b1551.
上野殿御返事(うえのどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 57歳 御作.

 

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事.

こうあん がんねん 9がつ 19にち 57さい おんさく.
弘安 元年 九月 十九日 五十七歳 御作.

あたう なんじょうときみつ.
与 南条時光.

しお いちだ はじかみ おくり たび そうろう.
塩 一駄 はじかみ 送り 給び 候。.

こがね おおくして にほんこくの いさごの ごとく ならば.
金 多くして 日本国の 沙の ごとく ならば.

だれか たからとして はこの そこに おさむべき.
誰か・ たからとして・はこの そこに おさむべき、.

もち おおくして いちえんぶだいの だいちの ごとく ならば.
餅 多くして 一閻浮提の 大地の ごとく ならば.

だれか こめの おんを おもくせん.
誰か 米の 恩を・ おもくせん。.

ことしは しょうがつ より ひびに あめ ふり.
今年は 正月 より 日日に 雨 ふり・.

ことに しちがつ より おおあめ ひまなし.
ことに 七月 より 大雨 ひまなし、.

この ところは さんちゅう なる うえ.
この ところは 山中 なる 上・.

みなみは はきいがわ きたは はやかわ ひがしは ふじがわ にしは しんざん なれば.
南は 波木井河・ 北は 早河・ 東は 富士河・ 西は 深山 なれば.

ながあめ おおあめ じじ ひびに つづく あいだ.
長雨・ 大雨・ 時時 日日に つづく 間・.

やま さけて たにを うずみ いし ながれて みちを ふさぐ.
山 さけて 谷を うづみ・ 石 ながれて 道を ふせぐ・.

かわ たけくして ふね わたらず.
河 たけくして 船 わたらず、.

ふじん なくして ごこく とぼし.
富人 なくして 五穀 ともし・.

しょうにん なくして ひと あつまる ことなし.
商人 なくして 人 あつまる 事なし、.

しちがつ なんどは しお いっしょうを ぜに 100.
七月 なんどは・ しほ 一升を・ ぜに 百・.

しお ごごうを むぎ いっとに かえ そうらいしが.
しほ 五合を 麦 一斗に かへ 候しが・.

いまは ぜんたい しお なし.
今は ぜんたい・ しほ なし、.

なにを もってか かうべき.
何を 以てか・ かうべき、.

みそも たえぬ.
みそも・ たえぬ、.

しょうにの ちを しのぶが ごとし.
小児の 乳を しのぶが ごとし。.

かかる ところに この しおを いちだ たびて そうろう.
かかる ところに・ この しほを 一駄 給びて 候.

おんこころざし だいち よりも あつく こくう よりも ひろし.
御志・ 大地 よりも あつく 虚空 よりも ひろし、.

よが ことばは ちから およぶ べからず.
予が 言は 力 及ぶ べからず.

ただ ほけきょうと しゃかぶつとに ゆずり まいらせ そうろう.
ただ 法華経と 釈迦仏とに・ ゆづり まいらせ 候、.

こと おおしと もうせども しじょうには つくしがたし.
事 多しと 申せども 紙上には・ つくしがたし、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

こうあん がんねん 9がつ 19にち.
弘安 元年 九月 十九日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事.

 
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