b979.
道場神守護事(どうじょうしん しゅごの こと).
日蓮大 聖人 55歳 御作.

 

どうじょうしん しゅごの こと.
道場神 守護 事.

けんじ 2ねん 12がつ 55さい おんさく.
建治 二年 十二月 五十五歳 御作.

がもく 5かんもん たしかに おくり たび そうらい おわんぬ.
鵞目 五貫文 慥に 送り 給び 候い 了ぬ、.

かつ しろしめすが ごとく.
且つ 知食すが 如く.

この ところは さとなかを はなれたる しんざん なり.
此の 所は 里中を 離れたる 深山 なり.

いしょく ぼうしょうの あいだ どきょうの こえ つづき がたく だんぎの つとめは はいしつ べし.
衣食 乏少の 間 読経の 声 続き 難く 談義の 勤め 廃しつ 可し、.

この たくせんは じゅうらせつの おはからいにて だんなの こうを いたさしむるか.
此の 託宣は 十羅刹の 御計にて 檀那の 功を 致さしむるか、
.
しかんの だい8に いわく.
止観の 第八に 云く.

「たいしゃくどうの しょうき うやまい さくるが ごとし.
「帝釈堂の 小鬼 敬い 避くるが 如し.

どうじょうの かみ だいなれば みだりに しんにょう すること なし.
道場の 神 大 なれば 妄りに 侵にょう すること 無し、.

また しろの ぬし たけければ まもる ものも つよし.
又 城の 主 剛ければ 守る 者も 強し.

しろの ぬし おずれば まもる もの おそる.
城の 主 おずれば 守る 者 忙る、.

こころは これ みの ぬし なり.
心は 是れ 身の 主 なり.

どうみょうどうしょうの てん これ よく ひとを しゅご す.
同名同生の 天 是れ 能く 人を 守護 す.

こころ かたければ すなわち つよし.
心 固ければ 則ち 強し.

みの かみ なお しかなり いわんや どうじょうの かみをや.
身の 神 尚 爾なり 況や 道場の 神をや」.

ぐけつの だい8に いわく.
弘決の 第八に 云く.

「つねに ひとを まもると いえども かならず こころの かたきに よりて かみの まもり すなわち つよし」.
「常に 人を 護ると 雖も 必ず 心の 固きに 仮りて 神の 守り 則ち 強し」.

また いわく「みの りょうかたの かみ なお つねに ひとを まもる いわんや どうじょうの かみ をや」うんぬん.
又 云く「身の 両肩の 神 尚 常に 人を 護る 況や 道場の 神 をや」云云、.

ひと しょしょうの とき より 2しん しゅご す.
人 所生の 時 より 二神 守護 す.

いわゆる どうしょうてん どうみょうてん これを ぐしょうしんと いう.
所謂 同生天 同名天 是を 倶生神と 云う.

けごんきょうの もん なり.
華厳経の 文 なり、.

もんくの 4に いわく.
文句の 四に 云く.

ぞく なむぶつと しょうして なお てんとうを えたり.
「賊 南無仏と 称して 尚 天頭を 得たり.

いわんや けんじゃ しょうせば じっぽうの そんしん あえて あたらざらんや.
況や 賢者 称せば 十方の 尊神 敢て 当らざらんや.

ただ しょうじん せよ けたい すること なかれ」とう うんぬん.
但 精進 せよ 懈怠 すること 勿れ」等 云云、.

しゃくの こころは がっしてんを あがめて ほとけを もちいざる くに あり.
釈の 意は 月氏 天を 崇めて 仏を 用いざる 国 あり.

しかるに てらを つくり だいろくてんの まおうを あるじと す.
而るに 寺を 造り 第六天の 魔王を 主と す.

かしらは こがねを もってす.
頭は 金を 以てす.

だいぞく ねんらい これを ぬすまんとして えず.
大賊 年来 之を 盗まんとして 得ず.

あるとき ぶつぜんに もうでて ものを ぬすんで ほうを きく.
有時 仏前に 詣で 物を 盗んで 法を 聴く、.

ほとけ といて いわく.
仏 説いて 云く.

なむとは きょうかくの ぎ なり.
南無とは 驚覚の 義 也.

ぬすびと これを きいて なむほとけと しょうして てんとうを えたり.
盗人 之を 聞いて 南無仏と 称して 天頭を 得たり、.

これを きゅうめいする ところ ぬすびと かみの ごとく これを もうす.
之を 糾明する 処 盗人 上の 如く 之を 申す.

いっこく みな てんを すてて ほとけに きせり うんぬん.
一国 皆 天を 捨てて 仏に 帰せり 云云、.

かれを もって これを すいするに たとえ とが ある ものも さんぽうを しんぜば だいなんを のがれんか.
彼を 以て 之を 推するに 設い 科 有る 者も 三宝を 信ぜば 大難を 脱れんか、.

しかるに いま しめし たまえる たくせんの じょうは かねて これを しる.
而るに 今 示し 給える 託宣の 状は 兼て 之を 知る.

これを あんずるに なんを さって ふくの きたる せんちょう ならんのみ.
之を 案ずるに 難を 郤て 福の 来る 先兆 ならんのみ、.

みょうほうれんげきょうの みょうの 1じは りゅうじゅぼさつの だいろんに しゃくして いわく.
妙法蓮華経の 妙の 一字は 竜樹菩薩の 大論に 釈して 云く.

「よく どくを へんじて くすりと なす」と うんぬん.
「能く 毒を 変じて 薬と 為す」と 云云、.

てんだいだいしの いわく.
天台大師の 云く.

「こんきょうに きを える すなわち これを どくを へんじて くすりと なすなり」と うんぬん.
「今経に 記を 得る 即ち 是れ 毒を 変じて 薬と 為すなり」と 云云、.

わざわい きたるとも へんじて さいわいと ならん.
災 来るとも 変じて 幸と 為らん.

いかに いわんや じゅうらせつ これを かねる をや.
何に 況や 十羅刹 之を 兼る をや、.

まき ひを さかんにし かぜ ぐらを ますとは これなり.
薪 火を 熾にし 風 求羅を 益すとは 是なり、.

ことばは しじょうに つくし がたし こころを もって これを はかれ.
言は 紙上に 尽し 難し 心を 以て 之を 量れ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

12がつ 13にち.
十二月 十三日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

ごへんじ.
御返事.

 
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