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弥源太殿御返事 (やげんたどの ごへんじ)
別名、善悪二刀御書 (ぜんあく にとう ごしょ).
日蓮大 聖人 53歳 御作.

 

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やげんたどの ごへんじ).
弥源太殿 御返事.

そもそも にちれんは にほん だいいちの びゃくにん なり.
抑 日蓮は 日本 第一の 僻人 なり、.

そのゆえは みな ひとの ふぼよりも たかく.
其の 故は 皆 人の 父母 よりも・ たかく.

しゅくん よりも だいじに おもわれ そうろう ところの.
主君 よりも 大事に・ おもはれ 候 ところの.

あみだぶつ だいにち にょらい やくし とうを ごしんよう ある ゆえに.
阿弥陀仏・ 大日如来・ 薬師 等を 御信用 ある 故に、.

さんさい しちなん せんだいに こえ てんぺんちよう とう.
三災・ 七難・ 先代に こえ 天変・ 地夭 等・.

むかしにも すぎたり ともうす ゆえに.
昔にも・ すぎたりと 申す 故に・.

けっくは こんじょうには みを ほろぼし くにを そこない.
結句は 今生には 身を ほろぼし 国を そこない・.

ごしょうには だいあびじごくに おち たまうべしと.
後生には 大阿鼻地獄に 堕ち 給うべしと、.

いちにち かたときも たゆむ ことなく よばわりし ゆえに かかる だいなんに あえり.
一日・ 片時も・ たゆむ 事なく・ よばわりし 故に・ かかる 大難に あへり、.

たとえば なつの むしの ひに とび くばり.
譬えば 夏の 虫の 火に とび くばり.

ねずみが ねこの まえに いでたるが ごとし.
ねずみが・ ねこの まへに 出でたるが 如し、.

これ あに わがみを しって ようじん せざる ちくしょうの ごとくに あらずや.
是 あに 我が 身を 知つて 用心 せざる 畜生の 如くに あらずや、.

しんみょうを うしなう こと しかしながら こころより いずれば びゃくにん なり.
身命を 失ふ 事・ 併ら 心より 出ずれば 僻人 なり、.

ただし いしは たまを ふくむ ゆえに くだかれ.
但し 石は 玉を ふくむ 故に くだかれ・.

しかは ひにくの ゆえに ころされ.
鹿は 皮肉の 故に・ 殺され・.

さかなは あじわい あるが ゆえに とらる.
魚は あぢはひ ある 故に・ とらる・.

すいは はね ある ゆえに やぶらる.
すいは 羽 ある 故に やぶらる・.

にょにんは みめかたち よければ かならず ねたまる.
女人は・ みめかたち よければ 必ず ねたまる・.

この こころ なるべきか.
此の 意 なるべきか、.

にちれんは ほけきょうの ぎょうじゃ なるゆえに.
日蓮は 法華経の 行者 なる故に.

さんしゅの ごうてき あって しゅじゅの だいなんに あえり.
三種の 強敵 あつて 種種の 大難に あへり.

しかるに かかる ものの でし だんなと ならせ たまうこと ふしぎなり.
然るに かかる 者の 弟子 檀那と ならせ 給う 事 不思議なり.

さだめて しさい そうろうらん.
定めて 子細 候らん.

あいかまえて よくよく ごしんじん そうらいて りょうぜんじょうどへ まいりたまえ.
相構えて 能能 御信心 候て 霊山浄土へ まいり給へ。.

また おんきとうの ため おんたち おなじく かたな あわせて ふたつ おくり たまわって そうろう.
又 御祈祷の ために 御太刀 同く 刀 あはせて 二つ 送り 給はて 候、.

この たちは しかるべき かじ つくり そうろうかと おぼえ そうろう.
此の 太刀は しかるべき かぢ・ 作り 候かと 覚へ 候、.

あまくに あるいは おにきり あるいは やつるぎ.
あまくに 或は 鬼きり 或は やつるぎ・.

いちょうには かんしょうばくやが つるぎに いかでか ことなる べきや.
異朝には・ かむしやうばくやが 剣に 争でか・ ことなる べきや・.

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これを ほけきょうに まいらせ たまう.
此れを 法華経に まいらせ 給う、.

とのの おんもちの ときは あくの かたな.
殿の 御もちの 時は 悪の 刀・.

いま ぶつぜんへ まいりぬれば ぜんの かたな なるべし.
今 仏前へ まいりぬれば 善の 刀 なるべし、.

たとえば おにの どうしんを おこしたらんが ごとし.
譬えば 鬼の 道心を おこしたらんが 如し、.

あら ふしぎや ふしぎや.
あら 不思議や 不思議や、.

ごしょうには この かたなを つえと たのみ たまうべし.
後生には 此の 刀を・ つえと たのみ 給うべし、.

ほけきょうは さんぜの しょぶつ ほっしんの つえにて そうろう ぞかし.
法華経は 三世の 諸仏・ 発心の つえにて 候 ぞかし、.

ただし にちれんを つえ はしらとも たのみ たまうべし.
但し 日蓮を つえ はしらとも・ たのみ 給うべし、.

けわしき やま あしき みち つえを つきぬれば たおれず.
けはしき 山・ あしき 道・ つえを・ つきぬれば・ たをれず、.

ことに てを ひかれ ぬれば まろぶ ことなし.
殊に 手を・ ひかれ ぬれば・まろぶ 事なし、.

なんみょうほうれんげきょうは しでの やま にては つえ はしらと なりたまえ.
南無妙法蓮華経は 死出の 山 にては・ つえは しらと なり給へ、.

しゃかぶつ たほうぶつ じょうぎょう とうの しぼさつは てを とり たまうべし.
釈迦仏・ 多宝仏 上行 等の 四菩薩は 手を 取り 給うべし.

にちれん さきに たち そうらわば おむかえに まいり そうろう ことも あらんずらん.
日蓮 さきに 立ち 候はば 御迎に まいり 候 事もや あらんずらん、.

また さきに いかせ たまわば にちれん かならず えんまほうおうにも くわしく もうすべく そうろう.
又 さきに 行かせ 給はば 日蓮 必ず 閻魔法王にも 委く 申すべく 候、.

このこと すこしも そらごと あるべからず.
此の 事 少しも そら事 あるべからず、.

にちれん ほけきょうの もんの ごとく ならば つうそくの あんないしゃ なり.
日蓮・ 法華経の 文の 如く ならば 通塞の 案内者 なり、.

ただ しっしんに しんじん おわして りょうぜんを きしたまえ.
只 一心に 信心 おはして 霊山を 期し給へ、.

ぜにと いうものは ように したがって へんずる なり.
ぜにと 云うものは 用に・ したがつて 変ずる なり、.

ほけきょうも またまた かくの ごとし.
法華経も 亦復 是くの 如し、.

やみには ともしびと なり わたりには ふねと なり.
やみには 燈と なり・ 渡りには 舟と なり・.

あるいは みずとも なり あるいは ひとも なり たまうなり.
或は 水とも なり 或は 火とも なり 給うなり、.

もし しからば ほけきょうは げんぜあんのん ごしょぜんしょの おんきょう なり.
若し 然らば 法華経は 現世安穏・ 後生善処の 御経 なり。.

そのうえ にちれんは にほんこくの なかには あんしゅうの ものなり.
其上 日蓮は 日本国の 中には 安州の ものなり.

そうじて かのくには「てんしょうだいじんの すみそめ たまいし くに なりと いえり.
総じて 彼国は 天照太神の すみそめ 給いし 国 なりと いへり.

かしこにして にほんこくを さぐり いだし たまう あわのくに おんくりや なり.
かしこにして 日本国を さぐり 出し 給ふ あはの国 御くりや なり・.

しかも このくにの いっさいしゅじょうの じふ じぼ なり.
しかも 此国の 一切衆生の 慈父 悲母 なり.

かかる いみじき くに なれば さだんで ゆえぞ そうろうらん.
かかる いみじき 国 なれば 定んで 故ぞ 候らん.

いかなる しゅくえん にてや そうろうらん.
いかなる 宿習 にてや 候らん.

にちれん また かの くにに うまれたり.
日蓮 又 彼 国に 生れたり.

だいいちの かほう なるなり.
第一の 果報 なるなり.

この しょうそくの せんに あらざれば くわしきは かかず.
此 消息の 詮に あらざれば 委しくは かかず.

ただ おしはかり たまうべし.
但 おしはかり 給うべし。.

よくよく しょてんに いのり もうすべし.
能く能く 諸天に いのり 申べし、.

しんじんに あかなくして しょがんを じょうじゅ したまえ.
信心に あかなくして 所願を 成就し 給へ.

にょうぼうにも よくよく かたらせ たまえ.
女房にも・ よく・よく・ かたらせ 給へ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

2はつ 21にち.
二月 二十一日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

やげんたどの ごへんじ.
弥源太殿 御返事.

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