b1564.
上野殿御返事 (うえのどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 59歳 御作.

 

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事 .

こうあん 3ねん 7がつ ふつか 59さい おんさく.
弘安 三年 七月 二日 五十九歳 御作.

いぬる 6がつ 15にちの けさん よろこび いって そうろう.
去ぬる 六月 十五日の けさん 悦び 入つて 候、.

さては かんぬしらが こと.
さては・ かうぬし等が 事.

いままで かかえ おかせ たまいて そうろうこと.
いままで かかへ をかせ 給いて 候事.

ありがたく おぼえ そうろう.
ありがたく・ をぼへ 候、.

ただし ないないは ほけきょうを あだませ たもう にては そうらえども.
ただし・ ないないは 法華経を あだませ 給う にては 候へども・.

うえには たの ことに よせて こと かずけ にくまるる.
うへには・ たの 事に よせて 事 かづけ・ にくまるる.

かの ゆえに あつわらの ものに ことを よせて.
かの ゆへに・ あつわらの ものに 事を よせて・.

かしこ ここをも せかれ そうろう こそ そうらいめれ.
かしこ・ ここをも せかれ 候 こそ 候いめれ、.

さればとて うえに ことを よせて せかれ そうらわんに.
さればとて 上に 事を よせて・ せかれ 候はんに.

おんもちい そうらわずは もの おぼえぬ ひとに ならせ たもうべし.
御もちゐ 候はずは 物を ぼへぬ 人に・ ならせ 給うべし、.

いかせ たまいて あしかりぬべき ようにて そうらわば.
をかせ 給いて・ あしかりぬべき やうにて 候わば・.

しばらく かんぬしらをば これへと おおせ そうろうべし.
しばらく・ かうぬし等をば・ これへと をほせ 候べし、.

めこ なんどは それに そうろうとも よも おんたづねは そうらわじ.
妻子 なんどは それに 候とも・ よも 御たづねは 候はじ、.

ことの しずまる まで それに をかせ たまいて そうらわば.
事の しづまる まで・ それに・ をかせ 給いて 候わば・.

よろしく そうらい なんと おぼえ そうろう.
よろしく 候い なんと・ をぼへ 候。.

よの なか うえに つけ したに よせて なげき こそ おおく そうらえ.
よの なか 上に つけ 下に よせて・ なげき こそ ををく 候へ、.

よに ある ひとびとをば よに なき ひとびとは.
よに ある 人人をば・ よに なき 人人は・.

きじの たかを み がきの びしゃもんを たのしむが ごとく そうらえども.
きじの・ たかを み・ がきの 毘沙門を たのしむが ごとく 候へども・.

たかは わしに つかまれ びしゃもんは しゅらに せめらる.
たかは わしに つかまれ、びしやもんは・ すらに せめらる、.

そのように とうじ にほんこくの たのしき ひとびとは.
そのやうに 当時・ 日本国の たのしき 人人は.

もうここくの ことを ききては ひつじの とらの こえを きくがごとし.
蒙古国の 事を ききては・ ひつじの 虎の 声を 聞くがごとし、.

また つくしへ おもむきて いとおしき めを はなれ .
また 筑紫へ おもむきて・ いとをしき 妻を・ はなれ.

こを みぬは かわを はぎ にくを やぶるが ごとくに こそ そうらめ.
子を みぬは・ 皮を はぎ・ 肉を やぶるが・ ごとくに こそ 候らめ、.

いわんや かの くに より おしよせなば.
いわうや・ かの 国 より・ おしよせなば.

へびの くちの かえる.
蛇の 口の かえる・.

ほうちょうしが まないたに おける こいふなの ごとく こそ おもわれ そうらめ.
はうちやうしが まないたに・ をける・ こゐふなの ごとく こそ おもはれ 候らめ、.

こんじょうは さておきぬ.
今生は さてをきぬ・.

いのち きえなば いっぴゃく36の じごくに おちて むりょうこう ふべし.
命 きえなば 一百三十六の 地獄に 堕ちて 無量劫 ふべし、.

われらは ほけきょうを たのみ まいらせて そうらえば.
我等は 法華経を たのみ まいらせて 候へば・.

あさき ふちに さかなの すむが.
あさき ふちに 魚の すむが・.

てん くもりて あめの ふらんと するを さかなの よろこぶが ごとし.
天 くもりて 雨の ふらんと するを 魚の よろこぶが・ ごとし。.

しばらくの く こそ そうろうとも ついには たのしかるべし.
しばらくの 苦 こそ 候とも・ ついには・ たのしかるべし、.

こくおう ひとりの たいしの ごとし.
国王 一人の 太子の ごとし・.

いかでか くらいに つかざらんと おぼしめし そうらえ.
いかでか 位に つかざらんと・ おぼしめし 候へ、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

こうあん 3ねん 7がつ ふつか.
弘安 三年 七月 二日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

うえのどの ごへんじ.
上野殿 御返事.

ひとに しらせずして ひそかに おおせ そうろうべし.
人に しらせずして、ひそかに をほせ 候べし。.

 
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