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建長寺道隆への御状 (けんちょうじどうりゅうへの ごじょう).
別名、十一通御書.
日蓮大 聖人 47歳御作.


 
けんちょうじ どうりゅうへの ごじょう.
建長寺 道隆への 御状.

それ ぶっかく のきを ならべ ほうもん おくに いたる.
夫れ 仏閣 軒を 並べ 法門 屋に 拒る.

ぶっぽうの はんえいは けんどく しなに ちょうかし.
仏法の 繁栄は 身毒 支那に 超過し.

そうほうの けいぎは 6つうの らかんの ごとし.
僧宝の 形儀は 六通の 羅漢の 如し.

しかりと いえども 1だい しょきょうに おいて いまだ しょうれつ せんじんを しらず.
然りと 雖も 一代 諸経に 於て 未だ 勝劣 浅深を 知らず.

さながら きんじゅうに おなじ.
併がら 禽獣に 同じ.

たちまち 3とくの しゃか にょらいを なげうって たほうの ほとけ ぼさつを しんず.
忽ち 三徳の 釈迦 如来を 抛つて 他方の 仏 菩薩を 信ず.

これ あに ぎゃくろ がやだの ものに あらずや.
是 豈 逆路 伽耶陀の 者に 非ずや.

ねんぶつは むけん じこくの ごう ぜんしゅうは てんまの しょい.
念仏は 無間 地獄の 業 禅宗は 天魔の 所為.

しんごんは ぼうこくの あくほう りっしゅうは こくぞくの もうせつと うんぬん.
真言は 亡国の 悪法 律宗は 国賊の 妄説と 云云.

ここに にちれん いぬる ぶんおう がんねんの ころ かんがえたるの しょを.
爰に 日蓮 去ぬる 文応 元年の 比 勘えたるの 書を.

りっしょうあんこくろんと なづけ やどや にゅうどうを もって こ さいみょうじどのに たてまつりぬ.
立正安国論と 名け 宿屋 入道を 以て 故 最明寺殿に 奉りぬ.

この しょの しょせんは ねんぶつ しんごん ぜん りつ とうの あくほうを しんずる ゆえに てんかに さいなん しきりに おこり.
此の 書の 所詮は 念仏 真言 禅 律 等の 悪法を 信ずる 故に 天下に 災難 頻りに 起り.

あまつさえ たこくより この くに せめらる べきの よし これを かんがえたり.
剰え 他国より 此の 国 責めらる 可きの 由 之を 勘えたり.

しかるに いぬる しょうがつ 18にち ちょうじょう とうらいすと.
然るに 去ぬる 正月 十八日 牒状 到来すと.

にちれんが かんがえたる ところに すこしも たがわず ふごう せしむ.
日蓮が 勘えたる 所に 少しも 違わず 普合 せしむ.

しょじ しょざんの きとう いりょく めっする ゆえか.
諸寺 諸山の 祈祷 威力 滅する 故か.

はたまた あくほうの ゆえなるか.
将又 悪法の 故なるか.

かまくらじゅうの じょうげ ばんにん どうりゅう しょうにんをば ほとけの ごとく これを あおぎ.
鎌倉中の 上下 万人 道隆 聖人をば 仏の 如く 之を 仰ぎ.

りょうかん しょうにんをば らかんの ごとく これを たっとむ.
良観 聖人をば 羅漢の 如く 之れを 尊む.

そのほか じゅふくじ たほうじ じょうこうみょうじ ちょうらくじ だいぶつでんの ちょうろう とうは.
其の外 寿福寺 多宝寺 浄光明寺 長楽寺 大仏殿の 長老 等は.

がまんの こころ じゅうまんし いまだ えざるを えたりと おもうの ぞうじょうまんの だいあくにんなり.
「我慢の 心 充満し 未だ 得ざるを 得たりと 謂う」の 増上慢の 大悪人なり.

なんぞ もうここくの たいへいを ちょうぶくせしむ べけんや.
何ぞ 蒙古国の 大兵を 調伏せしむ 可けんや.

あまつさえ にほんこく じゅうの じょうげ ばんにん ことごとく いけどりと なる べく.
剰え 日本国 中の 上下 万人 悉く 生取と 成る 可く.

こんぜには くにを ほろぼし こうせいには かならず むけんに だせん.
今世には 国を 亡し 後世には 必ず 無間に 堕せん.

にちれんが もうす ことを おん もちい なくんば こうかい これ ある べし.
日蓮が 申 事を 御 用い 無くんば 後悔 之れ 有る 可し.

この おもむき かまくらどの やどやにゅうどうどの へいの さえもんのじょうどの とうへ これを しんじょう せしめ そうろう.
此の 趣 鎌倉殿 宿屋入道殿 平の 左衛門の尉殿 等へ 之を 進状 せしめ 候.

いっしょに より あつまりて ごひょうぎ ある べく そうろう.
一処に 寄り 集りて 御評議 有る 可く 候.

あえて にちれんが しきょくの ぎに あらず.
敢て 日蓮が 私曲の 義に 非ず.

ただ きょうろんの もんに まかす ところなり.
只 経論の 文に 任す 処なり.

つぶさには しめんに のせ がたし.
具には 紙面に 載せ 難し.

あわせながら たいけつの ときを きす しょは ことばを つくさず.
併ながら 対決の 時を 期す 書は 言を 尽さず.

ことばは こころを つくさず.
言は 心を 尽さず.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言.

ぶんえい 5ねん つちのえたつ 10がつ 11にち.
文永 五年 戊辰 十月 十一日.

にちれん かおう.
日 蓮  花 押.

しんじょう けんちょうじ どうりゅう しょうにん じしゃ おんちゅう .
進上  建長寺 道隆 聖人 侍者 御中.

 
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