b891.
佐渡御勘気抄 (さど ごかんきしょう).
日蓮大聖人 50歳 御作.

 

さど ごかんきしょう.
佐渡 御勘気抄.

ぶんえい 8ねん 10がつ 50さい おんさく.
文永 八年 十月 五十歳 御作.

あたう えんじょうぼう さどに おいて.
与 円浄房 於 佐渡.

9がつ 12にちに ごかんきを こうむりて.
九月 十二日に 御勘気を 蒙て.

ことし 10がつ とおか さどの くにへ まかり そうろうなり.
今年 十月 十日 佐渡の 国へ まかり 候なり.

もとより がくもんし そうらいし ことは ぶっきょうを きわめて ほとけに なり.
本より 学文し 候し 事は 仏教を きはめて 仏に なり.

おん ある ひと をも たすけんと おもう.
恩 ある 人 をも たすけんと 思ふ.

ほとけに なる みちは かならず しんみょうを すつるほどの こと ありてこそ.
仏に なる 道は 必ず 身命を すつるほどの 事 ありてこそ.

ほとけには なり そうらめと おしはからる.
仏には なり 候らめと をしはからる.

すでに きょうもんの ごとく.
既に 経文の ごとく.

あっく めり とうじょう がりゃく さくさくけんひんずいと とかれて.
悪口 罵詈 刀杖 瓦礫 数数見擯出と 説かれて.

かかるめに あい そうろう こそ ほけきょうを よむにて そうらめと.
かかるめに 値い 候 こそ 法華経を よむにて 候らめと.

いよいよ しんじんも おこり ごしょうも たのもしく そうろう.
いよいよ 信心も おこり 後生も たのもしく 候.

しして そうらわば かならず おのおのをも たすけ たてまつるべし.
死して 候はば 必ず 各各をも たすけ たてまつるべし.

てんじくに ししそんじゃと もうせし ひとは.
天竺に 師子尊者と 申せし 人は.

だんみらおうに くびを はねられ.
檀弥羅王に 頚を はねられ.

だいばぼさつは げどうに つきころさる.
提婆菩薩は 外道に つきころさる.

かんどに じくの どうしょうと もうせし ひとは そざんと もうす ところへ ながさる.
漢土に 竺の 道生と 申せし 人は 蘇山と 申す 所へ ながさる.

ほうどうさんぞうは おもてに かなやきを やかれて こうなんと もうす ところへ ながされき.
法道三蔵は 面に かなやきを やかれて 江南と 申す 所へ ながされき

これ みな ほけきょうの とく ぶっぽうの ゆえなり.
是れ 皆 法華経の とく 仏法の ゆへなり.

にちれんは にほんこく とうい とうじょう あわのくに うみべの せんだらが こ なり.
日蓮は 日本国 東夷 東条 安房の国 海辺の 旃陀羅が 子 なり.

いたずらに くちん みを ほけきょうの おんゆえに すて まいらせんこと.
いたづらに くちん 身を 法華経の 御故に 捨て まいらせん事.

あに いしに こがねを かうるに あらずや.
あに 石に 金を かふるに あらずや.

おのおの なげかせ たもうべからず.
各各 なげかせ 給うべからず.

ぜんどうの ごぼうにも こうもうし きかせ まいらせ たもうべし.
道善の 御房にも かう申し きかせ まいらせ 給うべし.

りょうけの あまごぜんへも おんふみと ぞんじ そうらえども さきかかる みの ふみ なれば.
領家の 尼御前へも 御ふみと 存じ 候へども 先かかる 身の ふみ なれば.

なつかしやと おぼさざるらんと もう しぬると.
なつかしやと おぼさざるらんと 申し ぬると.

べんぎ あらば おのおの おんものがたり もうさせ たまい そうらえ.
便宜 あらば 各各 御物語り 申させ 給い 候へ.

10がつ にち.
十月 日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

 
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