b1095から1096.
兵衛志殿御書 (ひょうえのさかんどの ごしょ).
日蓮大 聖人 56歳 御作.

 

b1095

ひょうえのさかんどの ごしょ.
兵衛志殿 御書.

ひさしく うけたまわり そうらわねば よく おぼつかなく そうろう.
久しく うけ給わり 候はねば・ よく おぼつかなく 候、.

なによりも あわれに ふしぎなる ことは たいうさかんどのと とのとの おんこと ふしぎに そうろう.
何よりも・ あはれに・ ふしぎなる 事は 大夫志殿と 殿との 御事・ 不思議に 候、.

つねさまには よ すえに なり そうらえば しょうにん けんじんも みな かくれ.
常さまには 世 末に なり 候へば 聖人・ 賢人も 皆 かくれ・.

ただ ざんじん ねいじん わざん きょくりの もの のみ こそ.
ただ・ ざんじむ・ ねいじん・ わざん・ きよくりの 者 のみ こそ.

くにには じゅうまん すべきと みえて そうらえば.
国には 充満すべきと 見へて 候へば、.

たとえば みず すくなく なれば いけ さわがしく.
喩えば 水 すくなく なれば 池 さはがしく.

かぜ ふけば たいかい しづか ならず.
風 ふけば 大海 しづか ならず、.

よの まつに なり そうらえば かんばち えきれい おおあめ おおかぜ ふき かさなり そうらえば.
代の 末に なり 候へば・ かんばち えきれい 大雨 大風 ふき かさなり 候へば.

ひろき こころも せばく なり.
広き 心も・ せばく なり.

どうしん ある ひとも じゃけんに なると こそ みえて そうらえ.
道心 ある 人も 邪見に なると こそ 見へて 候へ.

されば たにんは さておきぬ.
されば 他人は さてをきぬ.

ふぼと ふうふと きょうだいと あらそう こと.
父母と 夫妻と 兄弟と 諍う 事.

りょうしと しかと ねこと ねずみと たかと きじとの ごとしと みえて そうろう.
れつしと しかと ねこと ねずみと たかと きじとの 如しと 見へて 候、.

りょうかんらの てんまの ほっしらが おや ちち さえもんのたゆうどのを すかし.
良観等の 天魔の 法師らが 親 父 左衛門の大夫殿を すかし、.

わどの ばら ふたりを うしなわせんと せしに.
わどの ばら 二人を 失はんと せしに、.

とのの おんこころ かしこくして にちれんが いさめを おんもちい ありし ゆえに.
殿の 御心 賢くして 日蓮が いさめを 御もちゐ 有りし ゆへに.

ふたつの わの くるまを たすけ ふたつの あしの ひとを になえるが ごとく.
二の わの 車を たすけ 二の 足の 人を・ になへるが 如く.

ふたつの はねの とぶが ごとく にちがつの いっさいしゅじょうを たすくるが ごとく.
二の 羽の とぶが 如く 日月の 一切衆生を 助くるが 如く、.

きょうだいの おんちからにて おや ちちを ほけきょうに いれまいらせ させたまいぬる.
兄弟の 御力にて 親 父を 法華経に 入れ まいらせさせ 給いぬる.

おんはからい ひとえに きへんの おんみに あり.
御計らい 偏に 貴辺の 御身に あり、.

また しんじつの きょうの おんことわりを よ すえに なりて ぶっぽう あながちに みだれば.
又 真実の 経の 御ことはりを 代 末に なりて 仏法  あながちに・ みだれば.

だいしょうにん よに いずべしと みえて そうろう.
大聖人 世に 出ずべしと 見へて 候、.

たとえば まつの しもの のちに きの おうと みえ.
喩へば 松の しもの 後に 木の 王と 見へ.

きくは くさの のちに せんそうと みえて そうろう.
菊は 草の 後に 仙草と 見へて 候、.

よの おさまれるには けんじん みえず.
代の おさまれるには 賢人 見えず.

よの みだれたるに こそ しょうにん ぐにんは あらわれ そうらえ.
代の 乱れたるに こそ 聖人 愚人は 顕れ 候へ、.

あわれ へいのさえもんどの さがみどのの にちれんを だに もちいられて そうらい しかば.
あはれ 平の左衛門殿 さがみ殿の 日蓮を だに 用いられて 候い しかば、.

すぎにし もうここくの つかいの くびは よも きらせ まいらせ そうらわじ.
すぎにし 蒙古国の 朝使の くびは・ よも 切せ まいらせ 候はじ、.

くやしく おわすらなん.
くやしく おはすらなん。.

にんのう 81だい あんとくてんのうと もうす だいおうは.
人王 八十一代 安徳天皇と 申す 大王は.

てんだいの ざす みょううん とうの しんごんしら.
天台の 座主・ 明雲等の 真言師 等・.

すうひゃくにん かたらいて みなもとのうしょうぐん よりともを ちょうぶく せしかば.
数百人 かたらひて 源の右将軍 頼朝を 調伏 せしかば.

げんちゃくおほんにんとて みょううんは よしなかに きられぬ.
還著於本人とて 明雲は 義仲に 切られぬ.

あんとくてんのうは せいかいに しずみ たまう.
安徳天皇は 西海に 沈み 給う、.

にんのう82 3 4 おきのほうおう あわのいん さどのいん.
人王 八十二 三 四 隠岐の 法皇・ 阿波の院・ 佐渡の院・.

とうぎん いじょう よにん ざす じえんそうじょう おむろ みい とうの 40よにんの こうそうらを もて.
当今・ 已上 四人・ 座主 慈円僧正・ 御室・ 三井等の 四十余人の 高僧等を もて.

たいらのしょうぐん よしときを ちょうぶくし たまう ほどに.
平の将軍 義時を 調伏し 給う 程に.

また げんちゃく おほんにんとて かみの しおう しまじまに はなたれ たまいき.
又 還著於本人とて 上の 四王 島島に 放たれ 給いき、.

→a1095

b1096

この だいあくほうは こうぼう じかく ちしょうの さんだいし.
此の 大悪法は 弘法・ 慈覚・ 智証の 三大師・.

ほけきょう さいだいいちの しゃくそんの きんげんを やぶりて.
法華経 最第一の 釈尊の 金言を 破りて.

ほっけ さいだいに さいだいさん だいにちきょう さいだいちと よみ たまいし びゃっけんを ごしんよう ありて.
法華 最第二・ 最第三・ 大日経 最第一と 読み 給いし 僻見を 御信用 有りて.

こんじょうには くにと みとを ほろぼし ごしょうには むけんじごくに おち たまいぬ.
今生には 国と 身とを ほろぼし 後生には 無間地獄に 堕ち 給いぬ、.

こんどは また この ちょうぶく さんど なり.
今度は 又 此の 調伏 三度 なり、.

いま わがでしら ししたらん ひとびとは ぶつげんを もって これを み たまうらん.
今 我が 弟子等 死したらん 人人は 仏眼を もて 是を 見 給うらん、.

いのち つれなくて いきたらん まなこに みよ.
命 つれなくて 生たらん 眼に 見よ、.

こくしゅらは たこくへ せめ わたされ.
国主等は 他国へ 責め わたされ.

ちょうぶくの ひとびとは あるいは くるいじにし あるいは たこく あるいは さんりんに かくるべし.
調伏の 人人は 或は 狂死 或は 他国 或は 山林に かくるべし、.

きょうしゅしゃくそんの おんつかいを にど まで こうじを わたし.
教主釈尊の 御使を 二度 まで こうぢを わたし.

でしらを ろうに いれ あるいは ころし.
弟子等を ろうに 入れ 或は 殺し.

あるいは がいし あるいは ところ くにを おいし ゆえに.
或は 害し 或は 所 国を おひし 故に.

その とが かならず その くにぐに ばんみん のみに 1 1に かかるべし.
其の 科 必ず 其の 国国 万民の 身に 一 一に かかるべし、.

あるいは また びゃくらい こくらい しょあく じゅうびょうの ひとびと おおかるべし.
或は 又 白癩・ 黒癩・ 諸悪 重病の 人人 おほかるべし、.

わが でしら この よしを ぞんぜさせ たまえ.
我が 弟子等・ 此の 由を 存ぜさせ 給へ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

くがつ ここのか
九月 九日

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

この ふみは べっして ひょうえの さかんどのへ.
此の 文は 別しては 兵衛の 志殿へ、.

そうじては わがいちもんの ひとびと ごらん あるべし.
総じては 我が 一門の 人人 御覧 有るべし、.

たにんに きかせ たまうな.
他人に 聞かせ 給うな。

→a1096

 
→a1095
→c1095
 ホームページトップ
inserted by FC2 system