b854から869.
百六箇抄 (ひゃくろっかしょう)
別名、血脈抄 (けつみゃくしょう).

※御書の小文字は日興上人より後世の記述であり、小文字については省略します。
(冒頭と文末の一部の小文字のみ平仮名訳を行なっています).

日蓮大聖人 59歳 御時.

 

b854

ひゃくろっかしょう  (けつみゃくしょう).
百六箇抄 (血脈抄).

こうあん 3ねん 59さい.
弘安 三年 五十九歳.

あたう にっこう.
与 日興.

ぐとうほんしゅ しょうほうの じつぎ ほんじゃくしょうれつ しょうでん.
具騰本種 正法の 実義 本迹勝劣 正伝.

ほんいんみょうの きょうしゅ ほんもんの だいし にちれん つつしんで これを けっちょう す.
本因妙の 教主 本門の 大師 日蓮 謹んで 之を 結要 す.

まんねんくご しゃびょうの でし にっこうに これを じゅよす うんぬん.
万年救護 写瓶の 弟子 日興に 之を 授与す 云云.

「りの いちねん3000 いっしん さんかん ほんじゃく」.
「理の 一念三千 一心 三観 本迹」.

さんぜしょぶつの しゅっせ じょうどうの だっちゃく じゅりょうの ぎりの 3000は.
三世諸仏の 出世 成道の 脱益 寿量の 義理の 三千は.

しゃかしょぶつの ぶっしんと みょうほうれんげきょうの りかんの いっしんとに おんざいせる り なり.
釈迦 諸仏の 仏心と 妙法蓮華経の 理観の 一心とに 蘊在せる 理 なり.

「だいつうこんにち ほっけほんじゃく」.
「大通今日 法華本迹」.

くおん みょうじ ほんいんみょうを もととして ちゅうげん こんにち げしゅ する ゆえに.
久遠 名字 本因妙を 本として 中間 今日 下種 する 故に.

くじょうを ほんと なし ちゅうげん こんにちの ほんじゃくを ともにしゃくと するもの なり.
久成を 本と 為し 中間 今日の 本迹を 倶に 迹と 為る者 なり.

「おうぶついちだいの ほんじゃく」.
「応仏一代の 本迹」.

くおんげしゅ りょうぜんとくだつ みょうほうちぐうの しゅじょうを りせん ために.
久遠下種 霊山得脱 妙法値遇の 衆生を 利せん 為に.

むささんじん じゃっこう じょうど より 3がん 3ちを もって 9かいを ちけんし.
無作三身 寂光浄土 従り 三眼三智を もつて 九界を 知見し.

しゃくを たれ ごんを ほどこす.
迹を 垂れ 権を 施す.

のちに とく みょうきょうの ゆえに こんにちの ほんじゃく ともに しゃくと これを えるもの なり.
後に 説く 妙経の 故に 今日の 本迹 共に 迹と 之を 得る者 なり.

「しゃくもんいりえんの いっちの ほんじゃく」.
「迹門為理円の 一致の 本迹」.

しょうはくふうは まんしょういちにょ しょほうじっそうの りじょうの かんじんは.
松柏風波 万声一如 諸法実相の 理上の 観心は.

おうぶつの いきを ひかえたる ゆえに ほんじゃくとは わかれども.
応仏の 域を 引かえたる 故に 本迹とは 別れども.

ただ りの うえの ほっそう なれば ほんじゃく りかんの みょうほうと あらわす.
唯 理の 上の 法相 なれば 本迹理観の 妙法と 顕す.

しゃっけは ふぞく なきが ゆえに これを ひろめず.
迹化は 付属 無きが 故に 之を 弘めず.

→a854

b855

「しんぽう そくしんじょうぶつの ほんじゃく」.
「心法 即身成仏の 本迹」.

ちゅうげん こんにちも しゃくもんは しんぽうの じょうぶつ なれば.
中間 今日も 迹門は 心法の 成仏 なれば.

けごん あごん ほうどう はんにゃ ほっけの あんらくぎょうほんに いたるまで.
華厳 阿含 方等 般若 法華の 安楽行品に 至るまで.

えんりに どうずるが ゆえに しゃくは おとり ほんは まさるる ものなり.
円理に 同ずるが 故に 迹は 劣り 本は 勝るる 者なり.

「しんぽう みょうほうれんげきょうの ほんじゃく」.
「心法 妙法蓮華経の 本迹」.

さんげ いわく いっさいしょほう じゅうほんいらい ふしょうふめつ しょうそうぎょうねん.
山家 云く 一切諸法 従本已来 不生不滅 性相凝然.

しゃか くちを とじて しんし ことばを ぜっす うんぬん.
釈迦 口を 閉ぢて 身子 言を 絶す 云云.

ほうべんぼんには りぐの じっかいごぐを とく.
方便品には 理具の 十界互具を 説く.

ほんもんに いたって けんぽんりじょうの ほっそう なれば くおんに たいして これを みるに.
本門に 至つて 顕本理上の 法相 なれば 久遠に 対して 之を 見るに.

じっそうは くおん すいじゃくの ほんもん なる ゆえに しきほうに あらざる なり.
実相は 久遠垂迹の 本門 なる 故に 色法に 非るなり.

「じゅういんしか ちゅうげん こんにちの ほんじゃく」.
「従因至果 中間 今日の 本迹」.

ぞうほうの しゅぎょうは てんだい でんぎょう ぐつうの ほんじゃくは ちゅうげん.
像法の 修行は 天台 伝教 弘通の 本迹は 中間.

いまの しゃくもんを いんと なし ほんもんしゅぎょうを かと するなり.
今日の 迹門を 因と 為し 本門修行を 果と 為るなり.

「ほんかの みょうほうれんげきょうの ほんじゃく」.
「本果の 妙法蓮華経の 本迹」.

こんにちの ほんがは じゅういんしか なれば ほんの ほんがには おとる なり.
今日の 本果は 従因至果 なれば 本の 本果には 劣る なり.

じゅりょうの だっちゃく ざいせ いちだんの いっぽん2はんは しゃりほつ とうの しょうもんの ための かんじん なり.
寿量の 脱益 在世 一段の 一品二半は 舎利弗 等の 声聞の 為の 観心 なり.

われらが ためには きょうそう なり.
我等が 為には 教相 なり.

こころは しゃくれつ ほんしょう なり.
情は 迹劣 本勝 なり.

また めつご ぞうほうそうじ かんぎょうげりょうの ぎょうやくも もってかくの ごとし.
又 滅後 像法相似 観行解了の 行益も 以て 是くの 如し.

なんがく てんだい でんぎょうの しゅぎょうの ごとく まっぽうに いって しゅぎょうせば.
南岳 天台 伝教の 修行の 如く 末法に 入つて 修行せば.

たいごんきゃくりゃくの ぎょうと なって われらが ためには こけの ぎょうと なるべき なり.
帯権隔歴の 行と 成つて 我等が 為には 虚戯の 行と 成る可き なり.

にちれんは いっこう ほん てんだいは いっこう しゃく よくよく これを とうべし.
日蓮は 一向 本 天台は 一向 迹 能く能く 之を 問う可し.

→a855

b856

「じょぎょうに わたる ほけきょうの ほんじゃく」.
「余行に 渡る 法華経の 本迹」.

1だい 8まんの しょほうは ほんいんみょうの げしゅを うけて とくところの おしえ なるが ゆえに.
一代 八万の 諸法は 本因妙の 下種を 受けて 説く所の 教 なるが 故に.

1ぶ はっかん ないし しちだい 5じ しだい ていとうは みょうじの みょうほうを げしゅして じゅくだつせし ほんじゃく なり.
一部 八巻 乃至 一代 五時 次第 梯トウは 名字の 妙法を 下種して 熟脱せし 本迹 なり.

「ざいせ かんじん ほけきょうの ほんじゃく」.
「在世 観心 法華経の 本迹」.

いっぽん にはんは ざいせ 1だんの かんじん なり てんだいの ほんもん なり.
一品二半は 在世 一段の 観心 なり 天台の 本門 なり.

にちれんが ためには きょうそうの しゃくもん なり うんぬん.
日蓮が 為には 教相の 迹門 なり 云云.

「だっちゃくの みょうほうの きょうしゅの ほんじゃく」.
「脱益の 妙法の 教主の 本迹」.

しょせつの しょうほうは ほんもん なり.
所説の 正法は 本門 なり.

のうせつの きょうしゅ しゃくそんは しゃくもん なり.
能説の 教主 釈尊は 迹門 なり.

ほう みずから ひろまらず.
法 自ら 弘まらず.

ひと ほうを ひろむる ゆえに にんぽう ともに たっとし.
人 法を 弘むる 故に 人法 ともに 尊し.

「だっちゃくの こんしさんがいの きょうしゅ ほんじゃく」.
「脱益の 今此三界の 教主 本迹」.

てんじょうてんがゆいがどくそんは しゃしんもん.
天上天下唯我独尊は 迹身門.

みっぴょう じゅりょうほんの こんしさんがいは そく ほんじんもん なり.
密表 寿量品の 今此三界は 即 本身門 なり.

だっちゃく ぞうほう じこくきょうの ほんじゃく.
脱益 像法 時剋弘経の 本迹.

てんだいの ほんじゃくは ともに にちれんが しゃくもん なり.
天台の 本迹は 倶に 日蓮が 迹門 なり.

じこく また てんちの ふどう これあり.
時剋 亦 天地の 不同 之在り.

「だっちゃく しゃくもん しゅぎょうの ほんじゃく」.
「脱益 迹門 修行の 本迹」.

しょうほう いっせんねんの しゅぎょう より ぞうほう 1にちの とくは すぐれたる なるべし.
正法 一千年の 修行の 徳 より 像法 一日の 徳は 勝れたる なるべし.

「だっちゃく しゃくもん じげぶつじょう しゅぎょうの ほんじゃく」.
「脱益 迹門 自解仏乗 修行の 本迹」.

じゅくやくは しゃく だっちゃくは ほん なり.
熟益は 迹 脱益は 本 なり.

これに おいて これを しゆい すべし.
之に 就いて 之を 思惟 す可し.

「だつの 5だいそんの ほんじゃく」.
「脱の 五大尊の 本迹」.

たじゅゆうおうぶつは ほん.
他受用応仏は 本.

ふげん もんじゅ みろく やくおうは しゃく なり.
普賢 文殊 弥勒 薬王は 迹 なり.

→a856

b857

「だつの しんぞく にたいの ほんじゃく」.
「脱の 真俗 二諦の 本迹」.

てんだいだいし ぐつうの ほんじゃく ぜん14ほんは しゃくもんに やくし.
天台大師 弘通の 本迹 前十四品は 迹門に 約し.

のち14ほんは ほんもんに やくす うんぬん.
後十四品は 本門に 約す 云云.

ぜほうじゅうほうい せけんそうじょうじゅう もん.
是法住法位 世間相常住 文.

「ぜん 14ほん ことごとく るつうぶんの ほんじゃく」.
「前 十四品 悉く 流通分の 本迹」.

にょらいの ないしょうは じょほん より めつご しょうぞうまつの ためなり.
如来の 内証は 序品 より 滅後 正像末の 為なり.

やくおうぼさつは ぞうほうの しゅ てんだい これなり.
薬王菩薩は 像法の 主 天台 是なり.

みっぴょうの ほっしほんに いわく こんしさんがい.
密表の 法師品に 云く 今此三界.

「だっちゃく りかん いっちの ほんじゃく」.
「脱益 理観 一致の 本迹」.

ほんじゃく ことなりと いえども ふしぎ 1と いうは.
本迹 殊なりと 雖も 不思議 一と 云うは.

こんにち ないし ちゅうげんの ほんじゃくは ほんじゃくと ふんべつ すれども.
今日 乃至 中間の 本迹は 本迹と 分別 すれども.

ほんいんみょうを げしゅとして とく ところの ほんじゃく なれば しゃくの ほんは ほんに あらず うんぬん.
本因妙を 下種として 説く 所の 本迹 なれば 迹の 本は 本に 非ず 云云.

「だっちゃくかいたいの ほんじゃく」.
「脱益戒体の 本迹」.

にぜん しゃくもん じゅくやくの かいたいを しゃくとし だっちゃくの かいたいを ほんと するなり.
爾前 迹門 熟益の 戒躰を 迹とし 脱益の 戒躰を 本と 為るなり.

しゃくもんの かいは にぜん だいしょうの かいに すぐれ.
迹門の 戒は 爾前 大小の 戒に 勝れ.

ほんもんの かいは にぜん しゃくもんの かいに まさるるなり.
本門の 戒は 爾前 迹門の 戒に 勝るるなり.

「だつの しゃっけ しちめんの ほんじゃく」.
「脱の 迹化 七面の 本迹」.

ぞうほうには りかんを ほんと もちうる なり.
像法には 理観を 本と 用うる なり.

ゆえに てんだいは しゃくを ほんと なし ほんを しゃくと ぎょうずる なり.
故に 天台は 迹を 本と 為し 本を 迹と 行ずる なり.

「だつの しゃっけ ほんぞんの ほんじゃく」.
「脱の 迹化 本尊の 本迹」.

いちぶを ほんぞんと さだむるに ぜん14ほんは しゃく のち14ほんはほんと うんぬん.
一部を 本尊と 定むるに 前十四品は 迹 後十四品は 本と 云云.

これは いちぶ はっかん なり うんぬん.
是は 一部 八巻 なり 云云.

「だっちゃく しゅごしんの ほんじゃく」.
「脱益 守護神の 本迹」.

しゅご する ところの ほっけは ほん しゅばんし たてまつる ところの かみ とうは しゃく なり.
守護 する 所の 法華は 本 守番し 奉る 処の 神 等は 迹 なり.

ほんにんみょうの かげを ばんすいに うかべたる ことは じじょうと うんぬん.
本因妙の 影を 万水に 浮べたる 事は 治定と 云云.

「だっちゃく さんのうの ほんじゃく」.
「脱益 山王の 本迹」.

くおん ちゅうげんに うくる ところの ほっけは ほん.
久遠 中間に 受くる 処の 法華は 本.

それより まもり きたる ところは すいじゃく なり.
夫れより 守り 来る 所は 垂迹 なり.

げしゅは ほんにんみょう なり うんぬん.
下種は 本因妙 なり 云云.

→a857

b858

「だっしゃく じゅうらせつにょの ほんじゃく」.
「脱迹 十羅刹女の 本迹」.
 
くおん ちゅうげん こんにちの りじは ほん ちゅうげん だいつう こんにち しゅっせ みょうしゅ する ところは すいじゃく なり.
久遠 中間 今日の 理事は 本 中間 大通 今日 出世 冥守 する 処は 垂迹 なり.

げしゅは まえの ごとし うんぬん.
下種は 前の 如し 云云.

「だっしゃく ふぞくの ほんじゃく」.
脱迹 付属の 本迹.

だっちゃくの しゃっけ ふぞくは ちゅうげん だいつうを ほんとし.
脱益の 迹化 付属は 中間 大通を 本とし.

こんにち しょじゅうの おわりを しゃくと するなり.
今日 初住の 終を 迹と するなり.

うくる しょうほうは ほん たもつ かたは しゃく なり.
受くる 正法は 本 持つ 方は 迹 なり.

「だっしゃく かいえの ほんじゃく」.
「脱迹 開会の 本迹」.

だいつうの はじめを かいと いい こんにち しょじゅうの おわりを えと いうなり.
大通の 初を 開と 云い 今日 初住の 終りを 会と 云うなり.

ほんは だいつう しゃくは しょじゅう なり.
本は 大通 迹は 初住 なり.

しょけんを かいと いい しゅうごうを えと いう うんぬん.
初顕を 開と 云い 終合を 会と 云う 云云.

あんいも りじょうの あんい なり.
案位も 理上の 案位 なり.

「しゅだつ じょうぶつの ほんじゃく」.
「脱益 成仏の 本迹」.

じゅりょうほんは ほん おうぶつは しゃく なり.
寿量品は 本 応仏は 迹 なり.

むさのさんじん じゃっこうどに じゅうして さんがん さんちを もって 9かいを ちけんす うんぬん.
無作三身 寂光土に 住して 三眼 三智を もつて 九界を 知見す 云云.

「だっしゃく さんしゅ きょうそうの ほんじゃく」.
「脱迹 三種 教相の 本迹」.

2しゅは しゃく むかいえ いっしゅは ほんぬの かいえ なり.
二種は 迹 無開会 一種は 本有の 開会 なり.

いっしゅは かいけん にしゅは ふかいえ しょじゅう けんぞくの きょうそう なり うんぬん.
一種は 開顕 二種は 不開会 所従 眷属の 教相 なり 云云.

「だつの ごみ しょじゅうの ほんじゃく」.
「脱の 五味 所従の 本迹」.

でんだい でんぎょうの ごみは おうじゅ ともに しょじゅう なり.
天台 伝教の 五味は 横竪 ともに 所従 なり.

ごみは ほん しゅぎょうの ひとは しゃく なり.
五味は 本 修行の 人は 迹 なり.

ざいせ もって かくの ごとし うんぬん.
在世 以て 此くの 如し 云云.

「だっしゃく ふしの ほんじゃく」.
「脱迹 父子の 本迹」.

おうぶつは ほん しゃくぶつは しゃく なり.
応仏は 本 迹仏は 迹 なり.

こ ちちの ほうを ひろむるに せかいの やく ありと うんぬん.
子 父の 法を 弘むるに 世界の 益 ありと 云云.

「だっしゃく していの ほんじゃく」.
「脱迹 師弟の 本迹」.

ぎり ともに かみに おわり.
義理 共に 上に 同じ.

これ わが でし まさに わが ほうを ひろむべし ひろむべし うんぬん.
是れ 我が 弟子 応に 我が 法を 弘む可し 弘む可し 云云.

「だっちゃく かんのうの ほんじゃく」.
「脱益 感応の 本迹」.

くおんの てんげつの かげを ちゅうげん こんにちの だっちゃくの みずに うつす なり.
久遠の 天月の 影を 中間 今日の 脱益の 水に 移す なり.

しゅじょう くおんに ほとけの ぜんぎょうを こうむるとは これなり.
衆生 久遠に 仏の 善巧を 蒙るとは 是なり.

→a858

b859

「だっちゃく じゃくしょうの ほんじゃく」.
「脱益 寂照の 本迹」.

りの かみの じゃくしょうは みょうかく ないし かんぎょう とうの げりょう なり.
理の 上の 寂照は 妙覚 乃至 観行 等の 解了 なり.

り そくの ぼんぷは むたい うようの ほんじゃく なり.
理 即の 凡夫は 無躰 有用の 本迹 なり.

「だっちゃく ずいえん ふへんの ほんじゃく」.
「脱益 随縁 不変の 本迹」.

ざいせと ぞうほうと これ おなじ しんにょの ぎり なり.
在世と 像法と 之 同じ 真如の 義理 なり.

ずいえんも ふへんも ともに りの いちだんの ほんじゃく なり.
随縁も 不変も 共に 理の 一段の 本迹 なり.

「だっちゃく 9ほうみょうの ほんじゃく」.
「脱益 九法妙の 本迹」.

3ほうみょうに おのおの 3ほうみょうを ぐすれば 9ほうみょう なり.
三法妙に 各 三法妙を 具すれば 九法妙 なり.

ほうちゅうの しんぽう みょう より おこる ところの しょうぶつ 2みょう なり.
法中の 心法 妙 より 起る 所の 生仏 二妙 なり.

ほんじゃく しるべし.
本迹 知るべし.

「だっちゃく はっそう はっく しゅうごうの ほんじゃく」.
「脱益 八相 八苦 習合の 本迹」.

はっそうは ほん はっくは しゃく どうたいの ごんじつ これなり.
八相は 本 八苦は 迹 同躰の 権実 是なり.

「だっちゃく かんちょう とうの ほんじゃく」.
「脱益 灌頂 等の 本迹」.

かんちょうとは しごく なり.
灌頂とは 至極 なり.

ごせ ほとけ ぼさつの かんちょうは ほけきょう なり.
後世 仏 菩薩の 灌頂は 法華経 なり.

しゃくもんの かんちょうは ほうべんどくじゅ よくりょうしゅじょう かいぶっちけん なり.
迹門の 灌頂は 方便読誦 欲令衆生 開仏知見 なり.

ほんもんの かんちょうは じゅりょうほん どくじゅねん がじつじょうぶついらい なり.
本門の 灌頂は 寿量品 読誦然 我実成仏已来 なり.

「だっちゃく せっしょ かいだん ほんじゃく」.
「脱益 説所 戒壇 本迹」.

りょうぜんは ほん てんだいさんは しゃく くおんと まっぽうとは.
霊山は 本 天台山は 迹 久遠と 末法とは.

じぎょうの かい じかい りかい こんにちと ぞうほうとは りの かいたい なり.
事行の 戒 事戒 理戒 今日と 像法とは 理の 戒躰 なり.

「だっちゃく さんぜ さんぶつりの ほんじゃく」.
「脱益 三世 三仏利の 本迹」.

せぜ ばんばんの きょうしゅは ほん しょけの しゅじょうは しゃく なり.
世世 番番の 教主は 本 所化の 衆生は 迹 なり.

せぜ いらい つねに わが けを うけ ばんばんに しゅっせし しと ともに しょうず.
世世 已来 常に 我が 化を 受け 番番に 出世し 師と 倶に 生ず.

「だっちゃくしょうみょう たほうぶっとうの ほんじゃく」.
「脱益証明 多宝仏塔の 本迹」.

みょうほうれんげきょう かいぜしんじつは ほん たほうぶつは しゃく.
妙法蓮華経 皆是真実は 本 多宝仏は 迹.

しゃくもん はっぽん ないし ほんもん これを さすなり うんぬん.
迹門 八品 乃至 本門 之を 指すなり 云云.

「だっちゃく じょしょう るつう げんもんの ほんじゃく」.
「脱益 序正 流通 現文の 本迹」.

きょうもん しゃくぎの ごとく りの かみの しょうしゅう るつう じょぶん なれども ほんは すぐれ しゃくは おとる なり.
経文 釈義の 如く 理の 上の 正宗 流通 序文 なれども 本は 勝れ迹は 劣る なり.

しかるに しゃくは ほんむ こんぬ なれば くおんの しゃくを だつとして こんにちの ほんを とくなり うんぬん.
然るに 迹は 本無 今有 なれば 久遠の 迹を 脱として 今日の 本を 説くなり 云云.

→a859

b860

「だっちゃく しょうじゅ しゃくぶくの ほんじゃく」.
「脱益 摂受 折伏の 本迹」.

てんだいは しょうじゅを ほんとし しゃくぶくを しゃくとす.
天台は 摂受を 本とし 折伏を 迹とす.

その ゆえは ぞうほうは ざいせの じゃくやくみょうりの ゆえなり.
其の 故は 像法は 在世の 熟益冥利の 故なり.

ふくち ぐそくの ゆえと いえり.
福智 具足の 故と 云えり.

「だっちゃく にみょうの ほんじゃく」.
「脱益 二妙の 本迹」.

そうたいみょうは しゃく ぜったいみょうは ほん.
相待妙は 迹 絶待妙は 本.

みょうほうの ほかに いっくの よきょう なし うんぬん.
妙法の 外に 更に 一句の 余経 無し 云云.

どくいちほうかいの ゆえに ぜったいと なづくるの しゃく これを おもうべし.
独一法界の 故に 絶待と 名くるの 釈 之を 思う可し.

「だっちゃく じゅうみょうの ほんじゃく」.
「脱益 十妙の 本迹」.

ほんがみょうは ほん 9みょうは しゃく なり.
本果妙は 本 九妙は 迹 なり.

ざいせと てんだいとは きじょうの り なり.
在世と 天台とは 機上の 理 なり.

ほとけは ほんにんみょうを ほんと なし しょけは ほんがみょうを ほんと おもえり.
仏は 本因妙を 本と 為し 所化は 本果妙を 本と 思えり.

「だっちゃく 6じゅう しょせつの ほんじゃく」.
「脱益 六重 所説の 本迹」.

いこんを ほんと なし よは しゃく なり.
已今を 本と 為し 余は 迹 なり.

ほんじゃく ことなりと いえども ふしぎ 1と うんぬん.
本迹 殊なりと 雖も 不思議 一と 云云.

りぐの ほんじゃく なれば いちぶ ともに しゃくの うえの ほんじゃく なり.
理具の 本迹 なれば 一部 倶に 迹の 上の 本迹 なり.

「だっちゃく 6 そく しょはんの ほんじゃく」.
「脱益 六 即 所判の 本迹」.

みょうかくは ほん じょは しゃく なり.
妙覚は 本 余は 迹 なり.

「だっちゃく じっぷにもんの ほんじゃく」
「脱益 十不二門の 本迹」

りの うえの ふへんの ふににして じぎょうの ふにもんには あらざる なり.
理の 上の 不変の 不二にして 事行の 不二門には 非る なり.

だっちゃく じっかいごぐの ほんじゃく.
脱益 十界互具の 本迹.

りぐの じっかい ごぐにして じぎょうの ごぐには あらざる なり.
理具の 十界 互具にして 事行の 互具には 非ざる なり.

9かいの りを ぶっかいの りに おしいるる かた ならでは だつせざる なり.
九界の 理を 仏界の 理に 押し 入るる 方 ならでは 脱せざる なり.

→a860

b861

「だっちゃく 12いんねん したいの ほんじゃく」.
「脱益 十二因縁 四諦の 本迹」.

きょうに いわく むみょう ないし ろうし うんぬん.
経に 云く 無明 乃至 老死 云云.

くじゅうめつは しゃく なり どうたいは ほん なり.
苦集滅は 迹 なり 道諦は 本 なり.

だっちゃく さんどの ほんじゃく ほうどは ほん どうご ほうべんは しゃく なり.
脱益 三土の 本迹 報土は 本 同居 方便は 迹 なり.

いじょう だつの うえの ほんじゃく しょうれつ くけつ おわんぬ.
以上 脱の 上の 本迹 勝劣 口決 畢んぬ.

→a861

b862

「じの いちねん3000 いっしんさんかんの ほんじゃく」.
「事の 一念三千 一心三観の 本迹」.

しゃか さんぜの しょぶつ しょうもん えんかく にん てんの となうる かたは しゃく なり.
釈迦 三世の 諸仏 声聞 縁覚 人 天の 唱る 方は 迹 なり.

なんみょうほうれんげきょうは ほん なり.
南無妙法蓮華経は 本 なり.

「くおんがんじょ じきぎょうの ほんじゃく」.
「久遠元初 直行の 本迹」.

みょうじ ほんにんみょうは ほんしゅ なれば ほんもん なり.
名字 本因妙は 本種 なれば 本門 なり.

ほんがみょうは よぎょうに わたる ゆえに ほんの うえの しゃく なり.
本果妙は 余行に 渡る 故に 本の 上の 迹 なり.

くおんしゃくそんの くしょうを いま にちれん ただちに となうる なり.
久遠釈尊の 口唱を 今 日蓮 直に 唱うる なり.

「くおんじつじょう じきたいの ほんじゃく」.
「久遠実成 直体の 本迹」.

くおんみょうじの しょうほうは ほん しゅし なり.
久遠名字の 正法は 本 種子 なり.

みょうじ どうぎょうの くらい.
名字 童形の 位.

しゃかは しゃく なり がほんぎょうぼさつどう これなり.
釈迦は 迹 なり 我本行菩薩道 是なり.

にちれんが しゅぎょうは くおんを うつせり.
日蓮が 修行は 久遠を 移せり.

「くおんほんが じょうどうの ほんじゃく」.
「久遠本果 成道の 本迹」.

みょうじの みょうほうを たもつ ところは じきたいの ほんもん なり.
名字の 妙法を 持つ 処は 直躰の 本門 なり.

ただちに となえ たてまつる われらは しゃく なり.
直に 唱え 奉る 我等は 迹 なり.

「くおん じじゅゆうほうしんの ほんじゃく」.
「久遠 自受用報身の 本迹」.

おとこは ほん おんなは しゃく しりがたき しょうれつ なり.
男は 本 女は 迹 知り難き 勝劣 なり.

よくよく でんる くけつ すべきもの なり.
能く能く 伝流 口決 す可き者 なり.

「くじょうほんもん いじえんの ほんじゃく」.
「久成本門 為事円の 本迹」.

じょうぎょう しょでんの みょうほうは みょうじ ほんぬの みょうほうれんげきょう なれば じり ぐしょうの ほん なり.
上行 所伝の 妙法は 名字 本有の 妙法蓮華経 なれば 事理 倶勝の 本 なり.

にちれん ならびに でし だんな とうは しゃく なり.
日蓮 並に 弟子 檀那 等は 迹 なり.

「しきしん そくしんじょうぶつの ほんじゃく」.
「色法 即身成仏の 本迹」.

おやの ぎ なり ちちの ぎ なり.
親の 義 なり 父の 義 なり.

ゆじっぽん より いご われらは しきほうの じょうぶつ なり.
涌出品 より 已後 我等は 色法の 成仏 なり.

ふとよぎょうの みょうほうは ほん われらは しゃく なり.
不渡余行の 妙法は 本 我等は 迹 なり.

「しきほう みょうほうれんげきょうの ほんじゃく」.
「色法 妙法蓮華経の 本迹」.

だんしと なって みょうじの だいほうを きき.
男子と 成つて 名字の 大法を 聞き.

ここ ぶつぶつ じじ ほんじゃくを あらわす ものなり.
己己 物物 事事 本迹を 顕す 者なり.

また こんにちの 28ぽん ぼんぼんの うちの しょうれつは つうごうは ほん なり しょう なり.
又 今日の 二十八品 品品の 内の 勝劣は 通号は 本 なり 勝 なり.

べつごうは しゃく なり れつ なり うんぬん.
別号は 迹 なり 劣 なり 云云.

→a862

b863

「くおん じゅうかこういんの ほんじゃく」.
「久遠 従果向因の 本迹」.

ほんがみょうは しゃかぶつ ほんにんみょうは じょうぎょうぼさつ くおんの みょうほうは か.
本果妙は 釈迦仏 本因妙は 上行菩薩 久遠の 妙法は 果.

こんにちの じゅりょうほんは かなるが ゆえに じゅうかこういんの ほんじゃくと いうなり.
今日の 寿量品は 花なるが 故に 従果向因の 本迹と 云うなり.

「ほんいん みょうほうれんげきょうの ほんじゃく」.
「本因 妙法蓮華経の 本迹」.

まったく よぎょうに わかたざりし みょうほうは ほん となうる にちれんは しゃく なり.
全く 余行に 分たざりし 妙法は 本 唱うる 日蓮は 迹 なり.

てほんには ふきょうぼさつの にじゅうよじ これなり.
手本には 不軽菩薩の 二十四字 是なり.

また その ぎょうぎ これなり うんぬん.
又 其の 行儀 是なり 云云.

「ふと よぎょう ほけきょうの ほんじゃく」.
「不渡 余行 法華経の 本迹」.

ぎり かみに おなじ じきたつの ほっけは ほんもん となうる しゃかは しゃく なり.
義理 上に 同じ 直達の 法華は 本門 唱うる 釈迦は 迹 なり.

いま にちれんが しゅぎょうは くおんみょうじの ふるまいに けにばかりも たがわざる なり.
今 日蓮が 修行は 久遠名字の 振舞に 介爾計も 違わざる なり.

「げしゅの ほけきょう きょうしゅの ほんじゃく」.
「下種の 法華経 教主の 本迹」.

じじゅゆうしんは ほん じょうぎょう にちれんは しゃく なり.
自受用身は 本 上行 日蓮は 迹 なり.

われらが ないしょうの じゅりょうほんとは だっちゃくじゅりょうの もんていの ほんにんみょうの ことなり.
我等が 内証の 寿量品とは 脱益寿量の 文底の 本因妙の 事なり.

その きょうしゅは それがし なり.
其の 教主は 某 なり.

「げしゅの こんしさんがいの しゅの ほんじゃく」.
「下種の 今此三界の 主の 本迹」.

くおんがんじょの てんじょうてんげ ゆいがどくそんは にちれん これなり.
久遠元始の 天上天下 唯我独尊は 日蓮 是なり.

くおんは ほん こんにちは しゃく なり.
久遠は 本 今日は 迹 なり.

さんぜじょうじゅうの にちれんは みょうじの りしょう なり.
三世常住の 日蓮は 名字の 利生 なり.

「げしゅとくほう かんじんの ほんじゃく」.
「下種得法 観心の 本迹」.

くおんげしゅの とくほうは ほん なり.
久遠下種の 得法は 本 なり.

こんにち ちゅうげん とうの とくほう かんじんは しゃく なり.
今日 中間 等の 得法 観心は 迹 なり.

ぶんべつくどくほんの みょうじ しょずいきの もんの ごとし うんぬん.
分別功徳品の 名字 初随喜の 文の 如し 云云.

→a863

b864

「げしゅ じげぶつじょうの ほんじゃく」.
「下種 自解仏乗の 本迹」.

みょうじの みょうほうを じょうぎょうしょでんと ききうる かたは じげぶつじょうの ほん なり.
名字の 妙法を 上行所伝と 聞き得る 方は 自解仏乗の 本 なり.

ききえて のち じゅじする われらは しゃく なり.
聞き得て 後 受持する 我等は 迹 なり.

ゆえに でんぎょう より にちれんは まさるなり うんぬん.
故に 伝教 より 日蓮は 勝るなり 云云.

「まっぽう じこくの ぐつうの ほんじゃく」.
「末法 時刻の 弘通の 本迹」.

ほんにんみょうを ほんとし こんにち じゅりょうの だっちゃくを しゃくと するなり.
本因妙を 本とし 今日 寿量の 脱益を 迹と するなり.

くおんの しゃくそんの しゅぎょうと いま にちれんの しゅぎょうとはけしばかりも たがわざる しょうれつ なり うんぬん.
久遠の 釈尊の 修行と 今 日蓮の 修行とは 介爾計も 違わざる 勝劣 なり 云云.

「ほんもん しゅぎょうの ほんじゃく」.
「本門 修行の 本迹」.

しょうぞう 2000ねんの しゅぎょうは しゃくもん なり.
正像 二千年の 修行は 迹門 なり.

まっぽうの しゅぎょうは ほんもん なり.
末法の 修行は 本門 なり.

また ちゅうげん こんにちの ほとけの しゅぎょう より にちれんの しゅぎょうは まさるる ものなり.
又 中間 今日の 仏の 修行 より 日蓮の 修行は 勝るる 者なり.

「ほんもん 5だいそんの ほんじゃく」.
「本門 五大尊の 本迹」.

くおん ほんがの じじゅゆうほうしんにょらいは ほん なり.
久遠 本果の 自受用報身如来は 本 なり.

じょうぎょう とうの しぼさつは しゃく なり.
上行 等の 四菩薩は 迹 なり.

「にちれん ほんもん ぐつうの ほんじゃく」.
「日蓮 本門 弘通の 本迹」.

ほんにんみょうは ほん なり.
本因妙は 本 なり.

がほんぎょうぼさつどうは しゃく なり うんぬん.
我本行菩薩道は 迹 なり 云云.

「ほんげ じぎょう いっちの ほんじゃく」.
「本化 事行 一致の 本迹」.

ほんじゃく ことなりと いえども ふしぎ 1 うんぬん.
本迹 殊なりと 雖も 不思議 一 云云.

ほんにんみょうの ほかに ならびに しゃく とて べっして これなし.
本因妙の 外に 並に 迹 とて 別して 之無し.

ゆえに 1と しゃくする ものなり.
故に 一と 釈する 者なり.

しんじつの しょうれつの てほんの ぎ なり うんぬん.
真実の 勝劣の 手本の 義 なり 云云.

「ご 14ほん みな るつうの ほんじゃく」.
「後 十四品 皆 流通の 本迹」.

ほんがみょうの しゃくそん ほんにんみょうの じょうぎょうぼさつを めしだす ことは.
本果妙の 釈尊 本因妙の 上行菩薩を 召し出す 事は.

いっこうに めつご まっぽう りやくの ためなり.
一向に 滅後 末法 利益の 為なり.

しかるあいだ にちれん しゅぎょうの ときは のちの 14ほん みな めつごの るつうぶん なり.
然る間 日蓮 修行の 時は 後の 十四品 皆 滅後の 流通分 なり.

「げしゅ かいたいの ほんじゃく」.
「下種 戒体の 本迹」.

にぜん しゃくもんの かいたいは ごんじつ ぞうらん.
爾前 迹門の 戒躰は 権実 雑乱.

ほんもんの かいたいは じゅんいつ むぞうつの だいかい なり.
本門の 戒躰は 純一 無雑の 大戒 なり.

しょうれつ てんち すいか なお およばず.
勝劣 天地 水火 尚 及ばず.

ともに かいたしょうの ごとし うんぬん.
具に 戒躰抄の 如し 云云.

「ほんげ しちめんの ほんじゃく」.
「本化 七面の 本迹」.

まつぽうには じぎょうを ほんとし ざいせと ぞうほうとには りかんをほんと するなり.
末法には 事行を 本とし 在世と 像法とには 理観を 本と するなり.

てんだいの ほんしょは りの うえの じ なれば いっこう しゃくもんの しちけつ.
天台の 本書は 理の 上の 事 なれば 一向 迹門の 七決.

わがけの ほんしょは じの うえの ほん なり.
我家の 本書は 事の 上の 本 なり.

→a864

b865

「げしゅ 3しゅ ほっけの ほんじゃく」.
「下種 三種 法華の 本迹」.

2しゅは しゃく なり いっしゅは ほん なり.
二種は 迹 なり 一種は 本 なり.

しゃくもんは おんみつほっけ ほんもんは こんぽんほっけ.
迹門は 隠密法華 本門は 根本法華.

しゃくほん もんていの なんみょうほうれんげきょうは けんぜつほっけ なり.
迹本 文底の 南無妙法蓮華経は 顕説法華 なり.

「ほんげほんぞんの ほんじゃく」.
「本化本尊の 本迹」.

しちじは ほん なり よの じっかいは しゃく なり.
七字は 本 なり 余の 十界は 迹 なり.

しょきょう しょしゅう ちゅうおうの ほんぞん ばんぶつ げしゅの しゅし むじょうの だいまんだら なり.
諸経 諸宗 中王の 本尊 万物 下種の 種子 無上の 大曼荼羅 なり.

「げしゅ しゅごしんの ほんじゃく」.
「下種 守護神の 本迹」.

しゅごし たてまつる ところの だいもくは ほん.
守護し 奉る 所の 題目は 本.

まもる ところの しんみょうは しゃく なり.
護る 所の 神明は 迹 なり.

しょぶつくせしゃ げんむりょうじんりき うんぬん.
諸仏救世者 現無量神力 云云.

「げしゅ さんのうしんの ほんじゃく」.
「下種 山王神の 本迹」.

「くおんに うくる ところの みょうほうは ほん.
久遠に 受くる 所の 妙法は 本.

ちゅうげん こんにち みらい までも まもり きたる ところの さんのうみょうじんは そく しゃく なり.
中間 今日 未来 までも 守り 来る 所の 山王明神は 即 迹 なり.

「げしゅ じゅうらせつにょの ほんじゃく」.
「下種 十羅刹女の 本迹」.

この ぎり かみに おなじ.
此の 義理 上に 同じ.

ただ しんみょうと じゅうにょを ほんじゃくに たいする とき.
唯 神明と 十女を 本迹に 対する 時.

じゅうらせつにょは ほん しんみょうは しゃく なり.
十羅刹女は 本 神明は 迹 なり.

「ほんもん ふぞくの ほんじゃく」.
「本門 付属の 本迹」.

くおんみょうじの とき うくる ところの みょうほうは ほん じょうぎょう とうは しゃく なり.
久遠名字の 時 受る 所の 妙法は 本 上行 等は 迹 なり.

くおんがんじょの けっちょうふぞくは にちれん こんにち じゅりょうのふぞくと どうい なり うんぬん.
久遠元初の 結要付属は 日蓮 今日 寿量の 付属と 同意 なり 云云.

「ほんもん かいえの ほんじゃく」.
「本門 開会の 本迹」.

くおんの ほんえを ほんと なす.
久遠の 本会を 本と 為す.

こんにち じゅりょうの だつを しゃくと するなり.
今日 寿量の 脱を 迹と 為るなり.

「げしゅ じょうぶつの ほんじゃく」.
「下種 成仏の 本迹」.

ほんにんみょうは ほん じじゅゆうしんは しゃく じょうぶつは かたきに あらず.
本因妙は 本 自受用身は 迹 成仏は 難きに 非ず.

この きょうを たもつこと かたければ なり うんぬん.
此の 経を 持つこと 難ければ なり 云云.

→a865

b866

「げしゅ 3しゅ きょうそうの ほんじゃく」.
「下種 三種 教相の 本迹」.

2しゅは しゃくもん いっしゅは ほんもん なり.
二種は 迹門 一種は 本門 なり.

ほんもんの きょうそうは きょうそうの しゅくん なり.
本門の 教相は 教相の 主君 なり.

2しゅは にじゅうはっぽん いっしゅは だいもく なり.
二種は 二十八品 一種は 題目 なり.

だいもくは かんじんの うえの きょうそう なり.
題目は 観心の 上の 教相 なり.

「ごみ しゅの なかの しゅの ほんじゃく」.
「五味 主の 中の 主の 本迹」.

にちれんが ごみは おうじゅ ともに ごみの しゅの しゅぎょう なり.
日蓮が 五味は 横竪 共に 五味の 主の 修行 なり.

ごみは そく ほんもん しゅぎょうは そく しゃくもん なり.
五味は 即 本門 修行は 即 迹門 なり.

「ほんしゅ してい ふへんの ほんじゃく」.
「本種 師弟 不変の 本迹」.

くおんじつじょうの じじゅゆうしんは ほん じょうぎょうぼさつは しゃく なり.
久遠実成の 自受用身は 本 上行菩薩は 迹 なり.

さんぜ じょうごう ふへんの やくそく なり.
三世 常恒 不変の 約束 なり.

「ほんしゅ ふし じょうじゅうの ほんじゃく」.
「本種 父子 常住の 本迹」.

ぎり かみに おなじ.
義理 上に 同じ.

くおんの みょうじ そくの ぞくたいじょうじゅうの ふしは いま にちれんが しゅぎょうに ことならず.
久遠の 名字 即の 俗諦常住の 父子は 今 日蓮が 修行に 殊ならず.

せけん そうじょうじゅう これなり.
世間 相常住 是なり.

「しど ぐそくの ほんじゃく」.
「四土 具足の 本迹」.

3どは しゃく じょうじゃっこうどは ほん なり.
三土は 迹 常寂光土は 本 なり.

しど そく じょうじゃっこう じゃっこう そく しどの じょうどは ただ ほんもん ぐきょうの どうじょう なり.
四土 即 常寂光 寂光 即 四土の 浄土は 唯 本門 弘経の 道場 なり.

「げしゅ かんのう にちげつの ほんじゃく」.
「下種 感応 日月の 本迹」.

げしゅの ほとけは てんげつ だつぶつは ちげつ なり.
下種の 仏は 天月 脱仏は 池月 なり.

てんだい いわく ふしきてんげつ たんかんちげつ うんぬん.
天台 云く 不識天月 但観池月 云云.

「げしゅ ずいえん ふへんの ほんじゃく」.
「下種 随縁 不変の 本迹」.

たいゆう どうじの しんじつ しんにょ いっくの しゅだい なり.
体用 同時の 真実 真如 一口の 首題 なり.

ほんぬの しゃく ほんぬの いちねん3000 これなり.
本有の 迹 本有の 一念三千 是なり.

ずいえんふえん いちねんじゃくしょうの ほんじゃく なり.
随縁不変 一念寂照の 本迹 なり.

「げしゅ 9ほうみょうの ほんじゃく」.
「下種 九法妙の 本迹」.

くおんげしゅの みょうほうは ほん いらいの 9ほうは しゃく なり.
久遠下種の 妙法は 本 已来の 九法は 迹 なり.

「げしゅ にんてんの ほんじゃく」.
「下種 人天の 本迹」.

くおんげしゅの みょうほうは ほん なり.
久遠下種の 妙法は 本 なり.

いらいの にん てんは しゃく なり.
已来の 人 天は 迹 なり.

「げしゅ はっそうはっく しゅうごう じっしょうの ほんじゃく」.
「下種 八相八苦 習合 実勝の 本迹」.

だつの はっそうは しゃく しゅの はっそうは ほん.
脱の 八相は 迹 種の 八相は 本.

だつの はっくは しゃく しゅの はっくは ほん なり.
脱の 八苦は 迹 種の 八苦は 本 なり.

ぼんのうそくぼだい しょうじそくねはん じょうざいしふめつと いえり.
煩悩即菩提 生死即涅槃 常在此不滅と 云えり.

→a866

b867

「げしゅ さいご じきじゅまちようの ほんじゃく」.
「下種 最後 直授摩頂の 本迹」.

くおん いちねん がんじょの みょうほうを うけ いただく ことは さいごく むじょうの かんちょう なり.
久遠 一念 元初の 妙法を 受け 頂く 事は 最極 無上の 灌頂 なり.

ほうは ほん ひとは しゃく なり.
法は 本 人は 迹 なり.

「げしゅ ぐつう かいだん じっしょうの ほんじゃく.
「下種 弘通 戒壇 実勝の 本迹」.

さんこの ひほう こんりゅうの しょうちは ふじさん ほんもんじ ほんどう なり.
三箇の 秘法 建立の 勝地は 富士山 本門寺 本堂 なり.

「げしゅじゃくしょう じつじ たいゆうむじょうの ほんじゃく」.
「下種寂照 実事 体用無上の 本迹」.

しょうぶつ いちにょの じの うえの ほんがくの じゃくしょう なり.
生仏 一如の 事の 上の 本覚の 寂照 なり.

ひとは しゃく ほとけは ほん なり うんぬん.
人は 迹 仏は 本 なり 云云.

「げしゅ さんぜ さんぶつ じつやくの ほんじゃく」.
「下種 三世 三仏 実益の 本迹」.

にちれんは げしゅの りやく さんぜ 9せ しゅじゅくだつ ほんぬいちねんの りやく なり.
日蓮は 下種の 利益 三世 九世 種熟脱 本有一念の 利益 なり.

てんだい いわく もしは は もしは りつ みな この ほっけの こころの しゅぎょうの りやく なり.
天台 云く 若しは 破 若しは 立 皆 是 法華の 意の 修行の 利益 なり.

「げしゅ しょうめい たほうぶっとうの ほんじゃく」.
「下種 証明 多宝仏塔の 本迹」.

くおんじつじょう むしむしゅう ほんぽうの みょうほうれんげきょう かいぜしんじつは ほん なり.
久遠実成 無始無終 本法の 妙法蓮華経 皆是真実は 本 なり.

くおんの ほんしは みょうほう なり.
久遠の 本師は 妙法 なり.

ほんぬじつじょう しゃか たほうは しゃく なり.
本有実成 釈迦 多宝は 迹 なり.

「げしゅ じょしょう るつう もんていの ほんじゃく」.
「下種 序正 流通 文底の 本迹」.

おうぶつと てんだいとは しょうしゅう いっぽんにはんを ほんもんと さだめ げんもんの しょうれつ.
応仏と 天台とは 正宗 一品二半を 本門と 定め 現文の 勝劣.

ほうぶつと にちれんとは るつうを ほんと さだむ.
報仏と 日蓮とは 流通を 本と 定む.

もんていの しょうれつ なり.
文底の 勝劣 なり.

「げしゅ しょうしゃく にもんの ほんじゃく」.
「下種 摂折 二門の 本迹」.

にちれんは しゃくぶくを ほんとし しょうじゅを しゃくと さだむ.
日蓮は 折伏を 本とし 摂受を 迹と 定む.

ほっけ しゃくぶく はごんもんりとは これなり.
法華 折伏 破権門理とは 是なり.

「げしゅ にみょう じつぎょうの ほんじゃく」.
「下種 二妙 実行の 本迹」.

にちれんは だつの にみょうを しゃくと なし しゅの にみょうを ほんと さだむ.
日蓮は 脱の 二妙を 迹と 為し 種の 二妙を 本と 定む.

しかるに そうだは しゃく ぜったいは ほん うんぬん.
然るに 相待は 迹 絶待は 本 云云.

「げしゅ じゅうみょう じったいの ほんじゃく」.
「下種 十妙 実体の 本迹」.

にちれんは ほんにんみょうを ほんと なし よを しゃくと なすなり.
日蓮は 本因妙を 本と 為し 余を 迹と 為すなり.

これ しんじつの ほんいんほんがの ほうもん なり.
是れ 真実の 本因本果の 法門 なり.

→a867

b868

「げしゅ 6じゅうぐとうの ほんじゃく」.
「下種 六重具騰の 本迹」.

にちれんは だつの 6じゅうを しゃくと なし.
日蓮は 脱の 六重を 迹と 為し.

しゅの 6じゅうを ほんと するなり うんぬん.
種の 六重を 本と 為るなり 云云.

「げしゅ 6そくじっしょうの ほんじゃく」.
「下種 六即実勝の 本迹」.

にちれんは だつの 6そくを しゃくと なし.
日蓮は 脱の 六即を 迹と 為し.

しゅの さんぜいっそくの 6そくあんいの り そくは かいえの みょうかく.
種の 三世一即の 六即案位の 理 即は 開会の 妙覚.

かいえの りそくは ほんがくの ごっかを ほんと するなり.
開会の 理即は 本覚の 極果を 本と 為るなり.

「げしゅ 12いんねんの ほんじゃく」.
「下種 十二因縁の 本迹」.

にちれんは おうぶつしょせつの 12いんねんを しゃくと なし.
日蓮は 応仏所説の 十二因縁を 迹と 為し.

くおんほうぶつ しょせつの 12いんねんを ほんと さだむる なり.
久遠報仏 所説の 十二因縁を 本と 定むる なり.

「げしゅ 10ふにもんの ほんじゃく」.
「下種 十不二門の 本迹」.

にちれんが 10ふにもんは じじょう ごくごくの じり いったいゆうの ふにもん なり.
日蓮が 十不二門は 事上 極極の 事理 一躰用の 不二門 なり.

「げしゅ じっかいごくの ほんじゃく」.
「下種 十界互具の 本迹」.

となえ たてまつる みょうほう ぶっかいは ほん となうる われら 9かいは しゃく なり.
唱え 奉る 妙法 仏界は 本 唱うる 我等 九界は  迹 なり.

みょうかく より りそくの ぼんぷ まで なり.
妙覚 より 理即の 凡夫  まで なり.

じつの じっかいごぐの しょうれつとは これなり.
実の 十界互具の 勝劣とは 是なり.

「げしゅ きょうちくじつの ほんじゃく」.
「下種 境智倶実の 本迹」.

だつの きょうちは しゃく しゅの きょうちは ほん なり.
脱の 境智は 迹 種の 境智は 本 なり.

みょうじそくの きょうちは きょうち ともに ほん.
名字即の 境智は 境智 倶に 本.

かんぎょう そくの きょうちは きょうち ともに しゃく なり うんぬん.
観行 即の 境智は 境智 倶に 迹 なり 云云.

→a868

b869

いじょう しゅの ほんじゃく しょうれつ おわんぬ.
已上 種の 本迹 勝劣 畢んぬ.

みぎ この けっみゃくは ほんじゃく しょうれつ.
右 此の 血脈は 本迹 勝劣.

その かず 106か これを ちゅうす.
其の 数 一百六箇 之を 注す.


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