まつのどの ごへんじ.
松野殿 御返事.
がもく 1かんもん あぶら 1しょう ころも ひとつ ふで 10かん たまい そうろう.
鵞目 一貫文・ 油 一升・ 衣 一・ 筆 十管 給い 候、.
いまに はじめぬ おんこころざし もうし つくしがたく そうらえば.
今に 始めぬ 御志 申し 尽しがたく 候へば.
ほけきょう しゃかぶつに まかせ たてまつり そうろう.
法華経・ 釈迦仏に 任せ 奉り 候。.
さきだって より もうし そうろう.
先立 より 申し 候、.
ただ ざいけの おんみは よねんも なく にちや ちょうせき.
但 在家の 御身は 余念も なく 日夜 朝夕・.
なんみょうほうれんげきょうと となえ そうろうて さいご りんじゅうの ときを みさせ たまえ.
南無妙法蓮華経と 唱え 候て 最後 臨終の 時を 見させ 給へ、.
みょうかくの やまに はしり のぼり しほうを ごらんぜよ.
妙覚の 山に 走り 登り 四方を 御覧ぜよ、.
ほうかいは じゃっこうどにして るりを もって ちと し.
法界は 寂光土にして 瑠璃を 以て 地と し・.
こがねなわを もって やつの みちを さかい.
金繩を 以て 八の 道を さかひ、.
てんより 4しゅの はな ふり こくうに おんがく きこえ.
天より 四種の 花 ふり 虚空に 音楽 聞え、.
しょぶつ ぼさつは みな じょうらくがじょうの かぜに そよめき たまえば.
諸仏・ 菩薩は 皆 常楽我浄の 風に そよめき 給へば・.
われらも かならず その かずに つらならん.
我れ等も 必ず 其の 数に 列ならん、.
ほけきょうは かかる いみじき おんきょう にて おわしまいらせ そうろう.
法華経は かかる・ いみじき 御経 にて・ をはしまいらせ 候、.
いさいは いそぎ そうろう あいだ もうさず そうろう きょうきょう きんげん.
委細は いそぎ 候 間 申さず 候、恐恐 謹言。.
けんじ 3ねん ひのとうし 9がつ ここのか.
建治 三年 丁丑 九月 九日.
にちれん かおう.
日蓮 花押.
まつのどの ごへんじ.
松野殿 御返事.
おって もうし そうろう.
追て 申し 候.
もくれんず 10りょうばかり たまわり そうろうべく そうろう.
目連樹 十両 計り 給はり 候べく 候. |
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