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四条金吾殿御返事(しじょうきんごどのごへんじ)
別名、剣形書(けんぎょうしょ)・法華経兵法事(ほけきょうへいほうのこと).
日蓮大 聖人 58歳御作.

 

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しじょうきんごどの ごへんじ.
四条金吾殿 御返事.

こうあん 2ねん 10がつ 58さい おんさく.
弘安 二年 十月 五十八歳 御作.

せんど ごうてきと とりあいに ついて おんふみ たまいき くわしく み まいらせ そうろう.
先度 強敵と とりあひに ついて 御文 給いき 委く 見 まいらせ 候、.

さても さても てきじんに ねらわれさせ たまいしか.
さても・さても・敵人に ねらはれさせ 給いしか、.

さきざきの ようじんと いい また けなげと いい.
前前の 用心と いひ 又 けなげと いひ.

また ほけきょうの しんじん つよき ゆえに なんなく ぞんめい せさせ たまい.
又 法華経の 信心 つよき 故に 難なく 存命 せさせ 給い.

めでたし めでたし.
目出たし 目出たし、.

それ うん きわまりぬれば へいほうも いらず.
夫れ 運 きはまりぬれば 兵法も いらず・.

かほう つきぬれば しょじゅうも したがわず.
果報 つきぬれば 所従も したがはず、.

しょせん うんも のこり かほうも ひかゆる ゆえなり.
所詮 運も のこり 果報も ひかゆる 故なり、.

ことに ほけきょうの ぎょうじゃをば しょてん ぜんじん しゅご すべき よし.
ことに 法華経の 行者をば 諸天・善神・守護 すべき よし.

ぞくるいほんにして せいじょうを たて たまい.
属累品にして 誓状を たて 給い・.

いっさいの しゅごしん しょてんの なかにも われらが まなこに みえて しゅごし たまうは にちがってん なり.
一切の 守護神・諸天の 中にも 我等が 眼に 見へて 守護し 給うは 日月天 なり.

いかでか しんを とらざるべき.
争か 信を とらざるべき、.

ことに ことに にってんの まえに まりしてん まします.
ことに・ことに 日天の 前に 摩利支天 まします、.

にってん ほけきょうの ぎょうじゃを しゅごし たまわんに しょじゅうの まりしてんそん すて たまうべしや.
日天・法華経の 行者を 守護し 給はんに 所従の 摩利支天尊 すて 給うべしや、.


じょほんの とき みょうがってんし ふこうてんし ほうこうてんし しだいてんのう よごけんぞく まてんしぐと れつざし たまう.
序品の 時・名月天子・普光天子・宝光天子・四大天王・与其眷属・万天子倶と 列座し 給ふ、.

まりし てんは 3まんてんしの うち なるべし.
まりし 天は 三万天子の 内 なるべし、.

もし うちに なくば じごくにこそ おわしまさんずれ.
もし 内に なくば 地獄にこそ おはしまさんずれ、.

こんどの だいじは この てんの まもりに あらずや.
今度の 大事は 此の 天の まほりに 非ずや、.

かの てんは けんぎょうを きへんに あたえ ここへ くだりぬ.
彼の 天は 剣形を 貴辺に あたへ 此へ 下りぬ、.

この にちれんは しゅだいの 5じを なんじに さづく.
此の 日蓮は 首題の 五字を 汝に さづく、.

ほけきょう じゅじの ものを しゅごせん こと うたがい あるべからず.
法華経 受持の ものを 守護せん 事 疑 あるべからず、.

まりしてんも ほけきょうを たもちて いっさいしゅじょうを たすけ たまう.
まりし天も 法華経を 持ちて 一切衆生を たすけ 給う、.

「りんぴょうとうじゃ かいじんれつざいぜん」の もんも ほけきょうより いでたり.
「臨兵闘者 皆陣列在前」の 文も 法華経より 出でたり、.


「にゃくせつぞっけんきょうしょ じせいごごんししょうごうとう かいじゅんしょうほう」とは これなり.
「若説俗間経書 治世語言資生業等 皆順正法」とは 是なり、.

これに つけても いよいよ ごうじょうに だいしんりきを いだし たまえ.
これに・つけても・いよいよ 強盛に 大信力を いだし 給へ、.

わが うんめい つきて しょてん しゅごなしと うらむる こと あるべからず.
我が 運命 つきて 諸天 守護なしと うらむる 事 あるべからず。.

まさかどは つわものの なを とり へいほうの だいじを きわめたり.
将門は・つはものの 名をとり 兵法の 大事を きはめたり、.

されども おうめいには まけぬ.
されども 王命には まけぬ、.

はんかい ちょうりょうも よしなし.
はんくわひ・ちやうりやうも よしなし・.

ただ こころこそ たいせつなれ.
ただ 心こそ 大切なれ、.

いかに にちれん いのり もうすとも ふしん ならば.
いかに 日蓮 いのり 申すとも 不信 ならば.

ぬれたる ほくちに ひを うちかくるが ごとく なるべし.
ぬれたる・ほくちに・火を うちかくるが・ごとく なるべし、.

はげみを なして ごうじょうに しんりきを いだし たまうべし.
はげみを なして 強盛に 信力を いだし 給うべし、.

すぎし ぞんめい ふしぎと おもわせ たまえ.
すぎし 存命 不思議と おもはせ 給へ、.

なにの へいほう よりも ほけきょうの へいほうを もちい たまうべし.
なにの 兵法 よりも 法華経の 兵法を もちひ 給うべし、.

「しょよおんてき かいしつさいめつ」の きんげん むなしかる べからず.
「諸余怨敵・皆悉摧滅」の 金言 むなしかる べからず、.

へいほうけんぎょうの だいじも この みょうほうより いでたり.
兵法剣形の 大事も 此の 妙法より 出でたり、.

ふかく しんじんを とりたまえ.
ふかく 信心を とり給へ、.

あえて おくびょうにては かなうべからず そうろう.
あへて 臆病にては 叶うべからず 候、.

きょうきょうきんげん.
恐恐謹言。.

10がつ 23にち.
十月二十三日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

しじょうきんごどの ごへんじ.
四条金吾殿 御返事.

 
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