b955.
富木入道殿 御返事 (ときにゅうどうどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 50歳御作.


 
ときにゅうどうどの ごへんじ.
富木入道殿 御返事.

ぶんえい 8ねん 11がつ 50さい おんさく.
文永 八年 十一月 五十歳 御作.

さど つかはらに おいて.
於 佐渡 塚原.

このごろは 11がつの げじゅん なれば.
此比は 十一月の 下旬 なれば.

そうしゅう かまくらに そうらいし ときの おもいには.
相州 鎌倉に 候し 時の 思には.

4せつの てんぺんは ばんこく みな おなじかるべしと ぞん そうらいし ところに.
四節の 転変は 万国 皆 同じかるべしと 存 候し 処に.

この きたぐに さどの くにに げちゃく そうらいて のち.
此 北国 佐渡の 国に 下著 候て 後.

ふたつきは かんぷう しきりに ふいて.
二月は 寒風 頻に 吹て.

そうせつ さらに ふらざる ときは あれども ひの ひかりをば みることなし.
霜雪 更に 降ざる 時は あれども 日の 光をば 見ることなし、.

はっかんを げんしんに かんず.
八寒を 現身に 感ず、.

ひとの こころは きんじゅうに おなじく しゅししんを しらず.
人の 心は 禽獣に 同じく 主師親を 知らず.

いかに いわんや ぶっぽうの じゃせい しの ぜんあくは おもいも よらざるをや.
何に 況や 仏法の 邪正・ 師の 善悪は 思も よらざるをや、.

これらは しばらく これを おく.
此等は 且く 之を 置く。.

いぬる 10がつ とおかに つけられ そうらいし にゅうどう.
去 十月 十日に 付られ 候し 入道・.

てらどまりより かえし そうらいし とき ほうもんを かき つかわし そうらいき.
寺泊より 還し 候し 時 法門を 書き 遣わし 候き.

すいりょう そうろうらむ.
推量 候らむ、.

すでに がんぜん なり.
已に 眼前 なり.

ぶつめつご 2せん2ひゃくよねんに.
仏滅後 二千二百余年に.

がっし かんど にほん いちえんぶだいの うちに.
月氏・ 漢土・ 日本・ 一閻浮提の 内に.

てんじん りゅうじゅ ないがんれいねん げちゃくじぎ うんぬん.
天親・ 竜樹 内鑑冷然 外適時宜 云云、.

てんだい でんぎょうは ほぼ しゃくし たまえども.
天台・ 伝教は 粗 釈し 給へども.

これを ひろめ のこせる いちだいじの ひほうを このくにに はじめて これを ひろむ.
之を 弘め 残せる 一大事の 秘法を 此国に 初めて 之を 弘む.

にちれん あに その ひとに あらずや.
日蓮 豈 其の 人に 非ずや。.

ぜんそう すでに あらわれぬ.
前相 已 に顕れぬ.

いぬる しょうかの だいじしん ぜんだいみもんの だいずいなり.
去正嘉の 大地震 前代未聞の 大瑞なり.

じんせ 12 じんのう 90だいと ぶつめつご 2せん2ひゃくよねん みぞうの だいずいなり.
神世 十二・ 人王 九十代と 仏滅後 二千二百余年 未曾有の 大瑞なり.

じんりきぼんに いわく.
神力品に 云く.

ぶつめつどの のちに おいて よく この きょうを たもつが ゆえに.
「仏滅度の 後に 於て 能く 是の 経を 持つが 故に.

しょぶつ みな かんきして むりょうの じんりきを げんず とう うんぬん.
諸仏 皆 歓喜して 無量の 神力を 現ず」 等 云云、.

にょらい いっさい しょうしほう うんぬん.
「如来 一切 所有之法」云云、.

ただ この だいほう ひろまり たもうならば.
但 此の 大法 弘まり 給ならば.

にぜん しゃくもんの きょうぎょうは いちぶんも えき なかるべし.
爾前 迹門の 経教は 一分も 益なかるべし、.

でんぎょうだいし いわく ひ いでて ほし かくる うんぬん.
伝教大師 云く 「日出て 星隠る」 云云、.

じゅんしきの きに いわく.
遵式の 記に 云く.

まっぽうの はじめ にしを てらすとう うんぬん.
「末法の 初 西を 照す」 等 云云、.

ほう すでに あらわれぬ ぜんそう せんだいに ちょうかせり.
法 已に 顕れぬ、 前相 先代に 超過せり.

にちれん ほぼ これを かんがうるに これ ときの しからしむる ゆえなり.
日蓮 粗 之を 勘うるに 是 時の 然らしむる 故なり.

きょうに いわく 4どうし あり 1を じょうぎょうと なずく うんぬん.
経に 云く 「四導師 有り 一を 上行と 名く」 云云.
 
また いわく あくせ まっぽうじ のうじぜきょうしゃ.
又 云く 「悪世 末法時 能持是経者」.

また いわく にゃくせつ しゅみてきちたほう うんぬん.
又 云く 「若接 須弥擲置他方」 云云。.

また きへんに もうしつけし いっさいきょうの ようもん ちろんの ようもん.
又 貴辺に 申付し 一切経の 要文 智論の 要文.

5じょう いっしょに とり あつめ らるべく そうろう.
五帖 一処に 取り 集め 被る可く 候、.

そのほか ろんしゃくの ようもん さんざい あるべからず そうろう.
其外 論釈の 要文 散在 あるべからず 候、.

また しょうそう たち だんぎ あるべしと おおせらるべく そうろう.
又 小僧 達 談義 あるべしと 仰らるべく 候.

るざいのこと いたく なげかせ たもう べからず.
流罪の 事 痛く 歎せ 給ふ べからず、.

かんじぼんに いわく ふぎょうぼんに いわく.
勧持品に 云く 不軽品に 云く、.

いのち かぎり あり おしむ べからず ついに ねがう べきは ぶっこく なり うんぬん.
命 限り 有り 惜む 可からず 遂に 願う 可きは 仏国 也 云云。.

ぶんえい 8ねん 11がつ 23にち.
文永 八年 十一月 二十三日 .

にちれん かおう.
日蓮 花押.

ときにゅうどうどの ごへんじ.
富木入道殿 御返事.

しょうそう たち しょうしょう かえし そうろう.
小僧 達 少少 還えし 候.

このくにの ていたらく ざいしょの ありさま おんとい あるべく そうろう.
此国の 体為 在所の 有様 御問い 有る 可く 候.

ひったんに のせがたく そうろう.
筆端に 載せ 難く 候。.

 
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