b1553から1554.
九郎太郎殿御返事 (くろうたろうどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 57歳 御作.

 

b1553

くろうたろうどの ごへんじ.
九郎太郎殿 御返事.

こうあん がんねん 11がつ ついたち 57さい おんさく.
弘安 元年 十一月 一日 五十七歳 御作.

あたう なんじょうくろうたろう.
与 南条九郎太郎.

これにつけても こ うえのどのの ことこそ おもいいでられ そうらえ.
これにつけても・ こ うえのどのの 事こそ をもひいでられ 候へ。.

いも いちだ くり やきごめ はじかみ たび そうらいぬ.
いも 一駄・ くり・ やきごめ・ はじかみ 給び 候いぬ.

さては ふかき やまには いも つくる ひとも なし.
さては ふかき 山には いも つくる 人も なし・.

くりも ならず はじかみも おいず.
くりも ならず・ はじかみも をひず・.

まして やきごめ みえ そうらわず.
まして やきごめ みへ 候はず、.

たとえ くり なりたりとも さるの こずえ からす.
たとえ くり なりたりとも さるの こずへ 枯らす、.

いえの いもは つくる ひと なし.
いえの いもは つくる 人 なし・.

たとえ つくり たりとも ひと にくみて たび そうらわず.
たとえ つくり たりとも・ 人 にくみて たび 候はず、.

いかにして かかかる たかき やまへは きたり そうろうべき.
いかにしてか・ かかる たかき山へは・ きたり 候べき。.

それ やまを み そうらえば たかき より しだいに しもへ くだれり.
それ 山を み 候へば・ たかき より しだいに しもえ くだれり、.

うみを み そうらえば あさき より しだいに ふかし.
うみを み 候へば・ あそき より・ しだいに ふかし、.

よを み そうらえば 30ねん 20ねん 5ねん 4 3 2 1.
代を み 候へば 三十年・ 二十年・ 五年・ 四 三 二 一・.

しだいに おとろえたり.
次第に をとろへたり、.

ひとの こころも かくのごとし.
人の 心も かくのごとし、.

これは よの すえに なり そうらえば.
これは よの すへに なり 候へば.

やまには まがれる き のみ とどまり.
山には・ まがれる き のみ とどまり・.

のには ひきき くさ のみ おいたり.
のには・ ひきき くさ のみ をひたり、.

よには かしこき ひとは すくなく はかなき ものは おおし.
よには・ かしこき 人は すくなく・ はかなき ものは をほし、.

ぎゅうばの ちちを しらず とようの ははを わきまえざるが ごとし.
牛馬の ちちを しらず・ 兎羊の 母を わきまえざるが ごとし。.

ほとけ ごにゅうめつ ありては 2220よねん なり.
仏 御入滅 ありては 二千二百二十余年 なり・.

よ すえに なりて ちじん しだいに かくれて.
代 すへに なりて 智人 次第に かくれて.

やまの くだれるが ごとく くさの ひききに にたり.
山の くだれるが ごとく・くさの ひききに にたり、.

ねんぶつを もうし かいを たもち なんど する ひとは おおけれども.
念仏を 申し かいを たもち なんど する 人は・ ををけれども.

ほけきょうを たのむ ひと すくなし.
法華経を たのむ 人 すくなし、.

ほしは おおけれども たいかいを てらさず.
星は 多けれども 大海を てらさず・.

くさは おおけれども おおうちの はしらとは ならず.
草は 多けれども 大内の 柱とは ならず、.

ねんぶつは おおけれども ほとけと なる みちには あらず.
念仏は 多けれども 仏と 成る 道には あらず・.

かいは たもてども じょうどへ まいる たねとは ならず.
戒は 持てども 浄土へ まひる 種とは 成らず、.

ただ なんみょうほうれんげきょうの しちもじ のみこそ ほとけに なる たねには そうらえ.
但 南無妙法蓮華経の 七字 のみこそ 仏に なる 種には 候へ、.

これを もうせば ひとは そねみて もちいざりしを.
此れを 申せば 人は そねみて 用ひざりしを.

こ うえのどの しんじ たまいしに よりて ほとけに ならせ たまいぬ.
故 上野殿 信じ 給いしに よりて 仏に 成らせ 給いぬ、.

おのおのは その まつにて この おんこころざしを とげ たもうか.
各各は 某の 末にて 此の 御志を とげ 給うか、.

りゅうめに つきぬる だには せんりを とぶ.
竜馬に つきぬる・ だには 千里を とぶ、.

まつに かかれる つたは せんじんを よずと もうすは これか.
松に かかれる・ つたは 千尋を よづと 申すは 是か、.

おのおの しゅの おんこころ なり.
各各 主の 御心 なり、.

つちの もちを ほとけに くようせし ひとは おうと なりき.
つちの もちゐを 仏に 供養せし 人は 王と なりき、.

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b1554

ほけきょうは ほとけに まさらせ たもう ほう なれば くよう せさせ たまいて.
法華経は 仏に まさらせ 給う 法 なれば 供養 せさせ 給いて、.

いかでか こんじょうにも りしょうに あずかり.
いかでか 今生にも 利生に あづかり.

ごしょうにも ほとけに ならせ たまわざるべき.
後生にも 仏に ならせ 給はざるべき、.

そのうえ み ひんにして げにん なし.
その上 身 貧にして・ げにん なし、.

さんが わずらい あり.
山河 わづらひ あり、.

たとえ こころざし ありとも あらわしがたきに.
たとひ 心ざし ありとも・ あらはしがたきに・.

いま いろを あらわさせ たもうに しりぬ.
いま いろを あらわさせ 給うに しりぬ、.

おぼろげ ならぬ ことなり.
をぼろげ ならぬ 事なり、.

さだめて ほけきょうの じゅうらせつ まもらせ たまい ぬらんと.
さだめて 法華経の 十羅刹 まほらせ 給い ぬらんと・.

たのもしく こそ そうらえ.
たのもしく こそ 候へ、.

こと つくしがたし.
事 つくしがたし、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

こうあん がんねん 11がつ ついたち.
弘安 元年 十一月 一日.

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

くろうたろうどの ごへんじ.
九郎太郎殿 御返事.

→a1554

 
→a1553
→c1553
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