b1425から1426.
治部房御返事 (じぶぼう ごへんじ).
日蓮大 聖人 60歳 御作.

 

b1425

じぶぼう ごへんじ.
治部房 御返事.

しらよね いっと みょうがの こ はじかみ ひとつと おくり たび そうらい おわんぬ.
白米 一斗・ ミョウ荷の 子・ はじかみ 一つと 送り 給び 候い 畢んぬ。.

ほとけには はるの はな あきの もみじ なつの せいすい ふゆの ゆきを まいらせて そうろう.
仏には 春の 花 秋の 紅葉・ 夏の 清水・ 冬の 雪を 進らせて 候.

ひとびと みな ほとけに ならせ たもう.
人人 皆 仏に 成らせ 給ふ、.

いわんや かみ いちにんは じゅみょうを もたせ たまい.
況や 上 一人は 寿命を 持たせ 給ひ.

しも ばんみんは たま よりも おもくし そうろう.
下 万民は 珠 よりも 重くし 候.

よねを ほけきょうに まいらせ たもう ひと.
稲米を 法華経に まいらせ 給う 人・.

いかでか ほとけに ならざる べき.
争か 仏に 成らざる べき、.

その うえ せけんに ひとの だいじと する ことは しゅくんと ふぼとの おおせなり.
其の 上 世間に 人の 大事と する 事は 主君と 父母との 仰せなり、.

ふぼの おおせを そむけば ふこうの つみに おちて てんに すてられ.
父母の 仰せを 背けば 不孝の 罪に 堕ちて 天に 捨てられ、.

こくしゅの おおせを もちいざれば いちょくの ものと なりて いのちを めさる.
国主の 仰せを 用いざれば 違勅の 者と 成りて 命を めさる、.

されば われらは かこおんのんごう より ぼさつを ねがいしに.
されば 我等は 過去遠遠劫 より 菩提を ねがひしに、.

あるいは くにを すて あるいは さいしを すて あるいは みを すて なんどし.
或は 国を すて 或は 妻子を すて 或は 身を すて なんどして、.

ごしょう ぼだいを ねがいし ほどに すでに ほとけに なり ちかづきし ときは.
後生 菩提を ねがひし 程に すでに 仏に なり 近づきし 時は、.

いちじょう みょうほうれんげきょうと もうす おんきょうに あい まいらせ そうらいし ときは.
一乗 妙法蓮華経と 申す 御経に 値い まいらせ 候いし 時は、.

だいろくてんの まおうと もうす さんがいの ぬし おわします.
第六天の 魔王と 申す・ 三界の 主・ をはします、.

すでに この もの ほとけに ならんと するに 2の とが あり.
すでに 此の もの 仏に ならんと するに 二の 失 あり、.

いちには この もの さんがいを いずる ならば わが しょじゅうの ぎを はなれなん.
一には 此の もの 三界を 出ずる ならば 我が 所従の 義を はなれなん、.

2には この もの ほとけに なる ならば この ものが.
二には 此の もの 仏に なる ならば 此の ものが.

ふぼ きょうだいらも また しゃばせかいを ひき こしなん.
父母・ 兄弟等も 又 娑婆世界を 引き 越しなん、.

いかんがせんとて みを しゅじゅに わけて.
いかがせんとて 身を 種種に 分けて・.

あるいは ふぼに つき あるいは こくしゅに つき.
或は 父母に つき・ 或は 国主に つき、.

あるいは とうとき そうと なり あるいは あくを すすめ.
或は 貴き 僧と なり、 或は 悪を 勧め・.

あるいは おどし あるいは すかし.
或は おどし・ 或は すかし、.

あるいは こうそう あるいは だいそう あるいは ちしゃ.
或は 高僧 或は 大僧 或は 智者.

あるいは じさいらに なりて.
或は 持斎等に 成りて.

あるいは けごん あるいは あごん あるいは ねんぶつ.
或は 華厳 或は 阿含 或は 念仏.

あるいは しんごん とうを もって ほけきょうに すすめ かえて.
或は 真言 等を 以て 法華経に すすめ かへて・.

ほとけに なさじと たばかり そうろうなり.
仏に なさじと たばかり 候なり、.

ほけきょう だい5の まきには まっぽうに いりては.
法華経 第五の 巻には 末法に 入りては.

だいあっき だいいちには こくしゅ だいじん ばんみんの みに いりて.
大鬼神・ 第一には 国王・ 大臣・ 万民の 身に 入りて.

ほけきょうの ぎょうしゃを あるいは ののり あるいは うちきりて.
法華経の 行者を 或は 罵り 或は 打ち 切りて、.

それに かなわずんば むりょうむへんの そうと げんじて いっさいきょうを ひいて すかすべし.
それに 叶はずんば 無量無辺の 僧と 現じて 一切経を 引いて すかすべし、.

それに かなわずんば 250かい 3000の いぎを そなえたる だいそうと なりて.
それに 叶はずんば 二百五十戒・ 三千の 威儀を 備へたる 大僧と 成りて.

こくしゅを すかし こくぼを たぼらかして.
国主を すかし 国母を たぼらかして、.

あるいは ながし あるいは ころし なんど すべしと とかれて そうろう.
或は ながし 或は ころし なんど すべしと 説かれて 候。.

→a1425

a1426

また 7のまきの ふぎょうほん また 4のまきの ほっしほん.
又 七の巻の 不軽品・ 又 四の巻の 法師品・.

あるいは また 2のまきの ひゆほん あるいは ねはんぎょう 40かん.
或は 又 二の巻の 譬喩品、或は 涅槃経 四十巻・.

あるいは しゅごきょう とうに いさいに みえて そうらいしが.
或は 守護経 等に 委細に 見へて 候が、.

とうじの せけんに すこしも たがい そうらわぬ うえ.
当時の 世間に 少しも たがひ 候はぬ 上、.

するがの くに かしまの しょうは ことに めの まえに みに あたらせ たまいて.
駿河の 国 賀島の 荘は 殊に 目の 前に 身に あたらせ 給いて.

おぼえさせ たまい そうろうらん.
覚へさせ 給い 候らん、.

たじには に そうらわず.
他事には 似 候はず、.

ふぼ こくしゅらの ほけきょうを おんせいし そうろうを.
父母・ 国主等の 法華経を 御制止 候を.

もちい そうらわねば かえって ふぼの こうようと なり.
用い 候はねば 還つて 父母の 孝養と なり.

こくしゅの いのりと なり そうろうぞ.
国主の 祈りと なり 候ぞ、.

その うえ にほんこくは いみじき くににて そうろう.
其の 上 日本国は いみじき 国にて 候・.

かみをうやまい ほとけを あがむる くに なり.
神を 敬ひ 仏を 崇むる 国 なり、.

しかれども にちれんが ほけきょうを ぐつうし そうろうを.
而れども 日蓮が 法華経を 弘通し 候を.

かみ いちにん より しも ばんみんに いたるまで おんあだみ そうろう ゆえに.
上 一人 より 下万民に 至るまで 御あだみ 候 故に、.

いっさいの かみを うやまい いっさいの ほとけを ごくよう そうらえども.
一切の 神を 敬ひ 一切の 仏を 御供養 候へども.

その くどく かえって だいあくと なり.
其の 功徳 還つて 大悪と なり、.

やいとの かえって あくそうと なるが ごとく.
やいとの 還つて 悪瘡と なるが 如く.

くすりの かえって どくと なるが ごとし.
薬の 還つて 毒と なるが 如し、.

いっさいの ぶっしんらに いのり たまう おんいのりは かえって とがと なりて.
一切の 仏神等に 祈り 給ふ 御祈りは 還つて 科と 成りて.

この くに すでに たこくの たからと なり そうろう.
此の 国 既に 他国の 財と 成り 候、.

また だいなる ひとびと みな へいけの ほろびしが ように.
又 大なる 人人 皆 平家の 亡びしが 様に.

ひゃくせんまんおくばい すぎての おんなげき たるべきよし.
百千万億 すぎての 御歎き たるべきよし、.

かねてより ひとびとに もうし きかせ そうらい おわんぬ.
兼てより 人人に 申し 聞せ 候 畢んぬ、.

また ほけきょうを あだむ ひとの とがに あたる ぶんざいを もって.
又 法華経を あだむ 人の 科に あたる 分斉を もつて.

かえって くどくと なる ぶんざいをも しらせ たもうべし.
還つて 功徳と なる 分斉をも 知らせ 給うべし、.

れいせば ふぼを ころせる ひとは いかなる だいぜんこんを なせども.
例せば 父母を 殺す 人は 何なる 大善根を なせども.

てん これを うけ たもう ことなし.
天・ 是を 受け 給う 事なし、.

また ほけきょうの かたきと なる ひとをば ふぼ なれども ころしぬれば.
又 法華経の かたきと なる 人をば 父母 なれども 殺しぬれば.

だいざい かえって だいぜんこんと なり そうろう.
大罪 還つて 大善根と なり 候、.

たとい じっぽうさんぜの しょぶつの おんてき なれども.
設い 十方三世の 諸仏の 怨敵 なれども.

ほけきょうの いっくを しんじぬれば しょぶつ すてたまう ことなし.
法華経の 一句を 信じぬれば 諸仏 捨て 給う 事なし、.

これを もって すいせさせ たまえ.
是を 以て 推せさせ 給へ、.

おんつかい いそぎ そうらえば くわしくは もうさず そうろう.
御使 いそぎ 候へば 委しくは 申さず 候、.

またまた もうすべく そうろう.
又又 申すべく 候、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

8がつ 22にち.
八月 二十二日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

じぶぼうごへんじ.
治部房御返事.

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