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浄蔵浄眼御消息 (じょうぞう じょうげん ごしょうそく).
日蓮大 聖人 59歳御作.

 

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じょうぞう じょうげん ごしょうそく.
浄蔵 浄眼 御消息.

きごめの たわら ひとつ うりこ ひとつ ねいも しなじなの もの たまい そうろう おわんぬ.
きごめの 俵 一・ 瓜篭 一・ 根芋 品品の 物 給い 候 畢んぬ、.

らくとくと なづけける ちょうじゃに みを いれて.
楽徳と 名付けける 長者に 身を 入れて.

わが みも つまも こも よも ひるも せめ つかわれける ものが.
我が 身も 妻も 子も 夜 も昼も 責め 遣はれける 者が、.

あまりに せめられ たえがたさに.
余りに 責められ 堪えがたさに.

かくれて たこくに いきて そのくにの だいおうに みやづかえける ほどに.
隠れて 他国に 行きて 其の 国の 大王に 官仕へける 程に・.

きりものに なりて かんぱくと なりぬ.
きりものに 成りて 関白と 成りぬ、.

のちに その くにを ちからとして わが もとの しゅの くにを うち とりぬ.
後に 其の 国を 力として 我が 本の 主の 国を 打ち 取りぬ、.

その とき もとの しゅ この かんぱくを みて おおいに おそれ.
其の 時 本の 主・ 此の 関白を 見て 大に 怖れ.

さきに わるく あたりぬるを くい かえして みやづかえ ようようの たからを ひきうける.
前に 悪く 当りぬるを 悔ひ かへして 官仕へ 様様の 財を 引きける、.

さきに まけぬる ものの ことは おもいも よらず.
前に 負けぬる 物の 事は 思ひも よらず.

いまは ただ いのちの いきん ことを はげむ.
今は 只 命の いきん 事を はげむ、.

ほけきょうも また かくの ごとく.
法華経も 又 斯の 如く.

ほけきょうは とうほうの やくしぶつの しゅ.
法華経は 東方の 薬師仏の 主・.

なんぽう さいほう ほっぽう じょうげの いっさいの ほとけの しゅ なり.
南方・ 西方・ 北方・ 上下の 一切の 仏の 主 なり、.

しゃかぶつとうの ほとけの ほけきょうの もんじを うやまい たまう ことは.
釈迦仏等の 仏の 法華経の 文字を 敬ひ 給ふ ことは.

たみの おうを おそれ ほしの つきを うやまうが ごとし.
民の 王を 恐れ 星の 月を 敬ふが 如し、.

しかるに われら しゅじょうは だい6てんの まおうの そうでんの もの.
然るに 我等 衆生は 第六天の 魔王の 相伝の 者・.

じごく がき ちくしょう とうに おしこめられて きもつかず.
地獄・ 餓鬼・ 畜生 等に 押し篭められて 気もつかず.

ちょうせき ごくそつを つけて せむる ほどに.
朝夕 獄卒を 付けて 責むる 程に、.

とかくして ほけきょうに かかり つきぬれば.
兎角して 法華経に 懸り 付きぬれば.

しゃかぶつらの じっぽうの ほとけの みこと せさせ たまえば.
釈迦仏等の 十方の 仏の 御子と せさせ 給へば、.

ぼんのう たいしゃくだにも おそれて よりつかず.
梵王・ 帝釈だにも 恐れて 寄り付かず.

いかに いわんや だい6てんの まおうをや.
何に 況や 第六天の 魔王をや、.

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まおうは さきには しゅ なり しかども いまは うやまい おそれて、あしうせば.
魔王は 前には 主 なり しかども 今は 敬ひ 畏れて、あしうせば.

ほけきょう じっぽうの しょぶつの ごけんざんに あしうや いらん ずらんと.
法華経・ 十方の 諸仏の 御見参に あしうや 入らん ずらんと.

おそれ かしこみて くようを なすなり.
恐れ 畏て 供養を なすなり、.

いかにしても 6どうの いっさいしゅじょうをば ほけきょうへ つけじと はげむ なり.
何にしても 六道の 一切衆生をば 法華経へ・ つけじと・ はげむ なり、.

しかるに いかなる ことにや おわすらん.
然るに 何なる 事にや・ をはすらん.

みなひとの にくみ そうろう にちれんを ふびんと おぼして.
皆人の 憎み 候 日蓮を 不便と おぼして、.

かく はるばると さんちゅうへ しゅじゅの もの おくりたび そうろうこと いちど にど ならず.
かく 遥遥と 山中へ 種種の 物 送りたび 候事 一度 二度 ならず、.

ただごとに あらず ひとえに しゃかぶつの いり かわらせ たまえるか.
ただごとに あらず 偏へに 釈迦仏の 入り 替らせ 給へるか、.

また おくれさせ たまいける ごきんだちの みほとけに ならせ たまいて.
又 をくれさせ 給ひける 御君達の 御仏に ならせ 給いて.

ふぼを みちびかん ために みこころに いり かわらせ たまえるか.
父母を 導かん ために 御心に 入り 替らせ 給へるか。.

みょうしょうごんのうと もうせし おうは あくおう なり しかども.
妙荘厳王と 申せし 王は 悪王 なり しかども.

おんたいし じょうぞう じょうげんの みちびかせ たまい しかば.
御太子・ 浄蔵 浄眼の 導かせ 給い しかば.

ふぼ 2にん ともに ほけきょうを ごしんよう ありて ほとけに ならせ たまいし ぞかし.
父母 二人 共に 法華経を 御信用 有りて 仏に ならせ 給いし ぞかし、.

これも さにてや そうろうらん あやしく おぼえ そうろう.
是も さにてや・ 候らん あやしく 覚え 候、.

かいこうが かたりしは つねの ひとよりも みめ かたちも すぐれて そうらいし うえ.
甲斐公が 語りしは 常の 人よりも・ みめ 形も 勝れて 候し 上・.

こころも なおくて ちえ かしこく.
心も 直くて 智慧 賢く、.

なにごとに つけても ゆゆしかりし ひとの とく はかなく なりし ことの あわれさよと おもい そうらいしが.
何事に 付けても・ ゆゆしかりし 人の 疾 はかなく 成りし 事の 哀れさよと 思ひ 候しが、.

また つらつら おもえば この こ なき ゆえに.
又 倩 思へば 此の 子 なき 故に.

ははも どうしんしゃと なり ちちも ごせしゃに なりて そうろうは ただとも おぼえ そうらわぬに.
母も 道心者と なり 父も 後世者に 成りて 候は 只とも 覚え 候はぬに、.

また みなひとの にくみ そうろう.
又 皆人の 悪み 候・.

ほけきょうに つかせ たまえば ひとえに これ なき ひとの 2にんの おんみに そうて.
法華経に 付かせ 給へば 偏へに 是 なき 人の 二人の 御身に 添うて.

すすめ まいらせられ そうろうにやと もうせしが さもやと おぼえ そうろう.
勧め 進らせられ 候にやと 申せしが・ さもやと 覚え 候、.

さきざきは ただ あらましの ことかと おもいて そうらえば.
前前は 只 荒増の 事かと 思いて 候へば.

これほど おんこころざしの ふかく そうらいける ことは はじめて しりて そうろう.
是程 御志の 深く 候ひける 事は 始めて 知りて 候、.

また もしやの こと そうらわば くらき やみに つきの いずるが ごとく.
又 若しやの 事 候はば くらき 闇に 月の 出づるが 如く.

みょうほうれんげきょうの 5じ つきと あらわれさせ たまうべし.
妙法蓮華経の 五字・ 月と 露れさせ 給うべし、.

その つきの なかには しゃかぶつ じっぽうの しょぶつ.
其の 月の 中には 釈迦仏・ 十方の 諸仏・.

ないし さきに たたせ たまいし ごしそくの あらわれ させ たまうべしと おぼしめせ.
乃至 前に 立たせ 給ひし 御子息の 露れ させ 給ふべしと 思し召せ、.

くわしくは またまた もうすべし、きょうきょう きんげん.
委くは 又又 申すべし、恐恐 謹言。.

7がつ なのか.
七月 七日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

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