b172.
北条弥源太への御状 (ほうじょうやげんたへの ごじょう).
別名、十一通御書.
日蓮大 聖人 47歳御作.


 
ほうじょう やげんたへの ごじょう.
北条 弥源太への 御状.

いぬる つき ごらいりん いそぎ いそぎ ごきたく ほんい なく ぞんぜしめ そうらい おわんぬ.
去ぬる 月 御来臨 急ぎ 急ぎ 御帰宅 本意 無く 存ぜしめ 候い 畢んぬ.

そもそも もうここくの ちょうじょう とうらいの こと.
抑 蒙古国の 牒状 到来の 事.

かみ1にん より しも ばんみんに いたるまで きょうどう きわまり なし.
上一人 より 下 万民に 至るまで 驚動 極り 無し.

しかりと いえども なんの ゆえなる こと ひと いまだ これを しらず.
然りと 雖も 何の 故なる こと 人 未だ 之れを 知らず.

にちれん かねて ぞんち せしむるの あいだ すでに 1ろんを つくって これを しんらんせり.
日蓮 兼ねて 存知 せしむるの 間 既に 一論を 造つて 之を 進覧せり.

しるし さきだって あらわれ すなわち わざわい かならず あとに きたる.
徴 先達つて 顕れ 則ち 災 必ず 後に 来る.

いぬる しょうか がんねん.
去ぬる 正嘉 元年.

ひのとみ 8がつ 23にち いぬいの こくの おおじしん.
丁巳 八月 廿三日 戌亥の 刻の 大地震.

これ あわせながら この しるしに あらずや.
是 併ながら 此の 瑞に 非ずや.

ほけきょうに いわく にょぜそうと.
法華経に 云く 如是相と.

てんだいだいし いわく.
天台大師 云く.

ちちゅう くだりて きじ きたり かんじゃく ないて ぎょうにん きたる と.
蜘蛛 下りて 喜事 来り 鵲 鳴いて 行人 来る と.

えきに いわく きっきょう どうに おいて しょうずと.
易に 云く 吉凶 動に 於て 生ずと.

これらの ほんぶん あに かわるべけんや.
此等の 本文 豈 替るべけんや.

いわゆる しょしゅうの きえを やめて 1じょう みょうきょうを しんじゅ せしむべきの よし かんもんを ささげ そうろう.
所詮 諸宗の 帰依を 止めて 一乗 妙経を 信受 せしむべきの 由 勘文を 捧げ 候.

にほん ぼうこくの こんげんは じょうど しんごん ぜんしゅう りっしゅうの じゃほう あくほうより おこれり.
日本 亡国の 根源は 浄土 真言 禅宗 律宗の 邪法 悪法より 起れり.

しょしゅうを めし あわせ しょきょう しょうれつを ふんべつ せしめたまえ.
諸宗を 召し 合せ 諸経 勝劣を 分別 せしめ給え.

ことに きでんは さがみの かみどのの どうせいなり.
殊に 貴殿は 相模の 守殿の 同姓なり.

こんぽん めっするに おいては しよう あに さかえんや.
根本 滅するに 於ては 枝葉 豈 栄えんや.

はやく もうここくを ちょうぶくし こくどを あんのん ならしめたまえ.
早く 蒙古国を 調伏し 国土を 安穏 ならしめ給え.

ほっけを ぼうずる ものは 3ぜ しょぶつの だいおんてきなり.
法華を 謗ずる 者は 三世 諸仏の 大怨敵なり.

てんしょう だいじん 8まん だいぼさつとう この くにを はなち たもう ゆえ だい もうここくより ちょうじょう きたるか.
天照 太神 八幡 大菩薩等 此の 国を 放ち 給う 故 大 蒙古国より 牒状 来るか.

じこん いご おのおの いけどりと なり たこくの やっこと なるべし.
自今 已後 各各 生取と 成り 他国の 奴と 成る可し.

この おもむき かたがたへ これを おどろかし ぐじょうを しんぜしめ そうろうなり.
此の 趣き 方方へ 之れを 驚かし 愚状を 進ぜしめ 候なり.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言.

ぶんえい 5ねん つちのえたつ 10がつ 11にち.
文永 五年 戊辰 十月 十一日.

にちれん かおう.
日蓮  花押.

きんじょう やげんた にゅうどう どの.
謹上  弥源太 入道 殿.

 
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