なくして いつわり したしむは これ かの ひとの あだなり.
慈 無くして 詐わり 親しむは 是れ 彼の 人の 怨なり.

よく きゅうじする ものは すなわち これ かれが おやなり」とう うんぬん.
能く 糾治する 者は 即ち 是れ 彼が 親なり」等 云云、.

よは この しゃくを みて きもに そむるが ゆえに.
余は 此の 釈を 見て 肝に 染むるが 故に.

しんみょうを すてて これを きゅうめい するなり.
身命を 捨てて 之を 糾明 するなり、.

だいばぼさつは ふほうぞうの だい14 ししそんじゃは 25に あたる.
提婆菩薩は 付法蔵の 第十四・ 師子尊者は 二十五に 当る.

あるいは いのちを うしない あるいは こうべを はねらる とう これなり.
或は 命を 失い 或は 頭を 刎らる 等 是なり、.

うたがって いわく.
疑つて 云く.

きょうぎょうの じさんは しょきょう つねの ならいなり.
経経の 自讃は 諸経・ 常の 習いなり、.

いわゆる こんこうみょうきょうに いわく「しょきょうの おう」.
所謂 金光明経に 云く「諸経の 王」.

みつごんきょうの「いっさいきょうちゅうの しょう」.
密厳経の「一切経中の 勝」.

そしっちきょうに いわく「さんぶの なかに おいて この きょうを おうと なす」.
蘇悉地経に 云く「三部の 中に 於て 此の 経を 王と 為す」.

ほけきょうに いわく「これ しょきょうの おう」とう うんぬん.
法華経に 云く「是れ 諸経の 王」等 云云、.

したがって しえの ぼさつ りょうごくの さんぞうも かくの ごとし いかん.
随つて 四依の 菩薩・ 両国の 三蔵も 是くの 如し 如何、.

こたえて いわく.
答えて 曰く.

たいこく しょうこく だいおう しょうおう だいけ しょうけ そんしゅ こうき.
大国・ 小国・ 大王・ 小王・ 大家・ 小家・ 尊主・ 高貴・.

おのおの ぶんざい あり.
各各 分斉 有り.

しかりと いえども くにぐにの ばんみん みな だいおうと ごうし おなじく てんしと しょうす.
然りと 雖も 国国の 万民・ 皆 大王と 号し 同じく 天子と 称す.

せんを もって これを ろんぜば ぼんおうを だいおうと なし.
詮を 以つて 之を 論ぜば 梵王を 大王と 為し.

ほけきょうを もって てんしと しょうする なり.
法華経を 以て 天子と 称する なり、.

もとめて いわく その あかし いかん.
求めて 云く 其の 証 如何、.

こたえて いわく.
答えて 曰く.

こんこうみょうきょうの これ しょきょうのおうの もんは ぼんしゃくの しょきょうに そうたいし.
金光明経の 是 諸経之王の 文は 梵釈の 諸経に 相対し.

みつごんきょうの いっさい きょうちゅうしょうの もんは つぎ かみに じっちきょう けごんきょう しょうまんきょう とうを かかげて.
密厳経の 一切経中勝の 文は 次 上に 十地経・ 華厳経・ 勝鬘経 等を 挙げて.

かの きょうぎょうに そうたいして いっさいきょうの なかに まさると うんぬん.
彼彼の 経経に 相対して 一切経の 中に 勝ると 云云、.

そしっちきょうの ふみは げんぶん これを みるに 3ぶの なかに おいて おうと なす とう うんぬん.
蘇悉地経の 文は 現文 之れを 見るに 三部の 中に 於て 王と 為す 等 云云、.

そしっちきょうは だいにちきょう こうごうちょうきょうに そうたいして おうと うんぬん.
蘇悉地経は 大日経・ 金剛頂経に 相対して 王と 云云、.

しかるに ぜんむいら あるいは りどうじしょう あるいは けごんきょう より くだる とう うんぬん.
而るに 善無畏等 或は 理同事勝 或は 華厳経 より 下ると 等 云云、.

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これらの びゃくもんは けいかを にちがつに おなじ たいかいを ごうがに いるるか.
此れ 等の 僻文は 螢火を 日月に 同じ 大海を 江河に 入るるか。.

うたがって いわく きょうぎょうの しょうれつ これを ろんじて なにかせん.
疑つて 云く 経経の 勝劣 之れを 論じて 何か為ん、.

こたえて いわく ほけきょうの だいななに いわく.
答えて 曰く 法華経の 第七に 云く.

「よく この きょうてんを じゅじする もの あれば またまた かくの ごとし.
「能く 是の 経典を 受持する 者 有れば 亦復 是くの 如し.

いっさいしゅじょうの なかに おいて また これ だいいち なり」とう うんぬん.
一切衆生の 中に 於て 亦 為 第一 なり」等 云云、.

この きょうの やくおうほんに 10ゆを かかげて.
此の 経の 薬王品に 十喩を 挙げて.

いこんとうの いっさいきょうに ちょうかすと うんぬん.
已今当の 一切経に 超過すと 云云、.

だい8の たとえ かねて かみの もんに あり.
第八の 譬・ 兼ねて 上の 文に 有り.

いわゆる ほとけの こころの ごとく ならば きょうの しょうれつを せんずる のみに あらず.
所詮 仏の 意の 如く ならば 経の 勝劣を 詮ずる のみに 非ず.

ほけきょうの ぎょうじゃは いっさいの しょにんに すぐれたるの よし これを とく.
法華経の 行者は 一切の 諸人に 勝れたるの 由 之れを 説く、.

だいにちきょうとうの ぎょうじゃは しょざん しゅうせい こうが しょみん なり.
大日経等の 行者は 諸山・ 衆星・ 江河・ 諸民 なり、.

ほけきょうの ぎょうじゃは しゅみせん にちがつ たいかい とうなり.
法華経の 行者は 須弥山・ 日月・ 大海 等なり、.

しかるに いまの よは ほけきょうを けいべつ すること.
而るに 今の 世は 法華経を 軽蔑 すること.

どの ごとし たみの ごとし.
土の 如し 民の 如し.

しんごんの びゃくにんらを ちょうすうして こくしと なること.
真言の 僻人等を 重崇して 国師と 為ること.

こがねの ごとし おうの ごとし.
金の 如し 王の 如し.

これに よって ぞうじょうまんの もの くにじゅうに じゅうまんす.
之に 依つて 増上慢の 者・ 国中に 充満す.

せいてん いかりを なし おうじ ようげつを いたす.
青天 瞋を 為し 黄地 夭ゲツを 致す.

したたり あつまりて ようせんを やぶるが ごとく.
涓 聚りて ヨウ塹を 破るが 如く.

たみの うれい つもりて くにを ほろぼす とう これなり.
民の 愁い 積りて 国を 亡す 等 是なり、.

とうて いわく ないげの しょしゃくの なかに かくの ごときの れい これ ありや.
問うて 曰く 内外の 諸釈の 中に 是くの 如きの 例 之れ 有りや、.

こたえて いわく ししんごきょうが たいそうに たてまつる ひょうに いわく.
答えて 曰く 史臣呉競が 太宗に 上つる 表に 云く.

「ひそかに おもんみれば たいそう ぶんぶこうていの せいか こうこ より これを もとむるに.
「竊かに 惟れば 太宗 文武皇帝の 政化・ 曠古 より 之れ 求むるに.

いまだ かくの ごとくの さかんなる もの あらず.
未だ 是くの 如くの 盛なる 者 有らず.

とうぎょう ぐしゅん かう いんとう しゅうのぶんぶ かんのぶんけいと いえども.
唐尭・ 虞舜・ 夏禹・ 殷湯・ 周の文武・ 漢の文景と 雖も.

みな いまだ およばざる ところなり」うんぬん.
皆 未だ 逮ばざる 処なり」云云、.

いま この ひょうを みれば たいそうを まんぜる おうと いうべきか.
今 此の 表を 見れば 太宗を 慢ぜる 王と 云う可きか.

せいどうの しみょう せんせいに こえて さんずる ところなり.
政道の 至妙・ 先聖に 超えて 讃ずる 所なり、.

しょうあんだいし てんだいを ほめて いわく.
章安大師 天台を 讃めて 云く.

「てんじゅくの だいろん なお その たぐいに あらず.
「天竺の 大論 尚 其の 類に 非ず.

しんたんの にんし なんぞ わずらわしく かたるに およばん.
真丹の 人師 何ぞ 労く 語るに 及ばん.

これ こように あらず ほっそうの しからしむるのみ」とう うんぬん.
此れ 誇耀に 非ず 法相の 然らしむるのみ」等云云、.

じゅうぎほっし かさねて ほめて いわく.
従義法師 重ねて 讃めて 云く.

「りゅうじゅ てんじん いまだ てんだいには しかず」.
「竜樹・ 天親 未だ 天台には 若かず」.

でんぎょうだいし じさんして いわく.
伝教大師 自讃して 云く.

てんだいほっけしゅうの しょしゅうに まさるる ことは.
「天台法華宗の 諸宗に 勝るる ことは.

しょえの きょうに よるが ゆえに じさんきた ならず.
所依の 経に 拠るが 故に 自讃毀他 ならず.

こいねがわくば うちの くんし きょうを たずねて しゅうを さだめよ」うんぬん.
庶くば 有智の 君子 経を 尋ねて 宗を 定めよ」云云、.

また いわく「よく ほっけを たもつ ものは また しゅじょうの なかの だい1 なり.
又 云く「能く 法華を 持つ 者は 亦 衆生の 中の 第一 なり.

これに ぶっせつに よる あに じさん ならんや」うんぬん.
已に 仏説に 拠る 豈 自讃 ならんや」云云、.

いま ぐけんを もって これを かんがうるに.
今 愚見を 以つて 之を 勘うるに.

ぜんむい こうぼう じかく ちしょうらは みな ぶついに たがう のみにあらず.
善無畏・ 弘法・ 慈覚・ 智証等は 皆 仏意に 違う のみに非ず.

あるいは ほうの ぬすびと あるいは でんぎょうだいしに さからえる びゃくにん なり.
或は 法の 盗人 或は 伝教大師に 逆える 僻人 なり、.

ゆえに あるいは えんまおうの せめを こうむり あるいは ぼふん なく.
故に 或は 閻魔王の 責を 蒙り 或は 墓墳 無く.

あるいは ことを にゅうじょうに よせ たびたび たいか たいへいに あえり.
或は 事を 入定に 寄せ 或は 度度・ 大火・ 大兵に 値えり.

ごんじゃは はじを しがいに あたえざる ところの ほんもんに いするか.
権者は 辱を 死骸に 与えざる 処の 本文に 違するか、.

うたがって いわく 6しゅうの ごとく しんごんの いっしゅうも てんだいに おちたる じょう これ ありや.
疑つて 云く 六宗の 如く 真言の 一宗も 天台に 落たる 状 之れ 有りや、.

こたう きの 10の まつに これを のせたり.
答う 記の 十の 末に 之を 載せたり、.

したがって でんぎょうだいし、えひょうしゅうを つくって これを あつむ.
随つて 伝教大師・ 依憑集を 造つて 之を 集む.

まなこ あらん ものは ひらいて これを みよ.
眼 有らん 者は 開いて 之を 見よ、.

ねがわしきかな まつだいの がくしゃ みょうらく でんぎょうの しょうげんに したがって.
冀哉 末代の 学者 妙楽・ 伝教の 聖言に 随つて.

ぜんむい じかくの ぼんげんを もちゆる ことなかれ.
善無畏・ 慈覚の 凡言を 用ゆる こと勿れ、.

よが もんけら ふかく この よしを そんぜよ.
予が 門家等 深く 此の 由を 存ぜよ、.

こんじょうに ひとを おそれて ごしょうに あっかを まねくこと なかれ.
今生に 人を 恐れて 後生に 悪果を 招くこと 勿れ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

しょうがつ にじゅうよっか.
正月 廿四日.

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

おおたきんご にゅうどうどの.
大田金吾 入道殿.

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