b901.
別当御房御返事 (べっとうごぼう ごへんじ).
御述作年次は不明.

 

べっとうごぼう ごへんじ.
別当御房 御返事.

しょうみつぼうの ふみに くわしく かきて そうろう より.
聖密房の ふみに くはしく かきて 候 より.

あいて きかせ たまい そうらえ.
あいて きかせ 給い 候へ.

なにごとも ふたま きよすみの ことをば.
なに事も 二間 清澄の 事をば.

しょうみつぼうに もうし あわせさせ たまうべく そうろうか.
聖密房に 申し あわせさせ 給うべく 候か.

せけんの りを しりたる ものに そうらえば こう もうすに そうろう.
世間の 理を しりたる 物に 候へば かう 申すに 候.

これへの べっとう なんどの ことは ゆめゆめ おもわず そうろう.
これへの 所当 なんどの 事は ゆめゆめ をもはず 候.

いくら ほどの ことに そうろうべき.
いくら ほどの 事に 候べき.

ただ なばかりにて こそ そうらわめ.
但 なばかりにて こそ 候はめ.

また わせいつおの こと おそれ いって そうろう.
又 わせいつをの 事 をそれ 入つて 候.

いくほどなき ことに おんこころ ぐるしく そうろうらんと.
いくほどなき 事に 御心 ぐるしく 候らんと.

かえりて なげき いって そうらえども.
かへりて なげき 入つて 候へども.

わが おんをば しりたりけれと しらせ まつらん ために そうろう.
我が 恩をば しりたりけりと しらせ まつらん ために 候.

だいみょうを はかる ものは しょうちに はじずと もうして.
大名を 計る ものは 小耻に はぢずと 申して.

なんみょうほうれんげきょうの しちじを にほんこくに ひろめ.
南無妙法蓮華経の 七字を 日本国に ひろめ.

しんたん こうらい までも およぶべき よしの だいがんを はらみて.
震旦 高麗 までも 及ぶべき よしの 大願を はらみて.

その がんの まんずべき しるしにや.
其の 願の 満すべき しるしにや.

だいもうここくの ちょうじょう しきりに ありて.
大蒙古国の 牒状 しきりに ありて.

この くにの ひとごとの だいなる なげきと みえて そうろう.
此の 国の 人 ごとの 大なる 歎きと みへ 候.

にちれん また さき より この ことを かんがえたり.
日蓮 又 先き より この 事を かんがへたり.

えんぶ だいいちの こうみょう なり.
閻浮 第一の 高名 なり.

さき より にくみぬる ゆえに.
先き より にくみぬる ゆへに.

ままこの こうみょうの ように せいしんとは もちい そうらわねども.
継子の かうみやうの やうに 専心とは 用い 候はねども.

ついに みの なげき きわまり そうろう ときは.
終に 身の なげき 極まり 候 時は.

へんしゅうの ものどもも いちじょう とかえぬと みえて そうろう.
辺執の ものどもも 一定 とかへぬと みへて 候.

これほどの だいじを はらみて そうろうものの.
これほどの 大事を はらみて 候ものの.

しょうじを あながちに もうし そうろう べきか.
少事を あながちに 申し 候 べきか.

ただし とうじ にちれん こころざす ことは しょうしょ なり.
但し 当時 日蓮 心ざす 事は 生処 なり.

にほんこく よりも たいせつに おもい そうろう.
日本国 よりも 大切に をもひ 候.

れいせば かんおうの はいぐんを おもく おぼしめししが ごとし.
例せば 漢王の 沛郡を・ をもく をぼしめししが ごとし.

かれ しょうしょ なる ゆえなり.
かれ 生処 なる ゆへなり.

しょうちが あとの ぬしと なるを もって しろしめせ.
聖智が 跡の 主と なるを もつて しろしめせ.

にほんこくの やまでらの ぬしとも なるべし.
日本国の 山寺の 主とも なるべし.

にちれんは えんぶ だいいちの ほけきょうの ぎょうじゃ なり.
日蓮は 閻浮 第一の 法華経の 行者 なり.

てんの あたえ たもうべき ことわり なるべし.
天の あたへ 給うべき ことわり なるべし.

こめ いっと 6しょう あわの こめ 2しょう やきごめは ふくろへ.
米 一斗 六升・ あはの 米 二升・ やき米は ふくろへ.

それ のみならず ひとびとの おんこころざし もうし つくしがたく そうろう.
それ のみならず 人人の 御心ざし 申し つくしがたく 候.

これは いたみ おもい そうろう.
これは いたみ をもひ 候.

これより あとは こころぐるしく おぼしめす べからず そうろう.
これより 後は 心ぐるしく をぼしめす べからず 候.

よく ひとびとに しめす べからず そうろう.
よく 人人に しめす べからず 候.

よく ひとびとにも つたえさせ たまい そうらえ.
よく 人人にも つたへさせ 給い 候へ.

のうじ.
乃時.

べっとうぼう ごへんじ.
別当御房 御返事.

 
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