b1105-2から1107.
八幡宮造営事 (はちまんぐう ぞうえいの こと).
日蓮大聖人 60歳 御作.

 

b1105

はちまんぐう ぞうえいの こと.
八幡宮造営事

こうちょう 4ねん 60さい おんさく.
弘安 四年 五月 六十歳 御作.

この ほうもん もうし そうろう こと すでに 29ねん なり.
此の 法門 申し 候 事 すでに 廿九年 なり.

ひびの ろんぎ つきづきの なん りょうどの るざいに み つかれ こころ いたみ そうらいし ゆえにや.
日日の 論義 月月の 難 両度の 流罪に 身 つかれ 心 いたみ 候いし 故にや.

このしち 8ねんかんが あいだ としどしに おとろえ やまい おこり そうらいつれども なのめにて そうらいつるが.
此の 七 八年間が 間 年年に 衰病 をこり 候いつれども なのめにて 候いつるが.

ことしは しょうがつ より その きぶん しゅったいして すでに いちご おわりに なりぬべし.
今年は 正月 より 其の 気分 出来して 既に 一期 をわりに なりぬべし.

その うえ よわい すでに 60に みちぬ.
其の 上 齢 既に 六十に みちぬ.

たとえ 10に ひとつ ことしは すぎ そうろうとも ひとつ ふたつをば いかでか すぎ そうろうべき.
たとひ 十に 一 今年は すぎ 候とも 一二をば いかでか すぎ 候べき.

ちゅうげんは みみに さからい りょうやくは くちに にがしとは せんけんの ことば なり.
忠言は 耳に 逆い 良薬は 口に 苦しとは 先賢の 言 なり.

やせやまいの ものは いのちを きらう.
やせ病の 者は 命を きらう.

ねいじんは いさめを もちいずと もうすなり.
佞人は 諫を 用いずと 申すなり.

このほどは じょうげの ひとびとの ごへんじ もうす ことなし.
此の程は 上下の 人人の 御返事 申す 事なし.

こころも ものうく ても たゆき ゆえなり.
心も ものうく 手も たゆき 故なり.

しかりと もうせども このこと だいじ なれば.
しかりと 申せども 此の事 大事 なれば.

くを しのんで もうすものうしと おぼすらん.
苦を 忍んで 申すものうしと おぼすらん.

いっぺん きこし めすべし.
一篇 きこし めすべし.

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b1106

むらかみてんのうの さきの ちゅうしょおうの しょを なげ たまいしが ごとく なること なかれ.
村上天皇の 前 中書王の 書を 投げ 給いしが ごとく なること なかれ.

さては はちまんぐうの ごぞうえいに つきて いちじょうざんそうや あらんずらむと うたがい まいらせ そうろうなり.
さては 八幡宮の 御造営に つきて 一定ざむそうや 有らんずらむと 疑い まいらせ 候なり.

おやと いい わがみと もうし にだいが あいだ.
をやと 云ひ 我が 身と 申し 二代が 間.

きみに めしつかわれ たてまつりて あくまで ごおんの み なり.
きみに めしつかはれ 奉りて あくまで 御恩の 身 なり.

たとい いちじ そういすとも なんの あらみか あるべき.
設 一事 相違すとも なむの あらみか あるべき.

わがみ けんじん ならば たとい かみより つかまつる べきよし おおせ くださるるとも.
わがみ 賢人 ならば 設 上より つかまつる べきよし 仰せ 下さるるとも.

いちおうは なにごとに つけても じたい すべき ことぞかし.
一往は なに事に つけても 辞退 すべき 事ぞかし.

さいわいに ざんしんらが ことを さゆうに よせば よろこんで こそ あるべきに.
幸に 讒臣等が ことを 左右に よせば 悦んで こそ あるべきに.

のぞまるる こと ひとつの とが なり.
望まるる 事 一の 失 なり.

これは さておきぬ 5かいを せんじょうに たもちて こんじょうに じんしんを えたり.
此れは さてをきぬ 五戒を 先生に 持ちて 今生に 人身を 得たり.

されば いうに かい なき ものなれども.
されば 云うに 甲斐 なき 者なれども.

こくしゅ とう いわれなく とがに あつれば しゅごの てん いかりをなし たもう.
国主 等 謂なく 失に あつれば 守護の 天 いかりを なし 給う.

いわんや いのちを うばわるる ことは てんの はなち たもうなり.
況や 命を うばわるる 事は 天の 放ち 給うなり.

いわんや にほんこく 45おく8まん9659にんの なんにょ をば.
いわうや 日本国 四十五億八万九千六百五十九人の 男女 をば.

45おく8まん9659の てん まもり たもうらん.
四十五億八万九千六百五十九の 天 まほり 給うらん.

しかるに たこく より せめ きたる だいなんは のがるべしとも みえ そうらわぬは.
然るに 他国 より せめ 来る 大難は 脱るべしとも 見え 候はぬは.

45おく8まん9659にんの ひとびとの てんにも すてられ たもう うえ.
四十五億八万九千六百五十九人の 人人の 天にも 捨てられ 給う 上.

6よく しぜん ぼんしゃく にちがつ してん とうにも はなたれ まいらせ たもうに こそ そうらいぬれ.
六欲 四禅 梵釈 日月 四天 等にも 放たれ まいらせ 給うに こそ 候いぬれ.

しかるに にほんこくの こくしゅ とう はちまんだいぼさつを あがめ たてまつりなば.
然るに 日本国の 国主 等 八幡大菩薩を あがめ 奉りなば.

なにごとの あるべきと おもわるるが.
なに事の あるべきと 思はるるが.

はちまんは また じりき かないがたければ ほうでんを やきて かくれさせ たもうか.
八幡は 又 自力 叶いがたければ 宝殿を 焼きて かくれさせ 給うか.

しかるに みずからの たいかをば かえりみず.
然るに 自の 大科をば かへりみず.

ほうでんを つくりて まもらせ まいらせんと おもえり.
宝殿を 造りて まほらせ まいらせむと おもへり.

にほんこくの 45おく8まん9659の いっさいしゅじょうが.
日本国の 四十五億八万九千六百五十九人の 一切衆生が.

しゃか たほう じっぽうぶんしんの しょぶつ じゆと しゃばと たほうとの しょだいし.
釈迦 多宝 十方分身の 諸仏 地涌と 娑婆と 他方との 諸大士.

じっぽうせかいの ぼんしゃく にちがつ してんに すてられ まいらせんぶんざいの こと ならば.
十方世界の 梵釈 日月 四天に 捨てられ まひらせん 分斉の 事 ならば.

わずかなる にほんこくの しょうじん てんしょうだいじん はちまんだいぼさつの ちから およびたもうべしや.
はづかなる 日本国の 小神 天照太神 八幡大菩薩の 力 及び給うべしや.

そのとき はちまんぐうは つくりたりとも この くに たこくに やぶられば.
其の時 八幡宮は つくりたりとも 此の 国 他国に やぶられば.

くぼき ところに ちり たまり ひきき ところに みず あつまると.
くぼき ところに ちり たまり ひきき ところに 水 あつまると.

にほんこくの かみ いちにん より しも ばんみんに いたるまで さたせん ことは かねて また しれり.
日本国の 上 一人 より 下 万民に いたるまで さたせむ 事は 兼て 又 知れり.

はちまんだいぼさつは ほんちは あみだ ほとけに まします.
八幡大菩薩は 本地は 阿弥陀 ほとけに まします.

えもんのたいふは ねんぶつ むけん じごくと もうす あみだぶつ をば.
衛門の大夫は 念仏 無間地獄と 申す 阿弥陀仏 をば.

ひに いれ みずに いれ その どうを やきはらい.
火に 入れ 水に 入れ 其の 堂を やきはらひ.

ねんぶつしゃの くびを きれと もうす ものなり.
念仏者の くびを 切れと 申す 者なり.

かかるものの でしだんなと なりて そうろうが.
かかる者の 弟子檀那と 成りて 候が.

はちまんぐうを つくりて そうらえども はちまんだいぼさつ もちいさせ たまわぬ ゆえに.
八幡宮を 造りて 候へども 八幡大菩薩 用いさせ 給はぬ ゆへに.

この くには せめらるるなりと もうさん ときは いかがすべき.
此の 国は せめらるるなりと 申さむ 時は いかがすべき.

しかるに てん かねて このことを しろしめす ゆえに.
然るに 天 かねて 此の事を しろしめす ゆへに.

ごぞうえいの だいばんしょうを はずされたるにや あるらん.
御造営の 大ばんしやうを はづされたるにや あるらむ.

じんぐうじの ことの はずるるも てんの おんはからいか.
神宮寺の 事の はづるるも 天の 御計いか.

→a1106

b1107

その ゆえは いぬる ぶんえい 11ねん しがつ 12にちに おおかぜ ふきて.
其の 故は 去ぬる 文永 十一年 四月 十二日に 大風 ふきて.

その としの たこく より おそいきたるべき ぜんそう なり.
其の 年の 他国 より おそひ来るべき 前相 なり.

かぜは これ てんちの つかい なり.
風は 是れ 天地の 使 なり.

まつりごと あらければ かぜ あらしと もうすは これなり.
まつり 事 あらければ 風 あらしと 申すは 是なり.

また ことし しがつ 28にちを むかえて この かぜ ふき きたる.
又 今年 四月 廿八日を 迎えて 此の 風 ふき 来る.

しかるに 4がつ 26にちは はちまんの むねあげと うけたまわる.
而るに 四月 廿六日は 八幡の むね上と 承はる.

みっかの うちの おおかぜは うたがい なかるべし.
三日の 内の 大風は 疑 なかるべし.

もうこの ししゃの きへんが はちまんぐうを つくりて.
蒙古の 使者の 貴辺が 八幡宮を 造りて.

この かぜを ふきたらんに ひと わらいさたせざるべしや.
此の 風 ふきたらむに 人 わらひさたせざるべしや.

かえすがえす おんびんにして あだみ うらむる きしょく なくて.
返す返す 穏便にして あだみ うらむる 気色 なくて.

みを やつし げにんをも ぐせず よき うまにも のらず.
身を やつし 下人をも ぐせず よき 馬にも のらず.

のこぎり かなずち てに もち こしに つけて.
のこぎり かなづち 手に もち こしに つけて.

つねに えめる すがたにて おわすべし.
つねに えめる すがたにて おわすべし.

このこと いちじも たがえさせ たもうならば.
此の事 一事も たがへさせ 給うならば.

こんじょうには みを ほろぼし ごしょうには あくどうに おち たもうべし.
今生には 身を ほろぼし 後生には 悪道に 堕ち 給うべし.

かえすがえす ほけきょう うらみさせ たもうこと なかれ.
返す返す 法華経 うらみさせ 給う事 なかれ.

きょうきょう.
恐恐.

5がつ 26にち.
五月 廿六日.

ざいごはん.
在御判.

たいふのさかんどの.
大夫志殿.

ひょうえさかんどの
兵衛志殿

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