b1541から1542.
南条殿御返事 (なんじょうどの ごへんじ).
日蓮大 聖人 54歳 御作.

 

b1541

なんじょうどの ごへんじ.
南条殿 御返事.

しろむぎ いっぴょう こしろむぎ いっぴょう.
白麦 一俵・ 小白麦 一俵・.

かわのり 5じょう おくりたび おわんぬ.
河のり 五でふ・ 送り給び 了んぬ。.

ほとけの おんでしに あなりつそんじゃと もうせし ひとは.
仏の 御弟子に 阿那律尊者と 申せし 人は・.

おさなくしての みなをば にょいと もうす.
をさなくしての 御名をば 如意と 申す、.

にょいと もうすは こころの おもいの たからを ふらしし ゆえなり.
如意と 申すは 心の おもひの たからを ふらしし ゆへなり、.

この よしを ほとけに とい まいらせ たまい しかば.
この よしを 仏に とひ まいらせ 給い しかば・.

むかし うえたる よに えんかくと もうす しょうにんを.
昔 うえたる よに 縁覚と 申す 聖人を.

ひえの はんを もって くようし まいらせし ゆえと こたえさせ たもう.
ひゑの はんを もつて 供養し まいらせし ゆへと 答えさせ 給う。.

かしょうそんじゃと もうせし ひとは ほとけに ついでも えんぶだいだいいちの そう なり.
迦葉尊者と 申せし 人は 仏に ついでも 閻浮提第一の 僧 なり、.

ぞくにて おわせし ときは ちょうじゃにて.
俗にて をはせし 時は 長者にて・.

からを 60 その くらに こがねを ひゃくよんじゅっこく づつ いれさせ たもう.
からを 六十 その くらに 金を 百四十こく づつ 入れさせ 給う、.

それ より ほかの たから もうす ばかり なし.
それより 外の たから 申す ばかり なし、.

この ひとの せんじょうの おんことを ほとけに とい まいらせさせ たまい しかば.
この 人の 先生の 御事を 仏に とひ まいらせさせ 給い しかば・.

むかし うえたる よに むぎの はんを いっぱい くよう したりし ゆえに.
むかし うえたる よに むぎの はんを 一ぱひ 供養 したりし ゆへに・.

とうりてんに せんべん うまれて いま しゃかぶつに あい まいらせ.
トウ利天に 千反 生れて 今 釈迦仏に 値い まいらせ.

そうの なかの だいいちと ならせ たまい.
僧の 中の 第一と ならせ 給い.

ほけきょうにて こうみょうにょらいと なを さずけられさせ たもうと.
法華経にて 光明如来と 名を さづけられ させ 給うと.

てんだいだいし もんぐの だいいちに しるされて そうろう.
天台大師・ 文句の 第一に しるされて 候。.

かれを もって これを あんずるに.
かれを もつて 此れを あんずるに.

かしょうそんじゃの むぎの はんは いみじくて こうみょうにょらいと ならせ たもう.
迦葉尊者の 麦の はんは・ いみじくて 光明如来と ならせ 給う、.

いまの だんなの しろむぎは いやしくして ほとけに ならず そうろうべきか.
今の だんなの 白麦は・ いやしくて 仏に ならず 候べきか、.

ざいせの つきは いまも つき ざいせの はなは いまも はな.
在世の 月は 今も 月・ 在世の 花は 今も 花・.

むかしの くどくは いまの くどく なり.
むかしの 功徳は 今の 功徳 なり、.

その うえ かみ いちにんより しも ばんみん までに にくまれて.
その 上・ 上 一人 より 下万民 までに・ にくまれて.

さんちゅうに うえしに ゆべき ほけきょうの ぎょうじゃ なり.
山中に うえしに ゆべき 法華経の 行者 なり、.

これを ふびんと おぼして さんがを こえ わたり.
これを ふびんと をぼして 山河を こえ わたり・.

おくりたびて そうろう おんこころざしは むぎには あらず こがね なり.
をくりたびて 候 御心ざしは 麦には あらず 金 なり・.

こがねには あらず ほけきょうの もじ なり.
金には あらず 法華経の 文字 なり、.

われらの まなこには むぎ なり.
我等が 眼には むぎ なり・.

じゅうらせつには この むぎをば ほとけの たねと こそ ごらん そうらめ.
十らせつには 此の むぎをば 仏の たねと こそ 御らん 候らめ、.

あなりつが ひえの はんは へんじて うさぎと なる.
阿那律が ひゑの はんは へんじて うさぎと なる、.

うさぎ へんじて しびとと なる.
うさぎ・ へんじて 死人と なる・.

しびと へんじて こがねと なる.
死人 へんじて 金と なる・.

ゆびを ぬきて うり しかば また いで きたりぬ.
指を ぬきて うりしかば 又 いで きたりぬ、.

おうの せめの ありし ときは しびとと なる.
王の せめの ありし 時は 死人と なる、.

かくの ごとく つきずして きゅうじゅういっこう なり.
かくの ごとく・ つきずして 九十一劫 なり.

しゃくまなんと もうせし ひとの いしを とり しかば こがねと なりき.
釈まなんと 申せし 人の 石を とり しかば 金と なりき、.

こんぞくおうは いさごを こがねと なし たまいき.
金ぞく王は、いさごを 金と なし 給いき。.

→a1541

b1542

いまの むぎは ほけきょうの もんじ なり.
今の むぎは 法華経の もんじ  なり、.

または にょにんの おんためには かがみと なり みの かざりと なるべし.
又は 女人の 御ためには・ かがみと なり・ 身の かざりと なるべし、.

おとこの ためには よろいと なり かぶとと なるべし.
男の ためには・ よろひと なり・ かぶとと なるべし、.

しゅごしんと なりて ゆみやの だいいちの なを とるべし.
守護神と なりて 弓箭の 第一の 名を とるべし、.

なんみょうほうれんげきょう なんみょうほうれんげきょう.
南無妙法蓮華経・ 南無妙法蓮華経、.

きょうきょう きんげん.
恐恐 謹言。.

この よの なかは いみじかりし ときは なにごとか あるべきと みえ しかども.
この よの 中は・ いみじかりし 時は 何事か あるべきと みえ しかども・.

とうじは ことに あぶなげに みえ そうろうぞ.
当時は ことに あぶなげに・ みえ 候ぞ、.

いかなる こと ありとも なげかせ たもう べからず.
いかなる 事 ありとも なげかせ 給う べからず、.

ふっと おもいきりて しょりょう なんども たがう こと あらば.
ふつと おもひきりて そりやう なんども・ たがふ 事 あらば・.

いよいよ よろこびと こそ おもいて うち うそぶきて これへ わたらせ たまえ.
いよいよ 悦びと こそ おもひて・ うち うそぶきて・ これへ わたらせ 給へ、.

しょち しらぬ ひとも あまりに すぎ そうろうぞ.
所地 しらぬ 人も あまりに すぎ 候ぞ、.

とうじ つくしへ むかいて なげく ひとびとは いかばかりとか おぼす.
当時 つくしへ・ むかひて・ なげく 人人は・ いかばかりとか・ おぼす、.

これは みな にちれんを かみの あなずらせ たまいし ゆえなり.
これは 皆 日蓮を・ かみの あなづらせ 給いし ゆへなり。.

7がつ ふつか.
七月 二日.

にちれん かおう.
日蓮 花押 .

なんじょうどの ごへんじ.
南条殿 御返事.

→a1542

 
→a1541
→c1541
 ホームページトップ
inserted by FC2 system