b1114から1115.
同生同名御書 (どうしょうどうみょうごしょ).
日蓮大聖人 51歳 御作.

 

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どうしょう どうみょう ごしょ.
同生 同名 御書.

ぶんえい 9ねん 4月 51さい おんさく.
文永 九年 四月 五十一歳 御作.

この おんふみは とうしろうどのの にょうぼうと.
此の 御文は 藤四郎殿の 女房と.

つねに よりあいて ごらん あるべく そうろう.
常に よりあひて 御覧 あるべく 候.

おおやみをば にちりん やぶる.
大闇をば 日輪 やぶる.

にょにんの こころは おおやみの ごとし.
女人の 心は 大闇の ごとし.

ほけきょうは にちりんの ごとし.
法華経は 日輪の ごとし.

おさなごは ははを しらず ははわ おさなごを わすれず.
幼子は 母を しらず 母は 幼子を わすれず.

しゃかぶつは ははの ごとし にょにんは おさなごの ごとし.
釈迦仏は 母の ごとし 女人は 幼子の ごとし.

ににん たがいに おもえば すべて はなれず.
二人 たがひに 思へば すべて はなれず.

いちにんは おもえども いちにん おもわざれば.
一人は 思へども 一人 思はざれば.

あるときは あい あるときは あわず.
あるときは あひ あるときは あわず.

ほとけは おもうものの ごとし.
仏は をもふものの ごとし.

にょにんは おもわざるものの ごとし.
女人は をもはざるものの ごとし.

われら ほとけを おもわば いかでか しゃかぶつ みえ たまわざるべき.
我等 仏を をもはば いかでか 釈迦仏 見え 給はざるべき.

いしを たまと いえども たまと ならず.
石を 珠と いへども 珠と ならず.

たまを いしと いえども いしと ならず.
珠を 石と いへども 石と ならず.

ごんきょうの とうせいの ねんぶつらは いしの ごとし.
権経の 当世の 念仏等は 石の ごとし.

ねんぶつは ほけきょうぞと もうすとも ほけきょうとうに あらず.
念仏は 法華経ぞと 申すとも 法華経等に あらず.

また ほけきょうを そしるとも たまの いしと ならざるが ごとし.
又 法華経を そしるとも 珠の 石と ならざるが ごとし.

むかし もろこしに きそうこうていと もうせし あくおう あり.
昔 唐国に 徽宗皇帝と 申せし 悪王 あり.

どうしと もうすものに すかされて ぶつぞう きょうかんを うしない.
道士と 申すものに すかされて 仏像 経巻を うしなひ.

そうにを みな げんぞく せしめしに ひとりとして げんぞく せざるもの なかりき.
僧尼を 皆 還俗 せしめしに 一人として 還俗 せざるもの なかりき.

その なかに ほうどうさんぞうと もうせし ひとこそ ちょくせんを おそれずして.
其の 中に 法道三蔵と 申せし 人こそ 勅宣を おそれずして.

かおに かなやきを やかれて こうなんと もうせし ところへ ながされて そうらいしが.
面に かなやきを やかれて 江南と 申せし 処へ 流されて 候いしが.

いまの よの ぜんしゅうと もうす どうしの ほうもんの ようなる あくほうを ごしんよう ある よに うまれて.
今の 世の 禅宗と 申す 道士の 法門の やうなる 悪法を 御信用 ある 世に 生れて.

にちれんが だいなんに あうことは ほうどうに にたり.
日蓮が 大難に 値うことは 法道に 似たり.

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おのおの わずかの おんみと うまれて.
おのおの わずかの 御身と 生れて.

かまくらに いながら ひとめをも はばからず.
鎌倉に ゐながら 人目をも はばからず.

いのちをも おしまず ほけきょうを ごしんよう あること ただごととも おぼえず.
命をも おしまず 法華経を 御信用 ある事 ただ事とも おぼえず.

ただ おしはかるに じょくすいに たまを いれぬれば みずの すむが ごとし.
但 おしはかるに 濁水に 玉を 入れぬれば 水の すむが ごとし.

しらざる ことを よき ひとに おしえられて.
しらざる 事を よき 人に おしえられて.

そのままに しんようせば どうりに きこゆるが ごとし.
其のままに 信用せば 道理に きこゆるが ごとし.

しゃかぶつ ふげんぼさつ やくおうぼさつ しゅくおうけぼさつ とうの.
釈迦仏 普賢菩薩 薬王菩薩 宿王華菩薩 等の.

おのおのの ごしんちゅうに いり たまえるか.
各各の 御心中に 入り 給へるか.

ほけきょうの もんに えんぶだいに この きょうを しんぜん ひとは.
法華経の 文に 閻浮提に 此の 経を 信ぜん 人は.

ふげんぼさつの おんちからなりと もうす これ なるべし.
普賢菩薩の 御力なりと 申す 是 なるべし.

にょにんは たとえば ふじの ごとし.
女人は たとへば 藤の ごとし.

おとこは まつの ごとし.
をとこは 松の ごとし.

しゅゆも はなれぬれば たちあがる こと なし.
須臾も はなれぬれば 立ちあがる 事 なし.

はかばかしき げにんも なきに.
はかばかしき 下人も なきに.

かかる みだれたる よに この とのを.
かかる 乱れたる 世に 此の とのを.

つかわされたる こころざし だいち よりも あつし.
つかはされたる 心ざし 大地 よりも あつし.

ちじん さだめて しりぬらん.
地神 定めて しりぬらん.

こくう よりも たかし.
虚空 よりも たかし.

ぼんてん たいしゃくも しらせ たまいぬらん.
梵天 帝釈も しらせ 給いぬらん.

ひとの みには どうしょう どうみょうと もうす ふたりの つかいを.
人の 身には 同生 同名と 申す 二の つかひを.

てん うまるる ときより つけさせ たまいて.
天 生るる 時より つけさせ 給いて.

かげの みに したがうが ごとく しゅゆも はなれず.
影の 身に したがふが ごとく 須臾も はなれず.

たいざい しょうざい だいくどく しょうくどく すこしも おとさず.
大罪 小罪 大功徳 小功徳 すこしも おとさず.

かわる がわる てんに のぼって もうし そうろうと ほとけ ときたもう.
かはる かはる 天に のぼて 申し 候と 仏 説き給う.

この ことは はや てんも しろしめしぬらん.
此の 事は はや 天も しろしめしぬらん.

たのもしし たのもしし.
たのもしし たのもしし.

4がつ にち にちれん かおう.
四月 日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

しじょうきんごどの にょうぼう ごへんじ.
四条金吾殿 女房 御返事.

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