b1529.
南条殿御返事(なんじょうどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 55歳 御作.

 

なんじょうどの ごへんじ.
南条殿 御返事.

けんじ 2ねん しょうがつ 55さい おんさく.
建治 二年 正月 五十五歳 御作.

あたう なんじょうしちろうじろう.
与 南条七郎次郎.

はるの はじめの おんつかい じた もうしこめ まいらせ そうろう.
はるの はじめの 御つかひ 自他 申しこめ まいらせ 候、.

さては たまわる ところの しゅじゅの もの のこと.
さては 給はる ところの すずの 物の 事、.

もち70まい さけ ひとつつ いも いちだ かわのり ひとかみぶくろ.
もちゐ・ 七十まい・ さけ ひとつつ・ いも いちだ・ 河のり ひとかみぶくろ・.

だいこん ふたつやまのいも 7ほん とうなり.
だいこん ふたつ・ やまのいも 七ほん 等 なり、.

ねんごろの おんこころざしは しなじなの ものに あらわれ そうらいぬ.
ねんごろの 御心ざしは・ しなじなの ものに・  あらはれ 候いぬ。.

ほけきょうの だい8の まきに いわく.
法華経の 第八の 巻に 云く.

「しょがん むなしからず また げんせに おいて その ふくほうを えん」.
「所願 虚しからず 亦 現世に 於て 其の 福報を 得ん」.

また いわく「まさに げんせに おいて げんの かほうを うべし」とう うんぬん.
又 云く「当に 現世に 於て 現の 果報を 得べし」等 云云、.

てんだいだいし いわく「てんしの いちげん むなしからず」.
天台大師 云く「天子の 一言 虚しからず」.

また いわく「ほうおう むなしからず」とう うんぬん.
又云く「法王 虚しからず」等 云云、.

けんおうと なりぬれば たとえ みを ほろぼせども そらごと せず.
賢王と なりぬれば・ たとひ 身を ほろぼせども そら事 せず、.

いわんやしゃかにょらいは ふみょうおうと おわせし ときは.
いわうや 釈迦如来は 普明王と おはせし 時は.

はんぞくおうの たてへ いらせ たまいき.
はんぞく王の たてへ 入らせ 給いき・.

ふもうごかいを たもたせ たまいし ゆえなり.
不妄語戒を 持たせ 給いし ゆへなり、.

かりおうと おわせし ときは.
かり王と おはせし 時は.

じつご しょうにん だいもうご にゅうじごくと こそ おおせ ありしか.
実語 少人 大妄語 入地獄と こそ・ おほせ ありしか、.

いわんや ほけきょうと もうすは ほとけ われと ようとうせつしんじつと なのらせ たまいし うえ.
いわうや 法華経と 申すは 仏・ 我と 要当説真実と なのらせ 給いし 上・.

たほうぶつ じっぽうのしょぶつ あつまらせ たまいて.
多宝仏・ 十方の諸仏 あつまらせ 給いて.

にちがつ しゅうせいの ならばせ たまうが ごとくに そうらいし ざせき なり.
日月・ 衆星の ならばせ 給うが ごとくに 候いし 座席 なり、.

ほけきょうに そらごと あるならば なにごとをか ひと しんずべき.
法華経に そら事 あるならば・ なに事をか 人 信ずべき、.

かかる おんきょうに いっか いっこうをも くようする ものは.
かかる 御経に 一華・ 一香 をも 供養する 人は.

かこに じゅうまんおくの ほとけを くようする ひと なり.
過去に 十万億の 仏を 供養する 人 なり、.

また しゃか にょらいの まっぽうに よの みだれ たらん とき.
又 釈迦如来の 末法に 世の みだれ たらん 時・.

おうしん ばんみん こころを ひとつにして ひとりの ほけきょうの ぎょうじゃをあだまん とき.
王臣・ 万民・ 心を 一にして 一人の 法華経の 行者を あだまん 時・.

この ぎょうじゃ かんばつの しょうすいに さかなの すみ.
此の 行者 かんぱちの 小水に 魚の すみ・.

ばんにんに かこまれたる しかの ごとく ならん とき.
万人に かこまれたる 鹿の ごとく ならん 時、.

ひとり ありて とぶらわん ひとは.
一人 ありて・ とぶらはん 人は.

しょうしんの きょうしゅ しゃくそんを いっこうが あいだ さんごう そうおうして.
生身の 教主 釈尊を 一劫が 間・ 三業 相応して.

くようし まいらせ たらん より なお くどく すぐるべき よし.
供養し まいらせ たらん より なを 功徳 すぐるべき よし・.

にょらいの きんげん ふんみょう なり.
如来の 金言・ 分明 なり、.

ひは かくかくたり つきは めいめいたり.
日は 赫赫たり 月は 明明たり・.

ほけきょうの もじは かくかく めいめいたり.
法華経の 文字は かくかく・ めいめいたり・.

めいめい かくかくたり.
めいめい・ かくかくたり、.

あきらかなる かがみに かおを うかべ.
あきらかなる 鏡に かをを うかべ、.

すめる みずに つきの うかべたるが ごとし.
すめる 水に 月の うかべるが ごとし。.

しかるに やくおげんぜとくごふくほうの ちょくせん.
しかるに 亦於現世得其福報の 勅宣・.

とうおげんせとくげんかほうの ほうしょう.
当於現世得現果報の 鳳詔・.

なんじょうの しちろうじろうどのに かぎりて むなしかるべしや.
南条の 七郎次郎殿に かぎりて・ むなしかるべしや、.

ひは にしより いずる よ つきは ちより なるとき なりとも.
日は 西より いづる 世・ 月は 地より なる時 なりとも・.

ほとけの ことば むなしからじと こそ さだめさせ たまいしか.
仏の 言 むなしからじと こそ 定めさせ 給いしか、.

これを もって おもうに じふ かこの しょうりょうは.
これを もつて・ おもうに 慈父 過去の 聖霊は.

きょうしゅ しゃくそんの ごぜんに わたらせ たまい.
教主 釈尊の 御前に わたらせ 給い・.

だんなは また げんせに だいかほうを まねかん こと うたがい あるべからず.
だんなは 又 現世に 大果報を まねかん 事 疑 あるべからず、.

こうじん こうじん.
かうじん かうじん。.

けんじ 2ねん しょうがつ 19にち.
建治 二年 正月 十九日.

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

なんじょうどの ごへんじ.
南条殿御返事.

 
→a1529
→c1529
 ホームページトップ
inserted by FC2 system