b1560から1561.
上野殿御返事 (うえのどのごへんじ)
別名、竜門御書 (りゅうもんごしょ).
日蓮大 聖人 58歳御作.

 

b1560

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事.

こうあん 2ねん 58さい おんさく.
弘安 二年 五十八歳 御作.

もろこしに りゅうもんと もうす たき あり.
唐土に 竜門と 申す たき あり・.

たかきこと 10じょう みずの くだること がっぴょうが やを いおとすよりも はやし.
たかき事 十丈・ 水の 下ること がつひやうが・ やを いをとすよりも はやし、.

このたきに おおくの ふな あつまりて のぼらんと もうす.
このたきに ををくの ふな あつまりて・ のぼらむと 申す、.

ふなと もうす いおの のぼりぬれば りゅうと なり そうろう.
ふなと 申す いをの のぼりぬれば・ りうと なり 候、.

100に ひとつ せんに ひとつ まんに ひとつ 10ねん 20ねんに ひとつも のぼること なし.
百に 一・ 千に 一・ 万に 一・十年・ 二十年に 一も・ のぼる事 なし、.

あるいは はやき せに かえり.
或は はやき せに かへり・.

あるいは わし たか とび ふくろうに くらわれ.
或は はし・ たか・ とび・ ふくろうに くらわれ、.

あるいは 10ちょうの たきの そうに いさびとども つらなり いて.
或は 十丁の たきの 左右に 漁人ども・ つらなり ゐて・.

あるいは あみを かけ あるいは くみとり あるいは いて とるものも あり.
或は あみを かけ・ 或は くみとり・ 或は いて とるものも あり、.

いおの りゅうと なること かくの ごとし.
いをの・ りうと なる事 かくの ごとし。.

にほんこくの ぶしの なかに げんぺい 2けと もうして おうの もんまもりの いぬ 2ひき そうろう.
日本国の 武士の 中に 源平 二家と 申して 王の 門守の 犬 二疋 候、.

2け ともに おうを まもり たてまつる こと.
二家 ともに 王を 守り たてまつる 事.

やまかつが 8がつ 15やの みね より いずるを あいするが ごとし.
やまかつが 八月 十五夜の みね より・ いづるを・ あいするが ごとし、.

でんじょうの なんにょの あそぶを みては.
でんじやうの・ なんによの・ あそぶを みては.

つきと ほしとの ひかりを あわせたるを きの うえにて さるの あいするが ごとし.
月と 星との・ ひかりを あわせたるを・ 木の 上にて・ さるの あいするが ごとし、.

かかる みにては あれども いかんがして われら でんじょうの まじわりを なさんと ねがいし ほどに.
かかる 身にては あれども・ いかんがして 我等 でんじやうの・ まじわりを なさんと・ ねがいし 程に・.

へいしの なかに さだもりと もうせし もの まさかどを うちて あり しかども しょうでんを ゆるされず.
平氏の 中に 貞盛と 申せし 者・ 将門を 打ちて あり しかども 昇でんを ゆるされず、.

その こ まさもり また かなわず.
其の 子 正盛 又 かなわず・.

その こ ただもりが とき はじめて しょうでんを ゆるさる.
其の 子 忠盛が 時・ 始めて 昇でんを ゆるさる、.

その ご きよもり しげもりら でんじょうに あそぶ のみならず.
其の 後 清盛・ 重盛等 でんじやうに あそぶ のみならず、.

つきを うみ ひを いだく みと なりにき.
月を うみ 日を いだく みと なりにき、.

ほとけに なる みち これに おとる べからず.
仏に なる みち・ これに をとる べからず、.

いおの りゅうもんを のぼり じげの ものの でんじょうへ まいるが ごとし.
いをの 竜門を のぼり・ 地下の 者の・ でんじやうへ・ まいるが ごとし。.

しんしと もうせし ひとは ほとけに ならんとて 60こうが あいだ.
身子と 申せし 人は 仏に ならむとて 六十劫が 間・.

ぼさつの ぎょうを みて しかども こらえかねて 2じょうの みちに いりにき.
菩薩の 行を みて しかども・ こらへかねて 二乗の 道に 入りにき、.

だいつうけつえんの ものは 3ぜんじんてんごう くおんげしゅの ひとの 500じんてんごう しょうじに しずみし.
大通結縁の 者は 三千塵点劫 久遠下種の 人の 五百塵点劫 生死に しづみし.

これらは ほけきょうを ぎょうぜし ほどに だい6てんの まおう こくしゅらの みに いりて.
此等は 法華経を 行ぜし 程に 第六天の 魔王・ 国主等の 身に 入りて・.

とかう わずらわせ しかば たいして すてし ゆえに.
とかう わづらわせ しかば・たいして すてし ゆへに・.

そこばくの こうに 6どうには めぐりし ぞかし.
そこばくの 劫に 六道には・ めぐりし ぞかし。.

→a1560

b1561

かれは ひとの うえと こそ み しかども いまは われらが みに かかれり.
かれは 人の 上と こそ・ み しかども 今は 我等が みに かかれり、.

ねがわくは わが でしら だいがんを おこせ.
願くは 我が 弟子等・ 大願を をこせ、.

こぞ おととしの やくびょうに しにし ひとびとの かずにも いらず.
去年 去去年の やくびやうに 死にし 人人の・ かずにも 入らず、.

また とうじ もうこの せめに まぬかるべし とも みえず.
又 当時・ 蒙古の せめに・ まぬかるべし とも みへず、.

とにかくに しは いちじょう なり.
とにかくに 死は 一定 なり、.

その ときの なげきは とうじの ごとし.
其の 時の なげきは・ たうじの ごとし、.

おなじくは かりにも ほけきょうの ゆえに いのちを すてよ.
をなじくは・ かりにも 法華経の ゆへに 命を すてよ、.

つゆを たいかいに あつらえ ちりを だいちに うずむと おもえ.
つゆを 大海に あつらへ・ ちりを 大地に うづむと をもへ、.

ほけきょうの だい3に いわく.
法華経の 第三に 云く.

「ねがわくは この くどくを もって あまねく いっさいに およぼし われらと しゅじょうと みな ともに ぶつどうを じょうぜん」うんぬん.
「願くは 此の 功徳を 以て 普く 一切に 及ぼし 我等と 衆生と 皆 共に 仏道を 成ぜん」云云、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

11がつ むいか にちれん かおう.
十一月 六日 日蓮 花押.

うえのけんじんどの ごへんじ.
上野賢人殿 御返事.

これは あつはらの ことの ありがたさに もうす ごへんじ なり.
此れは あつわらの 事の・ ありがたさに 申す 御返事 なり。.

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