b1479-2から1480.
妙心尼御前御返事 (みょうしんあまごぜん ごへんじ)
別名、病之良薬御書 (やまいのりょうやく ごしょ).
日蓮大 聖人 57歳 御作.

 

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みょうしんあまごぜん ごへんじ.
妙心尼御前 御返事.

こうあん がんねん 8がつ 57さい おんさく.
弘安 元年 八月 五十七歳 御作.

あわしがき ふたかご なすび いっこ たまい そうらい おわんぬ.
あわしかき 二篭 なすび 一こ 給い 候い 了んぬ、.

にゅうどうどのの ごしょろうの こと.
入道殿の 御所労の 事、.

かんどに こうてい へんじゃくと もうせし くすし あり.
唐土に 黄帝・ 扁鵲と 申せし・ くすし あり・.

てんじくに じすい ぎばと もうせし くすし あり.
天竺に 持水・ 耆婆と 申せし くすし あり、.

これらは その よの たから まつだいの くすしの し なり.
これらは その 世の たから 末代の くすしの 師 なり、.

ほとけと もうせし ひとは これには にるべきも なき いみじき くすし なり.
仏と 申せし 人は これには にるべくも なき いみじき くすし なり、.

この ほとけ ふしの くすりを とかせ たまえり.
この 仏・ 不死の 薬を とかせ 給へり・.

いまの みょうほうれんげきょうの 5じ これなり.
今の 妙法蓮華経の 五字 是なり.、

しかも この 5じをば えんぶだいの ひとの やまいの りょうやく なりと こそ とかれて そうらえ.
しかも・ この 五字をば 閻浮提人病之良薬と こそ・ とかれて 候へ。.

にゅうどうどのは えんぶだいの うち にほんこくの ひと なり.
入道殿は 閻浮提の 内 日本国の 人 なり、.

しかも みに やまいを うけられて そうろう.
しかも 身に 病を うけられて 候.

やまいのりょうやくの きょうもん けんねん なり.
病之良薬の 経文 顕然 なり、.

その うえ れんげきょうは だいいちの くすり なり.
其の 上 蓮華経は 第一の 薬 なり、.

はるりおうと もうせし あくおう ほとけの したしき にょにん.
はるり王と 申せし 悪王・ 仏の したしき 女人.

500よにんを ころして そうらいしに ほとけ あらかんを りょうぜんに つかわして.
五百余人を 殺して 候いしに・ 仏 阿難を 霊山に つかはして.

しょうれんげを とりよせて みに ふれさせ たまいしかば.
青蓮華を とりよせて 身に ふれさせ 給いしかば・.

よみがえりて しちにち ありて とうりてんに うまれにき.
よみかへりて 七日 ありて トウ利天に 生れにき、.

れんげと もうす はなは かかる いみじき とく ある はな にて そうらえば.
蓮華と 申す 花は かかる いみじき 徳 ある 花 にて 候へば.

ほとけ みょうほうに たとえ たまえり.
仏 妙法に たとへ 給へり、.

また ひとの しぬる ことは やまいには よらず.
又 人の 死ぬる 事は・ やまひには よらず・.

とうじの ゆき つしまの ものどもは やまい なけれども.
当時の ゆき つしまの ものどもは 病 なけれども・.

みなみな むこびとに いちじに うち ころされぬ.
みなみな むこ人に 一時に・ うち ころされぬ・.

やまい あれば しぬべしと いうこと ふじょう なり.
病 あれば 死ぬべしと いふ事 不定 なり、.

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また この やまいは ほとけの おんはからいか.
又 この やまひは 仏の 御はからひか・.

そのゆえは じょうみょうきょう ねはんぎょうには.
そのゆへは 浄名経・ 涅槃経には.

やまいある ひと ほとけに なるべきよし とかれて そうろう.
病ある 人 仏に なるべきよし とかれて 候、.

やまいに よりて どうしんは おこり そうろう なり.
病に よりて 道心は をこり 候 なり、.

また いっさいの やまいの なかには 5ぎゃくざいと いっせんだいと ほうぼうをこそ.
又 一切の 病の 中には 五逆罪と 一闡提と 謗法を こそ.

おもき やまいとは ほとけは いたませ たまえ.
おもき 病とは 仏は いたませ 給へ.

いまの にほんこくの ひとは ひとりも なく ごくだいじゅうびょう あり.
今の 日本国の 人は 一人も なく 極大重病 あり.

いわゆる だいほうぼうの じゅうびょう なり.
所謂 大謗法の 重病 なり.

いまの ぜんしゅう ねんぶつしゅう りっしゅう しんごんし なり.
今の 禅宗 念仏宗 律宗 真言師 なり.

これらは あまりに やまい おもき ゆえに.
これらは あまりに 病 おもき ゆへに.

わが みにも おぼえず ひとも しらぬ やまい なり.
我が 身にも おぼへず 人も しらぬ 病 なり.

この やまいの こうずる ゆえに しかいの つわもの ただいま きたりなば.
この 病の こうずる ゆへに 四海の つわもの ただいま 来りなば.

おうしん ばんみん みな しずみなん.
王臣 万民 みな しづみなん.

これを いきてみ そうらわん.
これを いきてみ 候はん.

まなこ こそ あだあだしく そうらえ
まなこ こそ あだあだしく 候へ。

にゅうどうどのは こんじょうには いたく ほけきょうを ごしんよう ありとは みえ そうらわねども.
入道殿は 今生には いたく 法華経を 御信用 ありとは 見え 候はねども・.

かこの しゅくじゅうの ゆえの もよおしに よりて.
過去の 宿習の ゆへの・ もよをしに よりて・.

この ながやまいに しずみ ひび よよに どうしん ひまなし.
この なが病に しづみ 日日 夜夜に 道心 ひまなし、.

こんじょうに つくり おかせ たまいし しょうざいは すでに きえ そうらいぬらん.
今生に つくり をかせ 給ひし 小罪は すでに きへ 候いぬらん、

あくほうの だいあくは また ほけきょうに きしぬる ゆえに きえさせ たまうべし
謗法の 大悪は 又 法華経に 帰しぬる ゆへに・ きへさせ 給うべし.

ただいま りょうぜんに まいらせ たまいなば.
ただいまに 霊山に まいらせ 給いなば・.

ひ いでて じっぽうを みるが ごとく うれしく.
日 いでて 十方を みるが・ ごとく うれしく、.

とく しにぬるものかなと うちよろこび たまい そうらわんずらん.
とく 死にぬるものかなと・ うちよろこび 給い 候はんずらん、.

ちゅううの みちに いかなる ことも いできたり そうらわば.
中有の 道に いかなる 事も いできたり 候はば・.

にちれんが でしなりと なのらせ たまえ.
日蓮が でしなりと なのらせ 給へ、.

わずかの にほんこく なれども さがみどのの うちの ものと もうすをば.
わずかの 日本国 なれども さがみ殿の うちの ものと 申すをば・.

そうなく おそるる こと そうろう.
左右なく おそるる 事 候、.

にちれんは にほん だいいちの ふとうの ほっし.
日蓮は 日本 第一の ふたうの 法師.

ただし ほけきょうを しんじ そうろう ことは いちえんぶだい だいいちの しょうにん なり.
ただし 法華経を 信じ 候 事は 一閻浮提 第一の 聖人 なり、.

その なは じっぽうの じょうどに きこえぬ.
其の 名は 十方の 浄土に きこえぬ、.

さだめて てんちも しりぬるらん.
定めて 天地も しりぬらん・.

にちれんが でしと なのらせ たまわば.
日蓮が 弟子と なのらせ 給はば・.

いかなる あっき なりとも よもしらぬ よしは もうさじと おぼすべし.
いかなる 悪鬼 なりとも よもしらぬ よしは 申さじと おぼすべし、.

さては たびたびの おんこころざし もうす ばかりなし.
さては 度度の 御心ざし 申す ばかりなし、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

さるは きを たのむ さかなは みずを のむ.
さるは 木を たのむ・ 魚は 水を たのむ・.

にょにんは おとこを たのむ.
女人は おとこを たのむ・.

わかれの おしき ゆえに かみを そり そでを すみに そめぬ.
わかれの をしき ゆへに かみを そり・ そでを すみに そめぬ、.

いかでか じっぽうの ほとけも あわれませ たまわざるべき.
いかでか 十方の 仏も あはれませ 給はざるべき、.

ほけきょうも すてさせ たまうべきと たのませ たまえ たのませ たまえ.
法華経も すてさせ 給うべきと たのませ 給え・ たのませ 給え。.

8がつ 16にち
八月 十六日

にちれん かおう.
日蓮 花押.

みょうしんあまごぜん ごへんじ.
妙心尼御前 御返事.

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