b1487から1491.
三沢抄 (みさわしょう).
日蓮大聖人 57歳 御作.

 

b1487

みさわしょう.
三沢抄.

けんじ 4ねん 2がつ 57さい おんさく.
建治 四年 二月 五十七歳 御作.

あたう みさわこじろう.
与 三沢小次郎.

かえすがえす するがの ひとびと みな おなじ みこころと もうさせ たまい そうらえ.
かへすがへす するがの 人人 みな 同じ 御心と 申させ 給い 候へ.

こうじ いっぴゃく こうのり おご とうの なまの もの はるばると.
柑子 一百 こふのり をご 等の 生の 物 はるばると.

わざわざ さんちゅうへ おくり たまいて そうろう.
わざわざ 山中へ をくり 給いて 候.

ならびに うつぶさのあまごぜんの おんこそで ひとつ たまい そうらい おわんぬ.
ならびに うつぶさの尼ごぜんの 御こそで 一 給い 候い 了んぬ.

さてはかたがたの おおせ くわしく み ほどき そうろう.
さては かたがたの をほせ くはしく み ほどき 候.

そもそも ぶっぽうを がくする ものは だいち みじん より おおけれども.
抑 仏法を がくする 者は 大地 微塵 より をほけれども.

まことに ほとけに なる ひとは つめの うえの つち よりも すくなしと.
まことに 仏に なる 人は 爪の 上の 土 よりも すくなしと.

だいかくせそん ねはんぎょうに たしかに とかせ たまいて そうらいしを.
大覚世尊 涅槃経に たしかに とかせ 給いて 候いしを.

にちれん み まいらせ そうらいて いかなれば かくは かたかるらんと かんがえ そうらいし ほどに.
日蓮 み まいらせ 候て いかなれば かくわ かたかるらむと かんがへ 候いし ほどに.

げにも さならんと おもう こと そうろう.
げにも さならむと をもう 事 候.

ぶっぽうをば がくすれども あるいは わが こころの おろかなるに より.
仏法をば がくすれども 或は 我が 心の をろかなるに より.

あるいは たとい ちえは かしこき ようなれども.
或は たとひ 智慧は かしこき やうなれども.

しに よりて わが こころの まがるを しらず.
師に よりて 我が 心の まがるを しらず.

ぶっきょうを なおしく ならいうる こと かたし.
仏教を なをしく ならひうる 事 かたし.

たとい めいし ならびに じっきょうに あいたてまつりて しょうほうを えたる ひと なれども.
たとひ 明師 並に 実経に 値い奉りて 正法を へたる 人 なれども.

しょうじを いで ほとけに ならんと する ときには かならず かげの みに そうが ごとく.
生死を いで 仏に ならむと する 時には かならず 影の 身に そうが ごとく.

あめに くもの あるが ごとく さんしょうしまと もうして ななつの だいじ しゅつげん す.
雨に 雲の あるが ごとく 三障四魔と 申して 七の 大事 出現 す.

たとい からくして むつは すぐれども だいしちに やぶられぬれば ほとけに なること かたし.
設ひ からくして 六は すぐれども 第七に やぶられぬれば 仏に なる事 かたし.

その むつは しばらく おく.
其の 六は 且く をく.

だいしちの だいなんは てんじまと もうす ものなり.
第七の 大難は 天子魔と 申す 物なり.

たとい まつだいの ぼんぷ いちだいしょうきょうの みこころを さとり.
設い 末代の 凡夫 一代聖教の 御心を さとり.

まかしかんと もうす だいじの ごもんの こころを こころえて.
摩訶止観と 申す 大事の 御文の 心を 心えて.

ほとけに なる べきに なり そうらい ぬれば.
仏に なるべきに なり 候い ぬれば.

だいろくてんの まおう この ことを みて おどろきて いわく.
第六天の 魔王 此の 事を 見て 驚きて 云く.

あら あさましや この もの この くにに あとを とどむる ならば.
あら あさましや 此の 者 此の 国に 跡を 止 ならば.

かれが わがみの しょうじを いずるかは さておきぬ.
かれが 我が 身の 生死を いづるかは さてをきぬ.

また ひとを みちびくべし.
又 人を 導くべし.

また この こくどを おさえとりて わが どを じょうどと なす.
又 此の 国土を をさへとりて 我が 土を 浄土と なす.

いかんがせんとて よく しき むしきの さんがいの いっさいの けんぞくを もよおし おおせ くだして いわく.
いかんがせんとて 欲 色 無色の 三界の 一切の 眷属を もよをし 仰せ 下して 云く.

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b1488

おのおのの のうのうに したがって かの ぎょうじゃを なやましてみよ.
各各の のうのうに 随つて かの 行者を なやましてみよ.

それに かなわずば かれが でし だんな ならびに こくどの ひとの こころの うちに いりかわりて.
それに かなわずば かれが 弟子 だんな 並に 国土の 人の 心の 内に 入りかわりて.

あるいは いさめ あるいは おどしてみよ.
あるひは いさめ 或は をどしてみよ.

それに かなわずば われ みずから うちくだりて こくしゅの しんしんに いりかわりて.
それに 叶はずば 我 みづから うちくだりて 国主の 身心に 入りかわりて.

おどして みんに いかでか とどめざるべきと せんぎし そうろうなり.
をどして 見むに いかでか とどめざるべきと せんぎし 候なり.

にちれん さきより かかるべしと み ほどき そうらいて.
日蓮 さきより かかるべしと み ほどき 候いて.

まつだいの ぼんぷの こんじょうに ほとけに なる ことは だいじにて そうらいけり.
末代の 凡夫の 今生に 仏に なる 事は 大事にて 候いけり.

しゃかぶつの ほとけに ならせ たまいし ことを きょうぎょうに あまた とかれて そうろうに.
釈迦仏の 仏に ならせ 給いし 事を 経経に あまた とかれて 候に.

だいろくてんの まおうの いたしける だいなん いかにも しのぶべしとも みえ そうらわず そうろう.
第六天の 魔王の いたしける 大難 いかにも 忍ぶべしとも みへ 候はず 候.

だいばだった あじゃせおうの あくじは ひとえに だいろくてんのまおうの たばかりと こそ みて そうらえ.
提婆達多 阿闍世王の 悪事は ひとへに 第六天の 魔王の たばかりと こそ みて 候へ.

まして にょらい げんざい ゆたおんしつ きょうめつどごと もうして.
まして 如来 現在 猶多怨嫉 況滅度後と 申して.

だいかくせそんの おんときの ごなんだにも.
大覚世尊の 御時の 御難だにも.

ぼんぷの み にちれんに かようなる ものは.
凡夫の 身 日蓮に かやうなる 者は.

かたとき 1にちも しのびがたかるべし.
片時 一日も 忍びがたかるべし.

まして 50よねんが あいだの しゅじゅの だいなんをや.
まして 五十余年が 間の 種種の 大難をや.

まして まつだいには これらは ひゃくせんまんおくばい すぐべく そうろうなる だいなんをば.
まして 末代には 此等は 百千万億倍 すぐべく 候なる 大難をば.

いかでか しのび そうろうべきと こころに そんして そうらいし ほどに.
いかでか 忍び 候べきと 心に 存して 候いし ほどに.

しょうにんは みぼうを しると もうして.
聖人は 未萠を 知ると 申して.

さんぜの うちに みらいの ことを しるを まことの しょうにんとは もうすなり.
三世の 中に 未来の 事を 知るを まことの 聖人とは 申すなり.

しかるに にちれんは しょうにんに あらざれども.
而るに 日蓮は 聖人に あらざれども.

にほんこくの いまの よに あたりて このくに ぼうぼうたる べきことを かねて しりて そうらいしに.
日本国の 今の 代に あたりて 此の国 亡亡たる べき事を かねて 知りて 候いしに.

これこそ ほとけの とかせ たまいて そうろう きょうめつどごの きょうもんに あたりて そうらえ.
此れこそ 仏の とかせ 給いて 候 況滅度後の 経文に あたりて 候へ.

これを もうし いだす ならば ほとけの ささせ たまいて そうろう みらいの ほけきょうの ぎょうじゃ なり.
此れを 申し いだす ならば 仏の 指させ 給いて 候 未来の 法華経の 行者 なり.

しりて しかも もうさずば せぜ しょうじょうの あいだ おうしこと どもり うまれん うえ.
知りて 而かも 申さずば 世世 生生の 間 をうしこと どもり 生ん 上.

きょうしゅ しゃくそんの だいおんてき その くにの こくしゅの だいしゅうてき たにんに あらず.
教主 釈尊の 大怨敵 其の 国の 国主の 大讎敵 他人に あらず.

ごしょうは また むげんだいじょうの ひと これなりと かんがえみて.
後生は 又 無間大城の 人 此れなりと かんがへみて.

あるいは いしょくに せめられ.
或は 衣食に せめられ.

あるいは ふぼ きょうだい ししょう どうぎょうにも いさめられ.
或は 父母 兄弟 師匠 同行にも いさめられ.

あるいは こくしゅ ばんみんにも おどされしに.
或は 国主 万民にも をどされしに.

すこしも ひるむ こころ あるならば いちどに もうし いださじと.
すこしも ひるむ 心 あるならば 一度に 申し 出ださじと.

としごろ ひごろ こころを いましめ そうらいしが.
としごろ ひごろ 心を いましめ 候いしが.

そもそも かこ おんのんごう より さだめて ほけきょうにも あいたてまつり ぼだいしんも おこしけん.
抑 過去 遠遠劫 より 定めて 法華経にも 値い奉り 菩提心も をこしけん.

なれども たとい 1なん 2なんには しのび けれども.
なれども 設い 一難 二難には 忍び けれども.

だいなん しだいに つづき きたりければ たいしけるにや.
大難 次第に つづき 来りければ 退しけるにや.

このたび いかなる だいなんにも たいせぬ こころ ならば もうし いだす べしとて もうし いだして そうらい しかば.
今度 いかなる 大難にも 退せぬ 心 ならば 申し 出すべしとて 申し 出して 候 いしかば.

きょうもんに たがわず この たびたびの だいなんには あいて そうらいし ぞかし.
経文に たがわず 此の 度度の 大難には あいて 候いし ぞかし.

→a1488

b1489

いまは いっこう なり.
今は 一こう なり.

いかなる だいなんにも こらえてんと わがみに あてて こころみて そうらえば.
いかなる 大難にも こらへてんと 我が 身に 当てて 心みて 候へば.

ふしん なき ゆえに この さんりんには すみ そうろうなり.
不審 なき ゆへに 此の 山林には 栖み 候なり.

おのおのは たとい すてさせ たもうとも 1にち かたときも わが しんみょうを たすけし ひとびと なれば.
各各は 又 たとい すてさせ 給うとも 一日 かたときも 我が 身命を たすけし 人人 なれば.

いかでか たにんには にさせ たもうべき.
いかでか 他人には にさせ 給うべき.

もとより われ 1にん いかにも なるべし.
本より 我 一人 いかにも なるべし.

われ いかに しなるとも こころに たいてん なくして ほとけに なるならば.
我 いかに しなるとも 心に 退転 なくして 仏に なるならば.

とのばらをば みちびき たてまつらんと やくそく もうして そうらいき.
とのばらをば 導き たてまつらむと やくそく 申して 候いき.

おのおのは にちれん ほども ぶっぽうをば しらせ たまわざる うえ ぞく なり.
各各は 日蓮 ほども 仏法をば 知らせ 給わざる 上 俗 なり.

しょりょう あり さいし あり しょじゅう あり いかにも かない がたかるべし.
所領 あり 妻子 あり 所従 あり いかにも 叶い がたかるべし.

ただ いつわり おろかにて おわせかしと もうし そうらいき こそ そうろうべけれ.
只 いつわり をろかにて をはせかしと 申し 候いき こそ 候べけれ.

なにごとに つけてか すて まいらせ そうろうべき.
なに事に つけてか すて まいらせ 候べき.

ゆめゆめ おろかの ぎ そうろう べからず.
ゆめゆめ をろかの ぎ 候 べからず.

また ほうもんの ことは さどの くにへ ながされ そうらいし いぜんの ほうもんは.
又 法門の 事は さどの 国へ ながされ 候いし 已前の 法門は.

ただ ほとけの にぜんの きょうと おぼしめせ.
ただ 仏の 爾前の 経と をぼしめせ.

この くにの こくしゅ わが よをも たもつべくば しんごんし とうにも めし あわせ たまわんずらん.
此の 国の 国主 我が 代をも たもつべくば 真言師 等にも 召し 合せ 給はんずらむ.

そのとき まことの だいじをば もうすべし.
爾の時 まことの 大事をば 申すべし.

でし とうにも ないない もうす ならば ひろうして かれら しりなんず.
弟子 等にも なひなひ 申す ならば ひろうして かれら しりなんず.

さらば よも あわじと おもいて おののにも もうさざりし なり.
さらば よも あわじと をもひて 各各にも 申さざりし なり.

しかるに さる ぶんえい 8ねん 9がつ 12にちの よる.
而るに 去る 文永 八年 九月 十二日の 夜.

たつのくちにて くびを はねられんと せしとき より のち ふびん なり.
たつの口にて 頸を はねられんと せし時 より のち ふびん なり.

われに つきたりし ものどもに まことの ことを いわざりけると おもうて.
我に つきたりし 者どもに まことの 事を いわざりけると をもうて.

さどの くに より でしどもに ないない もうす ほうもん あり.
さどの 国 より 弟子どもに 内内 申す 法門 あり.

これは ほとけ より のち かしょう あなん りゅうじゅ えんじん てんだい みょうらく でんぎょう ぎしん とうの.
此れは 仏 より 後 迦葉 阿難 竜樹 天親 天台 妙楽 伝教 義真 等の.

だいろんし だいにんしは しりて しかも みこころの うちに ひせさせ たまいし.
大論師 大人師は 知りて しかも 御心の 中に 秘せさせ 給いし.

くちより そとには いだし たまわず.
口より 外には 出し 給はず.

その ゆえは ほとけ せいして いわく.
其の 故は 仏 制して 云く.

「わが めつご まっぽうに いらずば この だいほう いう べからず」と ありしゆえ なり.
「我が 滅後 末法に 入らずば 此の 大法 いうべからず」と ありしゆへ なり.

にちれんは その おんつかいには あらざれども.
日蓮は 其の 御使には あらざれども.

その じこくに あたる うえ ぞんがいに この ほうもんを さとりぬれば.
其の 時剋に あたる 上 存外に 此の 法門を さとりぬれば.

しょうにんの いでさせ たもうまで まず じょぶんに あらあら もうすなり.
聖人の 出でさせ 給うまで まづ 序分に あらあら 申すなり.

しかるに この ほうもん しゅつげんせば しょうほう ぞうほうに ろんし にんしの もうせし ほうもんは.
而るに 此の 法門 出現せば 正法 像法に 論師 人師の 申せし 法門は.

みな ひ いでて のちの ほしの ひかり たくみの のちに つたなきを しる なるべし.
皆 日 出でて 後の 星の 光 巧匠の 後に 拙を 知る なるべし.

この ときには しょうぞうの じどうの ぶつぞう そう とうの れいげんは みな きえうせて.
此の 時には 正像の 寺堂の 仏像 僧 等の 霊験は 皆 きへうせて.

ただ この だいほう のみ いちえんぶだいに るふ すべしと みえて そうろう.
但 此の 大法 のみ 一閻浮提に 流布 すべしと みへて 候.

おのおのは かかる ほうもんに ちぎり ある ひと なれば たのもしと おぼすべし.
各各は かかる 法門に ちぎり 有る 人 なれば たのもしと をぼすべし.

→a1489

b1490

また うつぶさの おんことは おんとし よらせ たまいて おんわたり ありし.
又 うつぶさの 御事は 御とし よらせ 給いて 御わたり ありし.

いたわしく おもい まいらせ そうらい しかども.
いたわしく をもひ まいらせ 候い しかども.

うじがみへ まいりて ある ついでと そうらい しかば.
うぢがみへ まいりて ある ついでと 候 しかば.

けさんに いる ならば さだめて つみ ふかかるべし.
けさんに 入る ならば 定めて つみ ふかかるべし.

その ゆえは かみは しょじゅう なり.
其の 故は 神は 所従 なり.

ほけきょうは しゅくん なり.
法華経は 主君 なり.

しょじゅうの ついでに しゅくんへの けさんは せけんにも おそれ そうろう.
所従の ついでに 主君への けさんは 世間にも をそれ 候.

その うえ あまの おんみに なりて たまいては まず ほとけを さきと すべし.
其の 上 尼の 御身に なり 給いては まづ 仏を さきと すべし.

かたがたの おんとが ありしかば けさんせず そうろう.
かたがたの 御とが ありしかば けさんせず 候.

この また あまごぜん ひとりには かぎらず.
此の 又 尼ごぜん 一人には かぎらず.

その ほかの ひとびとも しもべの ゆの ついでと もうす ものを あまた おいかえして そうろう.
其の 外の 人人も しもべの ゆの ついでと 申す 者を あまた をひかへして 候.

あまごぜんは おやの ごとくの おんとし なり.
尼ごぜんは をやの ごとくの 御とし なり.

おんなげき いたわしく そうらい しかども この ぎを しらせ まいらせん ためなり.
御なげき いたわしく 候いしかども 此の 義を しらせ まいらせん ためなり.

また とのは おととし かの けさんの のち そらごとにてや そうらいけん.
又 とのは をととし かの けさんの 後 そらごとにてや 候いけん.

ごしょろうと もうせ しかば ひとを つかわして きかんと もうせしに.
ごしょろうと 申せ しかば 人を つかわして きかんと 申せしに

この ごぼうたちの もうせしは それは さることに そうらえども.
此の 御房たちの 申せしは それは さる事に 候へども.

ひとを つかわしたらば いぶせくや おもわれ そうらわん ずらんと もうせ しかば.
人を つかわしたらば いぶせくや をもはれ 候はん ずらんと 申せ しかば.

せけんの ならいは さもや あるらん.
世間の ならひは さもや あるらむ.

げんに おんこころざし まめなる うえ.
げんに 御心ざし まめなる 上.

ごしょろう ならば おんつかいも ありなんと おもい しかども.
御所労 ならば 御使も 有りなんと をもひ しかども.

おんつかいも なかり しかば いつわり おろかにて おぼつかなく そうらいつる うえ.
御使も なかり しかば いつわり をろかにて をぼつかなく 候いつる 上.

むじょうは つねの ならい なれども こぞ ことしは せけんほうに すぎて みみえ まいらす べしとも おぼえず.
無常は 常の ならひ なれども こぞ ことしは 世間はうに すぎて みみへ まいらすべしとも をぼへず.

こいしく こそ そうらい つるに おんおとづれ ある うれしとも もうすばかりなし.
こひしく こそ 候い つるに 御をとづれ ある うれしとも 申す計りなし.

あまごぜんにも この よしを つぶつぶと かたり もうさせ たまい そうらえ.
尼ごぜんにも この よしを つぶつぶと かたり 申させ 給い 候へ.

ほうもんの こと こまごまと かきつえ もうすべく そうらえども.
法門の 事 こまごまと かきつへ 申すべく 候へども.

こと ひさしく なり そうらえば とどめ そうろう.
事 ひさしく なり 候へば とどめ 候.

ただし ぜんしゅうと ねんぶつしゅうと りっしゅうとうの ことは しょうしょう まえにも もうして そうろう.
ただし 禅宗と 念仏宗と 律宗 等の 事は 少少 前にも 申して 候.

しんごんしゅうが ことに この くにと とうどとをば ほろぼして そうろうぞ.
真言宗が ことに 此の 国と たうどとをば ほろぼして 候ぞ.

ぜんむいさんぞう こんごうちさんぞう ふくうさんぞう こうぼうだいし じかくだいし ちしょうだいし.
善無畏三蔵 金剛智三蔵 不空三蔵 弘法大師 慈覚大師 智証大師.

この ろくにんが だいにちの さんぶきょうと ほけきょうとの ゆうれつに めいわく せし のみならず.
此の 六人が 大日の 三部経と 法華経との 優劣に 迷惑 せし のみならず.

さんさんぞう ことをば てんじくに よせて りょうかいを つくり いだし おうわくしけるを.
三三蔵 事をば 天竺に よせて 両界を つくり いだし 狂惑しけるを.

さんだいし うちぬかれて にほんへ ならい わたし こくしゅ ならびに ばんみんに つたえ.
三大師 うちぬかれて 日本へ ならひ わたし 国主 並に 万民に つたへ.

かんどの げんそうこうていも よを ほろぼし にほんこくも ようよう おとろえて.
漢土の 玄宗皇帝も 代を ほろぼし 日本国も やうやく をとろへて.

はちまんだいぼさつの ひゃくおうの ちかいも やぶれて 82だい おきのほうおう よを あずまに とられ たまいしは.
八幡大菩薩の 百王の ちかいも やぶれて 八十二代 隠岐の法王 代を 東に とられ 給いしは
.
ひとえに さんだいしの だいそうらが いのりし ゆえに げんちゃくおほんにんして そうろう.
ひとへに 三大師の 大僧等が いのりし ゆへに 還著於本人して 候.

→a1490

b1491

かんとうは この あくほう あくにんを たいじ せし ゆえに.
関東は 此の 悪法 悪人を 対治 せし ゆへに.

18だいを つぎて 100おうにて そうろうべく そうらいつるを.
十八代を つぎて 百王にて 候べく 候いつるを.

また かの あくほうの ものどもを おんきえ あるゆえに.
又 かの 悪法の 者どもを 御帰依 有るゆへに.

いっこくは あるじ なければ ぼんしゃく にちがつ してんの おんはからいとして.
一国には 主 なければ 梵釈 日月 四天の 御計いとして.

たこくに おおせつけて おどして ごらんあり.
他国に をほせつけて をどして 御らむあり.

また ほけきょうの ぎょうじゃを つかわして おんいさめ あるを あやめずして.
又 法華経の 行者を つかわして 御いさめ あるを あやめずして.

かの ほっしらに こころを あわせて せけん しゅっせの せいどうを やぶり.
彼の 法師等に 心を あわせて 世間 出世の 政道を やぶり.

ほうに すぎて ほけきょうの おんかたきに ならせたもう.
法に すぎて 法華経の 御かたきに ならせ給う.

すでに とき すぎぬれば この くに やぶれなんとす.
すでに 時 すぎぬれば 此の 国 やぶれなんとす.

やくびょうは すでに いくさに せんふせわ また しるし なり.
やくびやうは すでに いくさに せんふせわ また しるし なり.

あさまし あさまし.
あさまし あさまし.

2がつ 23にち.
二月 二十三日.

にちれん かおう.
日蓮 花押.

みさわどの.
みさわどの.

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