b176.
多宝寺への御状 (たほうじへの ごじょう).
別名、十一通御書.
日蓮大 聖人 47歳御作.


 
たほうじへの ごじょう.
多宝寺への 御状.

にちれん こ さいみょうじ どのに たてまつりたるの しょ りっしょうあんこくろん ごひけん そうろうか.
日蓮 故 最明寺 殿に 奉りたるの 書 立正安国論 御披見 候か.

みぼうを しって これを かんがえ もうす ところなり.
未萠を 知つて 之を 勘え 申す 処なり.

すでに さる しょうがつ もうここくの かんちょう とうらいす なんぞ おどろか ざらんや.
既に 去る 正月 蒙古国の 簡牒 到来す 何ぞ 驚か ざらんや.

この こと ふしん せんばん なり.
此の 事 不審 千万 なり.

たとい にちれんは にくしと いえども かんがうる ところの あい あたるに おいては なんぞ もちい ざらんや.
縦い 日蓮は 悪しと 雖も 勘うる 所の 相 当るに 於ては 何ぞ 用い ざらんや.

はやく いっしょに あつまりて ごひょうぎ ある べし.
早く 一所に 集りて 御評議 有る 可し.

もし にちれんが もうす ことを おん もちい なくんば.
若し 日蓮が 申す 事を 御 用い 無くんば.

こんぜには くにを なくし ごせは かならず むけん だいじょうに だす べし.
今世には 国を 亡し 後世は 必ず 無間 大城に 堕す 可し.

この むね かたがたへ これを もうせしめし なり.
此の 旨 方方へ 之を 申せしめし なり.

あえて にちれんが しきょくに あらず.
敢て 日蓮が 私曲に 非ず.

くわしく ごほうに あずかる べく そうろう.
委しく 御報に 預る 可く 候.

ことばは こころを つくさず しょは ことばを つくさず.
言は 心を 尽さず 書は 言を 尽さず.

あわせながら しょうりゃく せしめ そうろう.
併ながら 省略 せしめ 候.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言.

ぶんえい 5ねん 10がつ 11にち.
文永 五年 十月  十一日.

にちれん かおう.
日蓮  花押.

きんじょう たほうじ じし おんちゅう.
謹上  多宝寺 侍司 御中.

 
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