b1483-2から1484.
妙心尼御前御返事 (みょうしんあまごぜん ごへんじ).
日蓮大聖人 59歳 御作.

 

b1483

みょうしんあまごぜん ごへんじ.
妙心尼御前 御返事.

こうあん 3ねん 5がつ 59さい おんさく.
弘安 三年 五月 五十九歳 御作.

しゅじゅの もの たまいて そうろう.
すずの もの 給いて 候、.

とうじは のうじにて ひとの いとま なき とき.
たうじは 農時にて 人の いとま なき 時・.

かように くさぐさの ものども おくり たまいて そうろう こと.
かやうに・ くさぐさの ものども・ をくり 給いて 候 事.

いかにとも もうす ばかりなく そうろう.
いかにとも 申す ばかりなく 候、.

これも ひとえに こ にゅうどうどのの おんわかれの しのびがたきに.
これも ひとへに 故 入道殿の 御わかれの・ しのびがたきに.

ごせの おんためにて こそ そうらんめ.
後世の 御ためにて こそ 候らんめ、.

ねんごろに ごせを とぶらわせ たまい そうらえば.
ねんごろに ごせを とぶらはせ 給い 候へば・.

いくそばく うれしく おわしますらん.
いくそばく・ うれしく おはしますらん、.

とう ひとも なき くさむらに つゆ しげき ようにて.
とふ 人も なき 草むらに 露 しげき やうにて・.

しゃばせかいに とどめおきし おさなきもの なんどの ゆくえ きかまほし.
さばせかいに とどめをきし をさなきもの なんどの ゆくへ きかまほし。.

→a1483

b1484

あの そぶが ここくに 19ねん.
あの 蘇武が 胡国に 十九年.

ふるさとの つまと ことの こいしさに かりの あしに つけし ふみ.
ふるさとの 妻と 子との・ こひしさに 雁の 足に つけし ふみ、.

あべのなかまろが もろこしにて にほんへ かえされざりし とき.
安部の中麻呂が 漢土にて 日本へ かへされざりし 時・.

ひがしに いでし つきを みて かの かすがののつきよと ながめしも.
東に いでし 月を みて かの 春日野の 月よと・ ながめしも.

みに あたりて こそ おわすらめ.
身に あたりて こそ・ おはすらめ。.

しかるに ほけきょうの だいもくを つねは となえさせ たまえば.
しかるに 法華経の 題目を つねは・ となへさせ 給へば.

この みょうの もじ おんつかいに へんぜさせ たまい.
此の 妙の 文じ 御つかひに 変ぜさせ 給い・.

あるいは もんじゅしりぼさつ あるいは ふげんぼさつ.
或は 文殊師利菩薩 或は 普賢菩薩.

あるいは じょうぎょうぼさつ あるいは ふぎょうぼさつ とうと ならせ たもうなり.
或は 上行菩薩 或は 不軽菩薩 等と ならせ 給うなり、.

たとえば ちんしが かがみの とりの つねに つげしが ごとく.
譬えば ちんしが かがみの とりの・ つねに つげしが ごとく.

そぶが めの きぬたの こえの きこえしが ごとく.
蘇武が めの きぬたの こえの・ きこえしが ごとく・.

しゃばせかいの ことを めいどに つげさせ たまうらん.
さばせかいの 事を 冥途に つげさせ 給うらん、.

また みょうの もじは はなの このみと なるが ごとく.
又 妙の 文字は 花の このみと・ なるが ごとく.

はんげつの まんげんと なるが ごとく.
半月の 満月と なるが ごとく.

へんじて ほとけと ならせ たまう もじ なり.
変じて 仏と ならせ 給う 文字 なり。.

されば きょうに いわく.
されば 経に 云く.

「よく この きょうを たもつは すなわち ぶっしんを たもつ なり」と.
「能く 此の 経を 持つは 則ち 仏身を 持つ なり」と、.

てんだいだいしに いわく.
天台大師の 云く.

「いちいち もんもん これ しんぶつ なり」とう うんぬん.
「一一 文文 是れ 真仏 なり」等 云云、.

みょうの もじは 32そう 80しゅごう.
妙の 文字は 三十二相・ 八十種好・.

えんび せさせ たまう しゃかにょらいにて おわしますを.
円備 せさせ 給う 釈迦如来にて おはしますを・.

われらが まなこ つたなくして もじとは み まいらせ そうろうなり.
我等が 眼 つたなくして 文字とは・ み まいらせ 候なり、.

たとえば はちすの この いけの なかに おいて そうろうが ように そうろう.
譬へば はちすの 子の 池の 中に 生いて 候が やうに 候.

はちすの そうろうを としよりて そうろう ひとは まなこ くらくして みず.
はちすの 候を としよりて 候 人は 眼 くらくして みず、.

よるは かげの そうろうを やみに みざるが ごとし.
よるは かげの 候を やみに みざるが ごとし、.

されども この みょうの じは ほとけにて おわし そうろう なり.
されども 此の 妙の 字は 仏にて おはし 候なり、.

また この みょうの もじは つき なり ひ なり ほし なり.
又 此の 妙の 文字は 月 なり 日 なり 星 なり.

かがみ なり ころも なり しょく なり はな なり だいち なり たいかい なり.
かがみ なり 衣 なり 食 なり 花 なり 大地 なり 大海 なり、.

いっさいの くどくを あわせて みょうの もじと ならせ たもう.
一切の 功徳を 合せて 妙の 文字と ならせ 給う、.

または にょい ほうじゅの たま なり.
又は 如意宝珠の たま なり、.

かくの ごとく しらせ たまうべし.
かくの ごとく・しらせ 給うべし、.

くわしくは またまた もうすべし.
くはしくは 又又 申すべし。.

5がつ 4よっか.
五月 四日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

はわきどの もうさせ たまえ.
はわき殿 申させ 給へ.

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