b1463.
異体同心事 (いたいどうしんの こと).
御述作年次は不明.

 

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いたいどうしんの こと.
異体同心 事.

しろこそで ひとつ あつわたの こそで.
白小袖 一つ あつわたの 小袖.

ほうきぼうの びんぎに がもく いっかん ならびに うけたまわる.
はわき房の びんぎに 鵞目 一貫 並びに うけ給わる.

ほうきぼう さどぼう とうの こと.
はわき房 さど房 等の 事.

あつわらの ものどもの おんこころざし.
あつわらの 者どもの 御心ざし.

いたいどうしん なれば ばんじを じょうじ.
異体同心 なれば 万事を 成し.

どうたいいしん なれば しょじ かなう こと なしと.
同体異心 なれば 諸事 叶う 事 なしと.

もうす ことは げてん 3000よかんに さだまりて そうろう.
申す 事は 外典 三千余巻に 定りて 候.

いんのちゅうおうは 70まんき なれども どうたいいしん なれば いくさに まけぬ.
殷の紂王は 七十万騎 なれども 同体異心 なれば いくさに まけぬ.

しゅうのぶおうは 800にん なれども いたいどうしん なれば かちぬ.
周の武王は 八百人 なれども 異体同心 なれば かちぬ.

ひとりの こころ なれども ふたつの こころ あれば その こころ たがいて じょうずる ことなし.
一人の 心 なれども 二つの 心 あれば 其の 心 たがいて 成ずる 事なし.

100にん 1000にん なれども ひとつ こころ なれば かならず ことを じょうず.
百人 千人 なれども 一つ 心 なれば 必ず 事を 成ず.

にほんこくの ひとびとは たにん なれども.
日本国の 人人は 多人 なれども.

たいどういしん なれば しょじ じょうぜんこと かたし.
体同異心 なれば 諸事 成ぜん事 かたし.

にちれんが いちるいは いたいどうしん なれば ひとびと すくなく そうらえども.
日蓮が 一類は 異体同心 なれば 人人 すくなく 候へども.

だいじを じょうじて いちじょう ほけきょう ひろまりなんと おぼえそうろう.
大事を 成じて 一定 法華経 ひろまりなんと 覚へ候.

あくは おおけれども 1ぜんに かつことなし.
悪は 多けれども 一善に かつ事なし.

たとえば おおくの ひ あつまれども いっすいには きえぬ.
譬へば 多くの 火 あつまれども 一水には きゑぬ.

この いちもんも また かくのごとし.
此の 一門も 又 かくのごとし.

そのうえ きへんは たねん とし つもりて ほうこう ほけきょうに あつく おわする うえ.
其の上 貴辺は 多年 とし つもりて 奉公 法華経に あつく をはする 上.

こんどは いかにも すぐれて おんこころざし みえさせ たもう よし.
今度は いかにも すぐれて 御心ざし 見えさせ 給う よし.

ひとびとも もうし そうろう.
人人も 申し 候.

また かれらも もうし そうろう.
又 かれらも 申し 候.

いちいちに うけたまわりて にってんにも だいじんにも もうしあげて そうろうぞ.
一一に 承りて 日天にも 大神にも 申し上げて 候ぞ.

ごもんは いそぎ ごへんじ もうすべく そうらいつれども.
御文は いそぎ 御返事 申すべく 候ひつれども.

たしかなる べんぎ そうらはで いままで もうし そうらわず.
たしかなる 便宜 候はで いままで 申し 候はず.

べんあじゃりが べんぎ あまり そうそうにて かきあえず そうらいき.
べんあさりが びんぎ あまり そうそうにて かきあへず 候いき.

さては おのおの としの ころ いかんがと おぼしつる.
さては 各各 としの ころ いかんがと をぼしつる.

もうこの こと すでに ちかずきて そうろうか.
もうこの 事 すでに ちかづきて 候か.

わが くにの ほろびん ことは あさまし けれども.
我が 国の ほろびん 事は あさまし けれども.

これだにも そらごとに なる ならば にほんこくの ひとびと.
これだにも そら事に なる ならば 日本国の 人人.

いよいよ ほけきょうを ぼうじて ばんにん むけんじごくに おつべし.
いよいよ 法華経を 謗して 万人 無間地獄に 堕つべし.

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かれだにも つよる ならば くには ほろぶとも ほうぼうは うすく なりなん.
かれだにも つよる ならば 国は ほろぶとも 謗法は うすく なりなん.

たとえば やいとを して やまいを いやし.
譬へば 灸治を して やまいを いやし.

はりたて にて ひとを なおすが ごとし.
針治 にて 人を なをすが ごとし.

とうじは なげくとも のちは よろこびなり.
当時は なげくとも 後は 悦びなり.

にちれんは ほけきょうの おんつかい.
日蓮は 法華経の 御使い.

にほんこくの ひとびとは だいぞくおうの いちえんぶだいの ぶっぽうをうしないしが ごとし.
日本国の 人人は 大族王の 一閻浮提の 仏法を 失いしが ごとし.

もうここくは せっせんの げおうの ごとし.
蒙古国は 雪山の 下王の ごとし.

てんの おんつかいとして ほけきょうの ぎょうじゃを あだむ ひとびとを ばっせらるるか.
天の 御使として 法華経の 行者を あだむ 人人を 罰せらるるか.

また げんしんに かいげを おこして あるならば.
又 現身に 改悔を をこして あるならば.

あじゃせおうの ほとけに きして びゃくらいを やめ.
阿闍世王の 仏に 帰して 白癩を やめ.

40ねんの いのちを のべ むこんの しんと もうす くらいに のぼりて.
四十年の 寿を のべ 無根の 信と 申す 位に のぼりて.

げんしんに むしょうにんを えたりしが ごとし.
現身に 無生忍を えたりしが ごとし.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言.

8がつ むいか.
八月 六日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

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