b1617から1619.
日興遺誡置文 (にっこうゆいかいおきぶみ).
日興上人 88歳御作.

 

b1617

にっこうゆいかいおきぶみ.
日興遺誡置文.

それ おもんみれば まっぽう ぐつうの えにちは ごくあく ほうぼうの やみを てらし.
夫れ 以みれば 末法 弘通の 恵日は 極悪謗法の 闇を 照し.

くおんじゅりょうの みょうふうは がやしじょうの ごんもんを ふき はらう.
久遠寿量の 妙風は 伽耶始成の 権門を 吹き 払う.

ああ ぶっぽうに あう こと まれにして.
於戲 仏法に 値う こと 希にして.

たとえを うどんげの はなしべに かり たぐいを ふぼくの あなに ひせん.
喩を 曇華の 蕚に 仮り 類を 浮木の 穴に 比せん.

なおもって たらざるものか.
尚以て 足らざる者か.

ここに われら しゅくえん じんこう なるに よって.
爰に 我等 宿縁 深厚 なるに 依つて.

さいわいに この きょうに あい たてまつることを う.
幸に 此の 経に 遇い 奉ることを 得.

したがって こうがくの ために じょうもくを ひったんに そむること.
随つて 後学の 為に 条目を 筆端に 染むる事.

ひとえに こうせんるふの きんげんを あおがんが ためなり。
偏に 広宣流布の 金言を 仰がんが 為なり。.

ひとつ ふじの りゅうぎ いささかも せんしの ごぐつうに いせざること.
一、富士の 立義 聊も 先師の 御弘通に 違せざる事.

ひとつ ごにんの りゅうぎ いち いちに せんしの ごぐつうに いすること.
一、五人の 立義 一 一に 先師の 御弘通に 違する事.

ひとつ ごしょ いずれも ぎしょに ぎし とうもんりゅうを きぼうせん もの これ あるべし.
一、御書 何れも 偽書に 擬し 当門流を 毀謗せん 者 之 有る可し.

もし かようの あくりょ しゅったいせば しんごん すべからざること.
若し 加様の 悪侶 出来せば 親近す 可からざる事.

ひとつ ぎしょを つくって ごしょと ごうし ほんじゃくいっちの しゅぎょうを いたす ものは.
一、偽書を 造つて 御書と 号し 本迹一致の 修行を 致す 者は.

しししんちゅうの むしと こころう べきこと.
師子身中の 虫と 心得 可き事.

ひとつ ほうぼうを かしゃく せずして ゆげ ぞうだんの けぎ.
一、謗法を 呵責 せずして 遊戲 雑談の 化儀.

ならびに げしょ かどうを このむ べからざる こと.
並に 外書 歌道を 好む 可からざる 事.

ひとつ だんなの しゃさん ものもうでを きんずべし.
一、檀那の 社参 物詣を 禁ず可し.

いかに いわんや その うつわにして いっけんと しょうして.
何に 況んや 其の 器にして 一見と 称して.

ほうぼうを いたせる あっきらんにゅうの じしゃに もうずべけんや.
謗法を 致せる 悪鬼乱入の 寺社に 詣ず可けんや.

かえすがえすも くちおしき しだい なり.
返す返すも 口惜しき 次第 なり.

これ まったく こぎに あらず.
是れ 全く 己義に 非ず.

きょうもん ごしょう とうに まかす うんぬん.
経文 御抄 等に 任す 云云.

ひとつ きようの でしに おいては ししょうの しょじを ゆるし さしおき.
一、器用の 弟子に 於ては 師匠の 諸事を 許し 閣き.

ごしょう いかの しょしょうぎょうを きょうがく すべきこと.
御抄 以下の 諸聖教を 教学す 可き事.

→a1617

b1618

ひとつ がくもん みれんにして みょうもんみょうりの たいしゅうは よが まつりゅうに かなう べからざること.
一、学問 未練にして 名聞名利の 大衆は 予が 末流に 叶う 可からざる事.

ひとつ よが こうだいの としゅうら ごんじつを わきまえざる あいだは.
一、予が 後代の 徒衆等 権実を 弁えざる 間は.

ふぼ ししょうの おんを ふりすて しゅっり しょうどうの ために ほんじに もうで がくもん すべきこと.
父母 師匠の 恩を 振り 捨て 出離 証道の 為に 本寺に 詣で 学文 す可き事.

ひとつ ぎどうの らっこ なくして てんだいの がくもん すべからざる こと.
一、義道の 落居 無くして 天台の 学文す 可からざる 事.

ひとつ とうもんりゅうに おいては ごしょを しんかんに そめ ごくりを しでんして.
一、当門流に 於ては 御書を 心肝に 染め 極理を 師伝して.

もし ひま あらば だいけを きく べきこと.
若し 間 有らば 台家を 聞く 可き事.

ひとつ ろんぎ こうせつ とうを このみ じよを まじゆ べからざること.
一、論議 講説 等を 好み 自余を 交ゆ 可からざる事.

ひとつ いまだ こうせんるふ せざる あいだは しんみょうを すて ずいりき ぐつうを いたすべきこと.
一、未だ 広宣流布 せざる 間は 身命を 捨て 随力弘通を 致す可き事.

ひとつ しんきょうほうじゅうの ぎょうじゃに おいては げれつの ほっし たりと いえども.
一、身軽法重の 行者に 於ては 下劣の 法師 為りと 雖も.

とうにょきょうぶつの どうりに まかせて しんぎょうを いたすべきこと.
当如敬仏の 道理に 任せて 信敬を 致す可き事.

ひとつ ぐつうの ほっしに おいては げはい たりと いえども ろうそうの おもいを なすべきこと.
一、弘通の 法師に 於ては 下輩 為りと 雖も 老僧の 思を 為す可き事.

ひとつ げれつの もの たりと いえども われより ち すぐれたる ものをば あおいで ししょうと すべきこと.
一、下劣の 者 為りと 雖も 我より 智 勝れたる 者をば 仰いで 師匠と す可き事.

ひとつ ときの かんず たりと いえども ぶっぽうに そういして こぎを かまえば これを もちう べからざること.
一、時の 貫首 為りと 雖も 仏法に 相違して 己義を 構えば 之を 用う 可からざる事.

ひとつ しゅうぎ たりと いえども ぶっぽうに そうい あらば かんず これを くだく べきこと.
一、衆議 為りと 雖も 仏法に 相違 有らば 貫首 之を 摧く 可き事.

ひとつ ころもの すみ くろく すべからざること.
一、衣の 墨 黒く すべからざる事.

ひとつ じきとつを ちゃくす べからざること.
一、直綴を 着す 可からざる事.

ひとつ ほうぼうと どうざ すべからず.
一、謗法と 同座す 可からず.

よどうざいを おそるべきこと.
与同罪を 恐る可き事.

ひとつ ほうぼうの くようを うく べからざること.
一、謗法の 供養を 請く 可からざる事.

ひとつ とうじょう とうに おいては ぶっぽうしゅごの ために これを ゆるす.
一、刀杖 等に 於ては 仏法守護の 為に 之を 許す.

ただし しゅっしの じせつは たいす べからざるか.
但し 出仕の 時節は 帯す 可からざるか.

もし それ たいしゅう とうに おいては これを ゆるすべきかのこと.
若し 其れ 大衆 等に 於ては 之を 許す 可きかの事.

ひとつ じゃくはい たりと いえども こういの だんな より まつざに おる べからざること.
一、若輩 為りと 雖も 高位の 檀那 自り 末座に 居る 可からざる事.

→a1618

b1619

ひとつ せんしの ごとく よが けぎも しょうそう たるべし.
一、先師の 如く 予が 化儀も 聖僧 為る可し.

もし ときの かんず または しゅうがくの じんに おいては.
但し 時の 貫首 或は 習学の 仁に 於ては.

たとい いったんの ようはん ありと いえども しゅうとに さしおくべきこと.
設い 一旦の ヨウ犯 有りと 雖も 衆徒に 差置く可き事.

ひとつ ぎょうおなんもんどうの ぎょうじゃに おいては せんしの ごとく しょうがん すべきこと.
一、巧於難問答の 行者に 於ては 先師の 如く 賞翫す 可き事.

みぎの じょうもく たいりゃく かくの ごとし.
右の 条目 大略 此くの 如し.

まんねん くごの ために にじゅうろっかじょうを おく.
万年 救護の 為に 二十六箇条を 置く.

こうだいの がくりょ あえて ぎわくを しょうずる ことなかれ.
後代の 学侶 敢て 疑惑を 生ずる 事勿れ.

このうち いっかじょうに おいても おかすものは にっこうが まつりゅうに ある べからず.
此の内 一箇条に 於ても 犯す 者は 日興が 末流に 有る 可からず.

よって さだむる ところの じょうじょう くだんの ごとし。
仍つて 定むる 所の 条条 件の 如し。.

げんこ 3ねん みずのととり しょうがつ 13にち.
元弘 三年 癸酉 正月 十三日.

にっこう はん.
日興 判.

→a1619

 
→a1617
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