b1175から1177.
四条金吾御書 (しじょうきんご ごしょ).
日蓮大聖人 57歳 御作.

 

b1175

しじょうきんご ごしょ.
四条金吾 御書.

けんじ 4ねん いちがつ 57さい おんさく.
建治 四年 一月 五十七歳 御作.

たかとりの たけ みのぶの たけ なないたがれの たけ.
鷹取の たけ・ 身延の たけ・ なないたがれの たけ.

いいだにと もうし きの もと かやの ね.
いいだにと 申し、木の もと・ かやの ね.

いわの うえ つちの うえ いかに たずね そうらえども.
いわの 上・ 土の 上 いかに たづね 候へども.

おいて そうろう ところなし.
生て 候 ところなし.

されば うみに あらざれば わかめ なし.
されば 海に あらざれば わかめ なし.

やまに あらざれば くさびら なし.
山に あらざれば 茸 なし.

ほけきょう あらざればほとけに なる みち なかりけるか.
法華経に あらざれば 仏に なる 道 なかりけるか.

これは さておき そうらいぬ.
これは さてをき 候いぬ.

なによりも うけたまわりて すずしく そうろうことは.
なによりも 承りて すずしく 候事は.

いくばくの おんにくまれの ひとの ごしゅっしに.
いくばくの 御にくまれの 人の 御出仕に.

ひとかずに めし ぐせられさせ たまいて.
人かずに・ めし ぐせられさせ 給いて.

1にち ふつか ならず おひまも なきよし.
一日・ 二日 ならず 御ひまも なきよし.

うれしさ もうす ばかりなし.
うれしさ 申す ばかりなし.

えもんの たいうの おやに たち あいて.
えもんの たいうの をやに 立ち あひて.

かみの おんひとことにて かえりて ゆりたると.
上の 御一言にて かへりて 許たると.

とのの すねんが あいだの にくまれ.
殿の 数年が 間の にくまれ.

こぞの ふゆは こうと ききしに.
去年の ふゆは かうと ききしに.

かえりて ひびの ごしゅっしの おんとも いかなることぞ.
かへりて 日日の 御出仕の 御とも いかなる事ぞ.

ひとえに てんの おんはからい ほけきょうの おんちからに あらずや.
ひとへに 天の 御計い 法華経の 御力に あらずや.

その うえ えんきょうぼうの きたりて そうらいしが もうし そうろうは.
其の 上 円教房の 来りて 候いしが 申し 候は.

えまの しろうどのの ごしゅっしに おともの.
えまの 四郎殿の 御出仕に 御ともの.

さむらい 24 5 その なかに しゅは さておき たてまつりぬ.
さふらい 二十四・ 五 其の 中に しうは さてをき たてまつりぬ.

ぬしの せいと いい かお たましい.
ぬしの せいと いひ かを たましひ.

うま げにん までも なかつかさの さえもんのじょう だい1 なり.
むま 下人 までも 中務の さえもんのじやう 第一 なり.

あっぱれおとこや おとこやと.
天晴男をとこや をとこやと.

かまくらわらわべは つじちにて.
かまくらわらはべは つじちにて.

もうし あいて そうらいしと かたり そうろう.
申し あひて 候しと かたり 候.

これに つけても あまりに あやしく そうろう.
これに つけても あまりに あやしく候.

こうしは きゅうし いちげん.
孔子は 九思一 言.

しゅうこうたんは よくする ときは さんど にぎり.
周公旦は 浴する 時は 三度 にぎり.

しょくする ときは さんど はかせ たもう.
食する 時は 三度 はかせ 給う.

いにしえの けんじん なり いまの ひとの かがみ なり.
古の 賢人 なり 今の 人の かがみ なり.

されば こんどは ことに みを つつしませ たもうべし.
されば 今度は ことに 身を つつしませ 給うべし.

よるは いかなる こと ありとも ひとり そとへ いでさせ たもう べからず.
よるは いかなる 事 ありとも 一人 そとへ 出でさせ 給う べからず.

たとえ かみの おめし ありとも.
たとひ 上の 御めし 有りとも.

まず げにんを こそへ つかわして.
まづ 下人を こそへ つかわして.

ないない いちじょうを ききさだめて.
なひなひ 一定を ききさだめて.

はらまきを きて はちまきし.
はらまきを きて はちまきし.

せんご さゆうに ひとを たてて しゅっし.
先後・ 左右に 人を たてて 出仕し.

ごしょの かたわらに こころよせの やかたか.
御所の かたわらに 心よせの やかたか.

また わが やかたかに ぬぎ おきて まいらせ たもうべし.
又 我が やかたかに ぬぎ をきて まいらせ 給うべし.

いえへ かえらんには さきに ひとを いれて.
家へ かへらんには さきに 人を 入れて.

との わき はしの した むやまの しり.
戸の 脇 橋の した むまやの しり.

たかどの いっさいの くらき ところを みせて はいるべし.
たかどの 一切 くらき ところを みせて 入るべし.

→a1175

b1176

しょうぼうには わがや よりも ひとの いえ よりも あれ.
せうまうには 我が家 よりも 人の 家 よりも あれ.

たからを おしみて あわてて ひを けす ところへ づつと よる べからず.
たからを・ をしみて あわてて 火を けす ところへ づつと よる べからず.

まして はしり でる ことなかれ.
まして 走り 出る 事なかれ.

しゅっしより しゅの おともして おかえりの ときは.
出仕より 主の 御ともして 御かへりの 時は.

みかどより うまより おりて いとまの さしあう よし.
みかどより 馬より をりて、 いとまの・ さしあう よし.

ぼうかんに もうして いそぎ かえるべし.
ぼうくわんに 申して いそぎ かへるべし.

かみの おおせ なりとも よるに いりて おともして.
上の ををせ なりとも・ 夜に 入りて 御ともして.

ごしょに ひさしかる べからず.
御所に ひさしかる べからず.

かえらんには だいいち こころに ふかき ようじん あるべし.
かへらむには 第一・ 心に ふかき 用心 あるべし.

ここをば かならず かたきの うかがう ところなり.
ここをば・ かならず・ かたきの・ うかがう ところなり.

ひとの さけ たまうと もうすとも あやしみて.
人の 酒 たばんと 申すとも あやしみて.

あるいは ことばを いだし あるいは もちいる ことなかれ.
あるひは 言を いだし あるひは 用いる ことなかれ.

また おんおとどもには つねは ふびんの よし あるべし.
又 御をととどもには 常は ふびんの よし あるべし.

つねに ゆせに ぞうりの あたい なんど こころあるべし.
つねに ゆせに ざうりの あたい なんど 心あるべし.

もしやの ことの あらんには かたきは ゆるさじ.
もしやの 事の あらむには かたきは ゆるさじ.

わがために いのちを うしなわんずる もの ぞかしと おぼして.
我がために いのちを うしなはんずる 者 ぞかしと をぼして.

とが ありとも しょうしょうの とがをば しらぬようにて あるべし.
とが ありとも・ せうせうの 失をば しらぬやうにて あるべし.

また おんな るいは いかなる とがありとも.
又 女 るひは いかなる 失ありとも.

いっこうに ごきょうくん までも ある べからず.
一向に 御けうくん までも ある べからず.

まして いさかう ことなかれ.
まして いさかう ことなかれ.

ねはんぎょうに いわく「つみ きわめて おもしと いえども にょにんに およぼさず」とう うんぬん.
涅槃経に 云く「罪 極て 重しと 雖も 女人に 及ぼさず」等 云云.

もんの こころは いかなる とが ありとも おんなの とがを おこなわざれ.
文の 心は いかなる 失 ありとも 女の とがを をこなはざれ.

これ けんじん なり これ ぶつでし なりと もうす もん なり.
此れ 賢人 なり 此れ 仏弟子 なりと 申す 文 なり.

この もんは あじゃせおう ちちを ころす のみならず.
此の 文は 阿闍世王・ 父を 殺す のみならず.

ははを あやまたんと せし とき.
母を あやまたむと・ せし 時.

ぎば げっこうの りょうしんが いさめたる きょうもん なり.
耆婆・ 月光の 両臣が いさめたる 経文 なり.

わが はは こころぐるしく おもいて りんじゅう までも.
我が 母 心ぐるしく をもひて 臨終 までも.

こころに かけし いもうとども なれば.
心に かけし・ いもうとども なれば.

とがを めんじて ふびんと いうならば.
失を・ めんじて 不便と いうならば.

ははの こころ やすみて こうようと なるべしと ふかく おぼすべし.
母の 心 やすみて 孝養と なるべしと ふかく おぼすべし.

たにんをも ふびんと いうぞかし.
他人をも 不便と いうぞかし.

いわんや おとうと どもをや.
いわうや・ をとをと どもをや.

もしやの ことの あるには いっしょにて いかにも なるべし.
もしやの 事の 有るには 一所にて いかにも なるべし.

これら こそ とどまり いて なげかんずれば おもいでにと ふかく おぼすべし.
此等 こそ とどまり ゐて なげかんずれば をもひでにと ふかく をぼすべし.

かようもうすは たじは さておきぬ.
かやう 申すは 他事は さてをきぬ.

すごろくは ふたつ ある いしは かけられず.
雙六は 二 ある 石は かけられず.

とりの ひとつの はねにて とぶ ことなし.
鳥の 一の 羽にて とぶ ことなし.

まさかど さだとうが ようなりし ゆうしょうも ひとりは かなわず.
将門 さだたふが やうなりし 勇将も 一人は 叶わず.

されば しゃていらを ことも ろうどうとも うち たのみて おわせば.
されば 舎弟等を 子とも 郎等とも うち たのみて をはせば.

もしや ほけきょうも ひろませ たまいて よにも あらせ たまわば.
もしや 法華経も ひろまらせ 給いて 世にも あらせ 給わば.

いっぽうの かとうど たるべし.
一方の かたうど たるべし.

すでに きょうの だいりいんの ごしょ かまくらの ごしょ.
すでに 京の だいり院の ごそ かまくらの 御所.

ならびに おんうしろみの ごしょ.
並に 御うしろみの 御所.

1ねんが うちに にど しょうがつと 12がつとに やけ そうらいぬ.
一年が 内に 二度 正月と 十二月とに やけ 候いぬ.

→a1176

b1177

これ ただごとには あらず.
これ 只事には あらず.

ほうぼうの しんごんしらを おんしと たのませ たもう うえ.
謗法の 真言師等を 御師と たのませ 給う 上.

かれら ほけきょうを あだみ そうろう ゆえに.
かれら 法華経を あだみ 候 ゆへに.

てんの せめ ほけきょう じゅうらせつの おんいさめ あるなり.
天の せめ 法華経・ 十羅刹の 御いさめ あるなり.

かえりて だいざんげ あるならば たすかる へんも あらんずらん.
かへりて 大懺悔 あるならば・ たすかる へんも あらんずらん.

いとう てんの この くにを おしませ たもう ゆえに だいなる おんいさめ あるか.
いたう 天の 此の 国を をしませ 給う ゆへに 大なる 御いさめ あるか.

すでに たこくが この くにを うちまきて.
すでに 他国が 此の 国を うちまきて.

こくしゅ こくみんを うしなわん うえ.
国主・ 国民を 失はん 上.

ぶっしんの じしゃ ひゃくせんまんが ほろびんずるを.
仏神の 寺社 百千万が ほろびんずるを.

てんげんを もって みくだして なげかせ たもうなり.
天眼を もつて 見下して なげかせ 給うなり.

また ほけきょうの おんなを ゆうゆうたる ものどもの となうるを.
又 法華経の 御名を いういうたる ものどもの 唱うるを.

ほうぼう しょうほうの ものどもが おどし そうろうを.
誹謗 正法の 者どもが をどし 候を.

てんの にくませ たもう ゆえなり.
天の にくませ 給う 故なり.

あなかしこ あなかしこ.
あなかしこ あなかしこ.

ことし かしこくして ものを ごらんぜを.
今年 かしこくして 物を 御らんぜよ.

さんかい くうし まぬかる ところ あれば ゆきて ことしは すぎぬべし.
山海 空市 まぬかる ところ あらば・ ゆきて 今年は すぎぬべし.

あしだせんにんが ほとけの うまれ たまいしを みて.
阿私陀仙人が 仏の 生れ 給いしを 見て.

いのちを おしみしが ごとし おしみしが ごとし.
いのちを をしみしが ごとし をしみしが ごとし.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言.

しょうがつ 25にち.
正月 二十五日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

なかつかささえもんのじょうどの.
中務左衛門尉殿.

→a1177

 
→a1175
→c1175
 ホームページトップ
inserted by FC2 system