b1596から1597. 
白米一俵御書 (はくまいいっぴょうごしょ)
別名、理事供養御書 (りじくようごしょ).

 

b1596

はくまいいっぴょうごしょ.
白米一俵御書.

はくまい いっぴょう けいも ひとたわら かわのり ひとかご.
白米 一俵 毛芋 ひとたわら 河海苔 ひとかご.

おんつかいを もって わざわざ おくられて そうろう.
御つかいを もつて わざわざ をくられて 候。

ひとにも ふたつの たから あり.
人にも 二つの 財 あり.

いちには ころも にには しょく なり.
一には 衣 二には 食 なり.

きょうに いわく 「うじょうは しょくに よって じゅうす」と うんぬん.
経に 云く 「有情は 食に 依つて 住す」と 云云.

もんの こころは せいある ものは ころもと しょくとに よって よに すむと もうす こころ なり.
文の 心は 生ある 者は 衣と 食とに よつて 世に すむと 申す 心 なり.

さかなは みずに すむ みずを たからとす.
魚は 水に すむ 水を 宝とす.

きは ちの うえに おいて そうろう ちを たからとす.
木は 地の 上に をいて 候 地を 財とす、.

ひとは しょくに よって せい あり しょくを たからとす.
人は 食に よつて 生 あり 食を 財とす.

いのちと もうす ものは いっさいの たからの なかに だいいちの たから なり.
いのちと 申す 物は 一切の 財の 中に 第一の 財 なり.

へんまん3000かいむ うじきしんみょうと とかれて 3000だいせんせかいに みてて そうろう たからも.
遍満三千界無 有直身命と とかれて 三千大千世界に みてて 候 財も.

いのちには かえぬ ことに そうろう なり.
いのちには かへぬ 事に 候 なり.

されば いのちは ともしびの ごとし.
されば いのちは ともしびの ごとし.

しょくは あぶらの ごとし.
食は あぶらの ごとし.

あぶら つきれば ともしび きえぬ.
あぶら つくれば ともしび きへぬ.

しょく なければ いのち たえぬ.
食 なければ いのち たへぬ.

いっさいの かみ ほとけを うやまい たてまつる.
一切の かみ 仏を うやまい たてまつる.

はじめの くには なむと もうす もじを おき そうろう なり.
始の 句には 南無と 申す 文字を をき 候 なり.

なむと もうすは いかなる ことぞと もうすに.
南無と 申すは いかなる 事ぞと 申すに.

なむと もうすは てんじくの ことばにて そうろう.
南無と 申すは 天竺の ことばにて 候、.

かんど にほんには きみょうと もうす.
漢土 日本には 帰命と 申す.

きみょうと もうすは わが いのちを ほとけに たてまつると もうす ことなり.
帰命と 申すは 我が 命を 仏に 奉ると 申す 事なり.

わがみには ぶんに したがいて さいし けんぞく しょりょう きんぎん とうを もてる ひとびとも あり.
我が 身には 分に 随いて 妻子 眷属 所領 金銀 等を もてる 人人も あり.

また たから なき ひとびとも あり.
又 財 なき 人人も あり.

たから あるも たから なきも いのちと もうす たからに すぎて そうろう たからは そうらわず.
財 あるも 財 なきも 命と 申す 財に すぎて 候 財は 候はず.

されば いにしえの しょうにん けんじんと もうすは.
されば いにしへの 聖人 賢人と 申すは.

いのちを ほとけに まいらせて ほとけには なり そうろう なり.
命を 仏に まいらせて・ 仏には なり 候 なり。

いわゆる せっせんどうじと もうせし ひとは みを おにに まかせて はちじを ならえり.
いわゆる 雪山童子と 申せし 人は 身を 鬼に まかせて 八字を ならへり.

やくおうぼさつと もうせし ひとは ひじを やいて ほけきょうに たてまつる.
薬王菩薩と 申せし 人は 臂を やいて 法華経に 奉る.

わが ちょうにも しょうとくたいしと もうせし ひとは ての かわを はいで ほけきょうを かき たてまつり.
我が 朝にも 聖徳太子と 申せし 人は 手の かわを はいで 法華経を かき 奉り.

てんちてんのうと もうせし こくおうは むみょうしと もうす ゆびを たいて しゃかぶつに たてまつる.
天智天皇と 申せし 国王は 無名指と 申す ゆびを たいて 釈迦仏に 奉る.

これらは けんじん しょうにんの こと なれば われらは かないがたき ことにて そうろう。.
此れ 等は 賢人 聖人の 事 なれば 我等は 叶いがたき 事にて 候。.

ただし ほとけに なり そうろうことは.
ただし 仏に なり 候事は.

ぼんぷは こころざしと もうす もじを こころえて ほとけに なり そうろうなり.
凡夫は 志ざしと 申す 文字を 心へて 仏に なり 候なり.

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こころざしと もうすは なにごとぞと いさいに かんがえて そうらえば かんじんの ほうもん なり.
志ざしと 申すは なに事ぞと 委細に かんがへて 候へば 観心の 法門 なり.

かんじんの ほうもんと もうすは なにごとぞと たずね そうらえば.
観心の 法門と 申すは なに事ぞと たづね 候へば.

ただ ひとつ きて そうろう ころもを ほけきょうに まいらせ そうろうが.
ただ 一つ きて 候 衣を 法華経に まいらせ 候が.

みの かわを はぐにて そうろうぞ.
身の かわを わぐにて 候ぞ.

うえたる よに これは なしては きょうの いのちを つぐべき ものも なきに.
うへたる よに これは なしては けうの 命を つぐべき 物も なきに.

ただ ひとつ そうろう ごりょうを ほとけに まいらせ そうろうが.
ただ ひとつ 候 御料を 仏に まいらせ 候が.

しんみょうを ほとけに まいらせ そうろうにて そうろうぞ.
身命を 仏に まいらせ 候にて 候ぞ.

これは やくおうの ひじを やき せっせん どうじの みを おにに たびて そうろうにも.
これは 薬王の ひぢを やき 雪山童子の 身を 鬼に たびて 候にも.

あいおとらぬ くどくにて そうらえば.
あいをとらぬ 功徳にて 候へば.

しょうにんの おんためには じくよう.
聖人の 御ためには 事供やう.

ぼんぷの ためには りくよう.
凡夫の ためには 理くやう

しかんの だい7の かんじんの だんばらみつと もうす ほうもん なり.
止観の 第七の 観心の 檀ばら蜜と 申す 法門 なり.

まことの みちは せけんの じほうにて そうろう.
まことの みちは 世間の 事法にて 候.

こんこうみょうきょうには.
金光明経には.

「もし ふかく せほうを しらば すなわち これ ぶっぽう なり」と とかれ.
「若し 深く 世法を 識らば 即ち 是れ 仏法 なり」と とかれ.

ねんぎょうには.
涅槃経には.

「いっさいせけんの げどうの きょうしょは みな これ ぶっせつにして げどうの せつに あらず」と おおせられて そうろうを.
「一切世間の 外道の 経書は 皆 是れ 仏説にして 外道の 説に 非ず」と 仰せられて 候を.

みょうらくだいしは ほけきょうの だい6の まきの.
妙楽大師は 法華経の 第六の 巻の.

「いっさいせけんの ちせいさんぎょうは みな じっそうと あい いはい せず」との きょうもんに.
「一切世間の 治生産業は 皆 実相と 相い 違背 せず」との 経文に.

ひきあわせて こころを あらわされて そうろうには.
引き合せて 心を あらわされて 候には.

かれがれの にきょうは じんしんの きょうぎょう なれども.
彼れ彼れの 二経は 深心の 経経 なれども.

かの きょうぎょうは いまだ こころ あさくして ほけきょうに およばざれば.
彼の 経経は いまだ 心 あさくして 法華経に 及ばざれば.

せけんの ほうを ぶっぽうに よせて しらせて そうろう.
世間の 法を 仏法に 依せて しらせて 候.

ほけきょうは しからず.
法華経は しからず.

やがて せけんの ほうが ぶっぽう ぜんたいと しゃくせられて そうろう.
やがて 世間の 法が 仏法の 全体と 釈せられて 候.

にぜんの きょうの しんしんは こころより ばんぽうを しょうず.
爾前の 経の 心心は、心より 万法を 生ず.

たとえば こころは だいちの ごとし そうもくは まんぽうの ごとしと もうす.
譬へば 心は 大地の ごとし 草木は 万法の ごとしと 申す、.

ほけきょうは しからず こころ すなわち だいち だいち すなわち そうもく なり.
法華経は しからず 心 すなはち 大地 大地 則 草木 なり、.

にぜんの きょうぎょうの こころは こころの すむは つきの ごとし.
爾前の 経経の 心は 心の すむは 月の ごとし.

こころの きよきは はなの ごとし.
心の きよきは 花の ごとし.

ほけきょうは しからず つき こそ こころよ.
法華経は しからず 月 こそ 心よ.

はな こそ こころよと もうす ほうもん なり。.
花 こそ 心よと 申す 法門 なり。.

これを もって しろしめせ.
此れを もつて しろしめせ.

はくまいは はくまいに あらず.
白米は 白米には あらず.

すなわち いのち なり。.
すなはち 命 なり。

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