b999.
金吾殿御返事(きんごどの ごへんじ)
別名、大師講御書(だいしこう ごしょ).
日蓮大聖人 49歳 御作.

 

きんごどの ごへんじ.
金吾殿 御返事.

ぶんえい ひちねん 11がつ 49さい おんさく.
文永 七年 十一月 四十九歳 御作.

あたう おおたきんご.
与 大田金吾.

しかんの 5 むつき ついたち より よみ そうらいて.
止観の 五・ 正月 一日 より よみ 候いて.

げんせあんのん ごしょうぜんしょと きしょう つかまつり そうろう.
現世安穏 後生善処と 祈請 仕り 候.

べんぎに たまわり そうろう.
便宜に 給わり 候.

ほん まつは うせて そうらい しかども これに しゅうり させて そうろう.
本・ 末は 失て 候い しかども これに すり させて 候.

おおく ほん いるべきに もうし そうろう.
多く 本 入るべきに 申し 候.

だいしこうに がもく 5れん たび そうらい おわんぬ.
大師講に 鵝目 五連 給 候い 了んぬ.

この だいしこう 3 4ねんに はじめて そうろうが.
此の 大師講・ 三 四年に 始めて 候が.

ことしは だいいちに そうらい つるに そうろう.
今年は 第一にて 候い つるに 候.

そもそも この ほうもんの こと かんもんの うむに よって.
抑 此の 法門の 事・ 勘文の 有無に 依つて.

ひろまるべきか ひろまざるか.
弘まるべきか 弘まらざるか.

こぞ かたがたに もうして そうらい しかども.
去年 方方に 申して 候い しかども.

いなせの へんじ そうらわず そうろう.
いなせの 返事 候はず 候.

ことし 11がつの ころ かたがたへ もうして そうらえば.
今年 十一月の 比 方方へ 申して 候へば.

しょうしょう へんじ あるかたも そうろう.
少少 返事 あるかたも 候.

おおかた ひとの こころも やわらぎて.
をほかた 人の 心も やわらぎて.

さもやと おぼしたりげに そうろう.
さもやと をぼしたりげに 候.

また かみの けんざんにも いりて そうろうやらん.
又 上の 見参にも 入りて 候やらむ.

これほどの ひがごと もうして そうらえば.
これほどの 僻事 申して 候へば.

る しの にざいの うちは いちじょうと ぞんぜしが.
流・ 死の 二罪の 内は 一定と 存ぜしが.

いままで なにと もうすことも そうらわぬは.
いままで なにと 申す 事も 候はぬは.

ふしぎと おぼえ そうろう.
不思議と をぼへ 候.

いたれる どうりにて そうろうやらん.
いたれる 道理にて 候やらむ.

また じかいほんぎゃくなんの きょうもんも あうべきにて そうろうやらん.
又 自界叛逆難の 経文も 値べきにて 候やらむ.

さんもん なんども いにしえにも ひゃくまんおくばい すぎて どうようと うけたまわり そうろう.
山門 なんども・ いにしへにも 百千万億倍 すぎて 動揺と うけ 給わり 候.

それならず しさいども そうろうやらん.
それならず 子細ども 候やらん.

しんたん こうらい すでに ぜんもん ねんぶつに なりて.
震旦・ 高麗 すでに 禅門・ 念仏に なりて.

しゅごの ぜんじんの さるかの あいだ.
守護の 善神の 去るかの 間.

かの もうこに したがい そうらいぬ.
彼の 蒙古に 聳い 候いぬ.

わが ちょうも また この じゃほう ひろまりて.
我が 朝も 又 此の 邪法 弘まりて.

てんだいほっけしゅうを ゆるがせの ゆえに さんもん あんのん ならず.
天台法華宗を 忽諸の ゆへに 山門 安穏 ならず.

しだんいはんの くにと なり そうらいぬれば.
師檀違叛の 国と 成り 候いぬれば.

10が 8 9は いかんがと みえ そうろう.
十が 八・ 九は いかんがと みへ 候.

じんしん すでに うけぬ じゃし また まぬがれぬ.
人身 すでに うけぬ 邪師 又 まぬがれぬ.

ほけきょうの ゆえに るざいに およびぬ.
法華経の ゆへに 流罪に 及びぬ.

いま しざいに おこなわれぬ こそ ほんい ならず そうらえ.
今 死罪に 行われぬ こそ 本意 ならず 候へ.

あわれ さることの しゅったいし そうらえかしと こそ はげみ そうらいて.
あわれ さる事の 出来し 候へかしと こそ はげみ 候いて.

かたがたに ごうげんを かきて あげおき そうろうなり.
方方に 強言を かきて 挙げをき 候なり.

すでに とし 50に およびぬ.
すでに 年 五十に 及びぬ.

よめい いくばく ならず.
余命 いくばく ならず.

いたずらに こうやに すてん みを.
いたづらに 曠野に すてん 身を.

おなじくは いちじょう ほっけの かたに なげて.
同じくは 一乗 法華の かたに なげて.

せっせんどうじ やくおうぼさつの あとを おい.
雪山童子・ 薬王菩薩の 跡を おひ.

せんよ うとくの なを こうだいに とどめて.
仙予・ 有徳の 名を 後代に 留めて.

ほっけ ねはんぎょうに とき いれられ まいらせんと ねがう ところなり.
法華・ 涅槃経に 説き 入れられ まいらせんと 願う ところなり.

なんみょうほうれんげきょう.
南無妙法蓮華経.

11がつ 28にち.
十一月 二十八日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

ごへんじ.
御返事.

 
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