b1549から1550.
時光御返事 (ときみつ ごへんじ).
日蓮大 聖人 57歳 御作.

 

b1549

ときみつ ごへんじ.
時光 御返事.

こうあん がんねん 7がつ ようか 57さい おんさく.
弘安 元年 七月 八日 五十七歳 御作.

あたう なんじょうときみつ.
与 南条時光.

むぎの しろき こめ いちだ はじかみ おくりたび おわんぬ.
むぎの しろき こめ 一駄・ はじかみ 送り 給び 畢んぬ。.

こくぼんおうのたいし あなりつと もうす ひとは.
こくぼんわうの太子 あなりちと 申す 人は・.

いえに ましましし ときは ぞくしょうは がっしこくの ほんしゅ てんりんじょうおうの すえ.
家に ましましし 時は 俗性は 月氏国の 本主 てんりん聖王の すえ・.

ししきょうおうの まご じょうぼんおうの おい.
師子けう王の まご・ 浄飯王の おひ・.

こくぼんおうには たいし なり.
こくぼん王には 太子 なり、.

てんかに いやしからざる うえ.
天下に・ いやしからざる 上・.

かちゅうには いちにちの あいだ 12000にんの ひと でいり す.
家中には 一日の 間・一万二千人の 人 出入 す、.

6000にんは たからを かりき 6000にんは かえり なす.
六千人は たからを かりき・ 六千人は かへり なす、.

かかる とみびと にて おわする うえ てんげんだいいちの ひと.
かかる 富人 にて おはする 上・ 天眼第一の 人・.

ほけきょうにては ふみょうにょらいと なるべきよし ほとけ しるし たもう.

これは かこの おこないは いかなる だいぜんぞと たづぬるに.
これは 過去の 行は・ いかなる 大善ぞと たづぬるに・.

むかし りょうし あり.
むかし れうし あり.

やまの けだものを とりて すぎけるが.
山の けだものを とりて・ すぎけるが・.

また ひえを つくり しょくと するほどに.
又 ひえを つくり 食と するほどに・.

うえたる よ なれば ものも なし.
飢えたる 世 なれば ものも なし、.

ただ ひえの はん ひとつ ありけるを くい ければ.
ただ・ ひえの はん 一 ありけるを・ くひ ければ・.

りだと もうす ひゃくしぶつの しょうにん きたりて いわく.
りだと 申す 辟支仏の 聖人 来りて 云く・.

われ なのかの あいだ しょく なし こわせ たまいしかば.
我 七日の 間 食なし こわせ たまいしかば.

なんじが くいもの えさせよと こわせ たまい しかば.
汝が 食者 えさせよと・こわせ 給い しかば・.

きたなき ぞくの ごきに いれて けがし はじめて そうろうと もうしければ.
きたなき 俗の ごきに 入れて・ けがし はじめて 候と 申しければ・.

ただ えさせよ いま しょくせずば しぬべしと いう.
ただ 得させよ 今 食せずば 死ぬべしと 云う、.

おそれながら まいらせつ.
おそれながら・ まいらせつ、.

この しょうにん まいり たまいしが ただ ひえ ひとつぶを とり のこして.
此の 聖人 まいり 給いしが・ ただ ひえ 一つびを・とり のこして・.

りょうしに かえし たまいき.
れうしに かへし 給いき、.

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b1550

ひえ へんじて いのこと なる.
ひえ へんじて 猪と なる、.

いのこ へんじて こがねと なる.
いのこ 変じて 金と なる・.

こがね へんじて しびとと なる.
金 変じて 死人と なる・.

しびと へんじて また こんじんと なる.
死人 変じて 又 金人と なる・.

ゆびを ぬいて うれば もとの ごとし.
指を ぬいて 売れば 本の ごとし、.

かくの ごとく 91こう ちょうじゃに うまれ.
かくの ごとく 九十一劫・ 長者に 生れ.

いまは あなりつと もうして ほとけの みでし なり.
今は あなりちと 申して 仏の 御弟子 なり、.

わずかの ひえ なれども うえたる くにに.
わづかの・ ひえ なれども 飢えたる 国に.

ちしゃの おんいのちを つぐ ゆえに めでたき むくいを う.
智者の 御いのちを・ つぐ ゆへに・ めでたき 報を 得。.

かしょうそんじゃと もうせし ひとは ほとけの なかには だいいちに たっとき ひと なり.
迦葉尊者と 申せし 人は 仏の 御弟子の 中には 第一に たとき 人 なり、.

この ひとの いえを たずぬれば まかだいこくの あま くりだちょうじゃの こ なり.
此の 人の 家を たづぬれば 摩かだい国の 尼 くりだ長者の 子 なり、.

たくに たたみ せんじょう あり.
宅に たたみ 千でう あり・.

いちじょうは あつさ ななしゃく げぼんの たたみは こがね 1000りょう なり.
一でうは あつさ 七尺 下品の たたみは 金 千両 なり、.

からすき 999.
からすき 九百九十九・.

ひとつの からすきは こがね 1000りょう.
一の からすきは 金 千両、.

こがね 340こく いれたる くら 60.
金 三百四十石 入れたる くら 六十・.

かかる だいちょうじゃ なり.
かかる 大長者 なり、.

めは また みは こんじきにして 16りを てらす.
めは 又身は 金色にして 十六里を てらす、.

にほんこくの そとおりひめ にも すぎ かんどの りふじんにも こえたり.
日本国の 衣通姫 にも すぎ・ 漢土の りふじんにも こえたり、.

この ふうふ どうしんを おこして ほとけの みでしと なれり.
此の 夫婦 道心を 発して 仏の 御弟子と なれり、.

ほけきょう にては こうみょうにょらいと いわれさせ たもう.
法華経 にては 光明如来と いはれさせ 給う、.

この ふたりの ひとびとの かこを たづねれば.
此の 二人の 人人の 過去を たづねれば.

むぎはんを しゃくしぶつに くよう せし ゆえに かしょうそんじゃと うまれ.
麦飯を 辟支仏に 供養 せし ゆへに 迦葉尊者と 生れ、.

こがねの ぜに いちまいを ぶっしに あつらえて.
金の ぜに 一枚を 仏師に あつらへて.

びばしぶつの ぞうの おんはくに ひきし ひんにんは この ひとの めと なれり.
毘婆尸仏の 像の 御はくに ひきし 貧人は 此の 人の めと なれり。.

いま にちれんは しょうにんには あらざれども ほけきょうに おんなを たてたり.
今 日蓮は 聖人には あらざれども 法華経に 御名を たてり、.

こくしゅにに くまれて わが みを せく うえ.
国主に にくまれて 我が 身を せく 上・.

でし かよう ひとをも あるいは のり あるいは うち.
弟子 かよう 人をも・ 或は のり・ 或は うち・.

あるいは しょりょうを とり あるいは ところを おう.
或は 所領を とり・ 或は ところを おふ、.

かかる こくしゅの うちに ある ひとびと なれば.
かかる 国主の 内に ある 人人 なれば・.

たとえ こころざし あるらん ひとびとも とう ことなし.
たとひ 心ざし あるらん 人人も とふ 事なし、.

この こと ことふりぬ.
此の 事 事ふりぬ、.

なかにも ことしは えきびょうと もうし けかちと もうし.
なかにも 今年は 疫病と 申し 飢渇と 申し.

といくる ひとびとも すくなし.
とひくる 人人も すくなし、.

たとえ やまい なくとも うえて しなん こと うたがい なかる べきに.
たとひ やまひ なくとも 飢えて 死なん 事 うたがひ なかる べきに・.

むぎの おんとぶらい こがねにも すぎ たまにも こえたり.
麦の 御とぶらい 金にも すぎ 珠にも こえたり、.

かの ちだが ひえは へんじて こんじんと なる.
彼の りだが ひゑは 変じて 金人と なる、.

この ときみつが むぎ なんぞ へんじて ほけきょうの もじと ならざらん.
此の 時光が 麦 何ぞ 変じて 法華経の 文字と ならざらん、.

この ほけきょうの もじは しゃかぶつと なり たまい.
此の 法華経の 文字は 釈迦仏と なり 給い・.

ときみつが こ おやちちの さゆうの おんはねと なりて.
時光が 故 親父の 左右の 御羽と なりて.

りょうぜんじょうどへ とび たまえ かけり たまえ.
霊山浄土へ とび 給へ かけり 給へ、.

かえりて ときみつが みを おおい はぐくみ たまえ.
かへりて 時光が 身を おほひ・ はぐくみ 給へ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

こうあん がんねん 7がつ ようか.
弘安 元年 七月 八日.

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事.

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